文: 聞く「断捨離とB’zと私」

  このGW、何をしていたかと言えばキッチンの掃除である。掃除というか、整理というかである。この部屋に住み始めて以来、余り意識したことはなかったのだが、どう考えてもうちのキッチンは効率が悪い、ということに今更ながらに気がついた。仕事のある日には極力キッチンに立つ時間を短くしたい。ご飯も基本、買い置きか作り置きを使いたいので、自然と休みの日にはキッチンにいる時間が長くなる。何をしている訳ではないのだが、野菜を洗ったり、煮たり、炒めたり、鶏胸肉を焼いたりして、仕事のある日の副菜やスープの材料などを用意していると、あっという間に3時間くらい経ってしまう。そんなに長い時間いるのだから、少しでも自分にとって快適に、気分良く過ごせることが大切だと思った。それで、様々なネットのページを参考にしながら、捨てるものは捨て、買うものを買い、持っていたものを整頓し、漸く少しは気に入ったようにすることが出来た。


狭い狭い作業台(なんつっても築年数がほぼ同級生という年代物の賃貸マンション)。やっとスッキリして、仕事がし易くなった。洗いカゴは使わない時は別のスペースへ移動。真ん中のラックは本来はスパイスラックだったが、置いたらキッチンペーパーがすっぽりハマった。道具立ては2つあり、この背面にある冷蔵庫には、プラスチック製のものを入れて貼り付けてある。コランダーは前から欲しくて割引になったのをきっかけに買った。




小さなダイニング兼パントリー。





奥の布がかかっているのは石油ストーブ。手前はパントリーとして使っているワゴン。今はビール24本とボトルコーヒーと麦茶のパックが入っている。


いやあ、キレイになると実に嬉しい。



 

 さて。

 捨てられない人、というジャンルがあるが、私はどちらか、いや、完全に、捨てられる人、である。一度「捨てる」というスイッチが入ると、何でもバンバン捨てられる。捨てなきゃよかった、と後から思うものも僅かにあるけれど、殆どの場合、捨てても構わなかったもので、後悔はまずない。ある小説家が、こういう私のような捨てられる人間は、冷たいから捨てられるのだ、とエッセイか何かで書いていたのを、以前たまたま美容院にあった雑誌か何かで読んだのだが、ある意味当たってるのかも知れない。いやいや私はそんなことなくて、あったかい人間ですよとアピールできるような例も、どこかに捨ててきてしまったらしく、生憎全く見つからない。

 捨てて勿体無かったというか、取っておいてもどうにもならないと思ったし、処分するしかなかったんだけど、それでも時々思い返すのが、膨大な量の本と同時に、昔のカセットテープやMDの類である。特に、小曽根真さんのJーWAVEのラジオ番組をエアチェック(してたのは平成だけど、言葉は昭和で既に死語笑)していた時のMDには、パキート・デリヴェラの“We“という曲が入っており、これが死ぬほど好きだったんだけど、未だに音源として見つからず、結局聞けないまま何年も過ごしているので、取っといてもどうにもなんないけど、とっとけばよかったかなあと思わなくもない。

 処分と言えばそれこそ膨大な量のCDもあった。手元に置かないと決めたものは全部中古屋に売ったのだけど、一昔前に流行ったR&Bなどの輸入盤が多かったから(90年代初期、R&Bにしこたまハマっていた)、それこそ値段は二束三文もいいとこで、振込になった金額を見て唖然としたのもまあ今ではいい思い出…ではないけれど(苦笑。


 そんなことを考えたのは、デビューからファンだったと言っても過言ではないB’zが、先日サブスク解禁を発表したからである。私は、欲しいものはちゃんと手に入れたいという古いタイプの人間なので、今後もCDが出れば買うんだろうし、サブスクは今の所あんまし用はないのだけれど、若い人達に聞いてもらうきっかけになるのであれば、こういう進化もいいことなのかなと思う。少なくとも、愛用のiTunes経由でも当然のことながらB’zがフィーチャーされて、今の2人の麗しい写真が見られるだけでも、数多のライブの予定が崩れ去った昨今においてはありがたい気がする。

 また、サブスクであればディスクを断捨離する手間はない訳だし、今からの時代には欠かせない要素の一つになるんだろう。音楽を手のひらに入れたがるのは、我々の頃からの若者全ての欲望であり、様々な形に変化して進化して、今の形になったんだと思うと、何だか少し愛おしいよいうな気さえする。音楽とはそれ程までに、人間が心から密接な関係を築きたいと思う魅力的な相手なのだ。





