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文:読む「表があれば裏があるものー『一杯のおいしい紅茶』ジョージ・オーウェル(小野寺健編訳)」




「いつまで籠ってりゃ気が済むんだよ」と言われそうな程、出かけない日々が続いている。

職場と自宅を往復して3年。

(しかもこの2カ所は直線距離にすると200メートル強しか離れていない笑)

他に行ったとこはと言えば、銀行や美容院など、日常生活の域を出ない場所のみ。

食料品の買い物でさえ、全てネットスーパーに切り替えた。


単に元々「おうち好き」というのもある。

本を読んだりパズルをしたり、オルガンを弾いたりお人形ごっこをしたりして、家の中で遊ぶのが好きだったので、丈夫に育たないのではないかと案じた母から「いつまで中に籠ってるの!」と幼い頃(から結構大きくなるまで)よく叱られたものだ。


そんな私でも、今、自由さを心に持っている人を羨ましく思える時がある。


「あのね」

2つ上の連れ合いが物静かに言う。

「のど自慢、あるでしょ」

「うん」

「あれね、まだね、出演者さんとその身内の人しか、会場に入れないんだよ」

「え、観客入ってないの?」

「うん。出演者もね、いられる場所が決まっててね、ステージ上の円で囲まれた部分しか動いちゃダメなんだ」

「そうなの⁈」

「司会の人に抱きついたり握手してくださいとか、できないんだよ」


彼はいいとか悪いとかは言わない。提案もしない。

例示だけ。そして、あとは自分で考えろと放置する。


「今週末、オープンキャンパスなんです」

先週、彼女が発した言葉が頭を過ぎる。

「行っても大丈夫かなあ、と思ってて…」

1ヶ月前に行こうと決めた時には、こんな状況になるとは思ってないもんね。

「第1志望のとこだよね」

「そうです」

「電車で行くの?」

「はい」

「じゃあねえ」

しっかり準備して、なるべく外さないようにして、でもちゃんと水分は取って。矛盾だらけだけどそう言葉をかけるしかない。

「気をつけて、行ってきます」

「また来週、待ってるね」

「はい」

彼女は笑った。


若い人が、もっと自由に、せめてこんな、進路選択にかかわるような外出くらいは、気兼ねなく出来る日が来ますようにと願わずにはいられない。


そしてそういう時やっと「自分のことはとりあえずこっちに置いといて」と原点に帰ることができる。


(以下、当初の原稿にはなかった補足:

綺麗事を言ってるんじゃない。これが事実だから言ってる。こういう現実も知って貰いたかったから書いた。

他人に押し付けるつもりはない。偉ぶるつもりもない。ただ、華やかに戻りつつある日常の風景の中で、やっぱりナマは最高だとあらためて感じ始めている人々に紛れて、今でもこういう、ものすっごく地味でものすっごくストイックに過ごし続けている人間がいるってこともほんのちょっとだけでいいから覚えていて欲しかっただけだ。正しいとか間違ってるとかではない。正義はそれぞれに違う時があるということだ。)


さて。

心を笑顔にするには1冊の本がいい。

ジョージ・オーウェルといえば「動物農場」とか「1984」とかディストピア小説で有名だが、このエッセイはテイストがまるで違う。

イギリス作家のエッセイならサマセット・モームが好きだが、モームとはまた違った、土着の雰囲気と独特の温かみがある。まあユーモアはどちらも引けを取らないくらいだけどね。


編訳者の小野寺先生には、大昔、集中講義で教わったことがある。

内容など、ノートでも見直さない限りもう覚えてないけれど、とにかく面白い話で、全く眠くならなかったことだけは記憶に残っている。

レポートにもコメントを書いて下さって、とても嬉しかった。そういうことって覚えてるものだよね。


紅茶のこだわりが11か条もあるとは驚いた笑。

イギリス人らしいね。

そして、オーウェル曰く、ビールは「陶のマグ」で飲むのが断然美味いんだという。

ほう。

最近似たようなものを手に入れたので、今度これで飲んでみるか。


A good book will make my wings spread more.




※一度某SNSに投稿したのだが削除して、こちらに載せることにした。

やっぱしこういう、人の目にあまり触れぬ過疎の場所を作っておいてよかった笑。


文:訳す「隣(の恋人達)は(ベッドに潜って)何をする人(達)ぞーSensationの大楠くんがピアノでイントロを弾いてSNSに上げてくれたBonnie Raittの “I Can’t Make You Love Me”を和訳してみた」



 一番左が今回の主役大楠くんで、一番右が準主役の麻井くん。

 大賀リーダー、車谷くんの後ろに隠れないでくださいw



 愛を交わす場面の印象が深ければ深い程、その後の展開が悲劇の時、胸が抉られるものだ。


 例えば、確か96年くらいだからもう随分前の映画になってしまうが、ディカプリオが主演した「ロミオ+ジュリエット」。ジュリエット役だったクレア・デーンズはその後ハードボイルドな国際政治ドラマ「HOMELAND」で主演も制作もしたりと活躍目覚ましいが、この2人の結ばれるシーン程可愛らしくて美しいものはなかったと思うくらい、印象に残っている。





 別に何をする訳ではなく、前の晩にキスをして、互いにシャツを脱いで抱きしめ合って、すぐ翌朝になる。映画だからね笑。だがその朝のシーンがいい。ベッドの中でシーツに包まってたくさんの言葉を交わし(シェイクスピアなのでセリフはめちゃくちゃ多い)戯れ合いながらゲラゲラ笑っている。その幸せそうなことといったらないのだ。まさに幸福の絶頂。我が世の春。弾けるような若い2人の笑顔が忘れられない。とても前の晩に重なり合ったなんて思えないくらい無邪気。まあ映画だからさ笑。でもそれでいいんだよね。なんつってもロミオとジュリエットだから。そしてロミオとジュリエットだからこそ、その後の2人の運命の転がり落ち方を思うと何とも悲しい。





 植田真梨恵嬢の「ダラダラ」という曲を聴いた時、この映画のシーンが少し浮かんだ。とはいえ「ダラダラ」の方が内容的にはもう少しダイレクトだ。アイスのように溶け合ったまま、互いの身体の境界線なんか無くなってしまえばいいってくらい抱き合って愛し合っている2人。体液という体液を全て交換し合うような、性愛ゆえの悦楽。

 なのに何故この曲は物悲しいのだろう。そう思いながら詞を読む。

 この恋をするには「落ち」なければならない。どこまでも。決して浮上しない。悪魔とも目を合わせる瞬間がある。そういう恋なのだ。だから、


せまいベッドの中 終わりないこと 願った


今、身体の奥の方を駆け抜けているこれまで経験したことのない快感がいつまでも終わらないことを願うのか。それとも、始まったばかりのこの肉体を伴う恋に終わりが来ないことを願っているのか。いずれにしてもこの詞の主人公は、既に終わりを意識している。始まりがあれば終わりがある。こんな、普通なら味わえない、脳髄の奥の方でぱちっと音がする交わりの瞬間を知ってしまったら、終わりが来ないなんてこと、ある筈がない。

 その、どこか冷めたところが見え隠れするから、物悲しいのかも知れない、と思っている。穿った見方かしらね。


 この曲は音源では真梨恵嬢が全て自分でコーラスをしているのだが、ライブでは彼女の下のパートを、当ブログでは毎度お馴染みのご贔屓インストバンド、我らがSensationの売れっ子ベーシスト・麻井寛史さん(ほんと最近SNS見てるとあっちこっちのサポートメンバーで麻井さんの名前を見る。引っ張りだこちゃんだなあ)が担当している。これがものすっごくいい。力一杯お勧め。前にも同じこと書いたけど、今回「ダラダラ」が満を持して配信シングルになるにあたり神戸で行われたリリースパーティ(真梨恵嬢曰く、最近はCDショップでリリースライブが出来ないとのことで、それでライブハウスで行うことにしたのだという)にて、麻井さんのコーラスが入ったバージョンが無料動画配信となった。ぜひお聴き頂きたい。