 で、B’zだが。

 Spotifyで(ワタクシの最愛の人である)松本さんがセルフセレクトしてくれているのだが、この選曲がまた感涙ものであった。私の大好きな、でもライブでは一度も披露してくれたことのない”Forever Mine”が入っているのである。これには叫んだね。本気で。以前、彼が作った「昭和ヒット曲を他のミュージシャンに歌わしてみよう」的な企画アルバムでも、ワタクシが小学生の頃から好きだったあのオフコースの、それも一番大好き過ぎる曲「時に愛は」を選び、宇徳敬子氏の美声で歌ってもらっていた時にも同じように叫んだ。まさか時に愛はを選ぶとは、と本当に驚いた。普通オフコースといえばYes-Yes-Yesとか、言葉にできないとか、愛を止めないでとか、Yes-Noとか、いくらでも曲があるのだが、その中からまさかの時に愛は。まあ、考えればこの「時に愛は」は、間奏とエンディングのギターソロが実に印象的なマイナー調のドラマティックな曲なので、松本さんが選ぶのも当然っちゃ当然なのだけど、それでも自分が一番好きだった曲を選んでカバーしてくれるなんて、もしも互いに知り合いだったら間違いなく「私に恋してるに違いない」と勘違いするレベルの偶然である。だから、その時も、今回も、叫びっ放しだったのである。

 あれ、そう言えばさ、去年の5ERASで披露された新曲も、YES YES YESっていうんじゃなかったっけ?もしかしてB’z、2人ともオフコース好き?笑

 その5ERASのディスクのリリースも決まったとのことで、いつもライブに一緒に行っている友人Kと共に購入決定。2人して遠距離で見ながら語り合う日が今から待ち遠しい。


 Spotifyだと誰でもたちまち、B’zの2人のセルフセレクトが聴けるらしい。友人Kは、通勤のお供にするのにとても嬉しいと言っていた。我々のようにファンではなくても、ちょっとでも興味を持っている人がアプローチしやすい媒体って、時代のニーズにはドンピシャなんだろう。しかしながら、古い人間のワタクシは、その昔、中学の頃から、自分の好きな曲を、曲間の秒数まで測って一時停止しながらカセットに入れて、友達に渡していた、そういう時代に生きていたので、この便利さ、手軽さ、気楽さがちょっと寂しかったりもする。大学時代、B’zの初期作品ばかりを60分のカセットに入れて友達に回したら、とても気に入ってもらえたのはよかったのだが、みんなに気に入られ過ぎて、仕舞いには学科を通り越して学部単位でどこかに回ってしまい、結局帰ってこなかった、という苦くも楽しい思い出が成立したのも、あの時代だったから。

 ちなみにこのSpotifyの松本セレクト、私はカセットを編集していた頃を思い出しつつ、セレクトソングを見ながら、自らiPadで手持ちの音源を並べ替えて、同じものを味わうという、何ともやってることはめっちゃアナログ。


 という訳で、私も稲葉さん松本さんを真似して、私的Favoritesを作ってみた。英語の曲が多いのは趣味なのでご勘弁。インスタにも上げたのだが、実際並べて聞いてみて、音のレベルの問題などがあったため、多少チェンジした。







 Loving All Night Octopus StyleからのJap The Ripperが気持ちいい。ながい愛の後のFUSHIDARA100%は、一見矛盾ソングだけどよく聞くと歌詞にとても共通点があったりする。MONSTERでドッカン盛り上がってパーフェクトライフで乗りまくった後の結晶は切ない。弱い男→恋鴉→SICKの病んでるソングの応酬が楽しい。


 昔、TOEICを受けに行ったある時、2人前に座っていた女の子が、ONE OK ROCKの黒のツアTを着ていた。ああ、ファンなんだなと思って、試験前彼女の背中のツアー日程などを目を凝らして見てしまった。テスト終了後、トイレから出てくると彼女が手を洗っていた。なんとはなしに軽く頭を下げたら、彼女はそれに気づき、「お疲れ様でした!」とにこやかに声をかけると颯爽と出ていった。ワンオクさんのファンってみんなこんなに礼儀正しいのかしら、と思い、ちょっと嬉しくなった。そして、私も、彼女よりずっと歳は上だけど、こんな風にいつか誰かに、「ああ、B’zさんのファンはいいな」って思ってもらえるようになりたいと思った。音楽の力って偉大だ。


 余談。先日夫に聞いたのだが、何かのテレビで言ってたらしいが、断捨離する時に聞くといい音楽として、B’zの”Love Phantom”が上がっていたらしい。SDGsを意識する昨今なら、「だったらあげちゃえよ」とかどうだ?