 こちらはMV。歌詞の切なさとは裏腹な展開に、爆笑必至(って言っていいのだろうかw)。大好きですこのセンス。






 そのSensationの鍵盤主任は、当ブログでは言わずと知れた大楠雄蔵さん。

 大楠くんのインスタのストーリーが上がるといつもちょっとドキドキする。街の一場面を切り取った写真や、ライブの写真、お仲間とのシーン、どれも楽しいけれど、それがピアノの動画だと解ると「うわあ~!」と思う。生演奏だ!やった!と心の中で叫ぶ。

 そして先日、B'zの「ねがい」のあのキャッチーなイントロ演奏の次に上がったのが、 “I Can’t Make You Love Me”(邦題は「夕映えの恋人たち」何故w)だった。相変わらずの名演。痺れた。





 とはいえ私はなんの曲かすぐには解らなかった。聴いたことあるメロディなんだけどなあ~!誰の曲だろ?と。すると大楠くんの動画には、良く見るとTikTokの文字が。速攻アカウントを作って探すと果たして大楠くんはいた。そしてそこに、この曲がBonnie Raittの曲であることが記されていた。


 大楠さん、いつも素敵な演奏ありがとうございます。もしも出来るなら今までの演奏を全部TikTokに残して頂けたらとっても嬉しいです。

 鶴屋さんのTwitterに落ちている大楠さんの「駅ピアノでTMのゲワイ」とかも併せて置いて頂けたら、こんな嬉しいことないですって図々しいお願いですねw


 ところで私が「聴いたことあるなあ~」と思ったのは伊達や道楽ではなくて、後から調べたらこれ、キャンディ・ダルファーがカバーしていた。




 キャンディ・ダルファーはパパダルファーが先に有名になって日本にも入ってきた、実力と共にそのルックスで更に有名になっていたと思われる、超美人サックスプレイヤー。セクシーとカッコいいは共存出来るのだと、彼女が私達に教えてくれた。20代で一番聴いたインストものの一つが彼女のアルバムたちで(多分この辺りからどんどんジャズに入って行ったんだと思う。ちなみにもう一つよく聴いたインストものは、母が見ていた「鬼平犯科帳」のエンディングテーマ “Inspiration”が渋カッコよかったジプシー・キングス)、93年リリースの “SAX-A-GO-GO”に、今回の曲のインストバージョンが入っていた。今聞いても実にいい。色気と哀愁が同時に漂うプレイっぷりが、ひと足もふた足も先に来た感じのこの猛暑に似合って堪らない。


 そうそう、大楠くんが以前ピアノで弾いてくれたアデルもこの曲をカバーしている。アデルのバージョンには原曲にはない程よいパンチがあってこれもとっても好き。





 さて、今日はこれを訳してみようと思う。

 まずは元の歌詞。


********************


Turn down the lights

Turn down the bed

Turn down these voices inside my head

Lay down with me

Tell me no lies

Just hold me close, don't patronize

Don't patronize me

 

★’Cause I can't make you love me if you don't

You can't make your heart feel something that it won't

Here in the dark, in these final hours

I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't

‘Cause I can't make you love me if you don't

 

I'll close my eyes, then I won't see

The love you don't feel when you're holding me

Morning will come and I'll do what's right

Just give me till then to give up this fight

And I will give up this fight



********************


<語句>

patronize  後援する、保護する、(人に)威張った[恩着せがましい]態度を取る

→ここから転じて和訳では「子供扱いする」としてみた。自分でもこれはうまく訳したのではないかと思う(自画自賛)。



 では恒例の英文解釈教室。サビの部分に注目。


I can't make you love me if you don't


ここに出てくるmakeは大学受験最重要事項と言ってもいい、「使役(しえき)動詞」のmakeである。<make+O+C(=動詞の原形)>で、「OにCさせる」の意。だからifの前までを直訳すると「私はあなたに私を愛させることはできない」となる。元も子もないナンセンス訳だが笑、これがタイトルの本来の意味である。


 更に、if節内だが、don’tで切れてはいるが、こういうのをこのまま「フィーリングで」訳す癖がついていると、あまり宜しくはない。

 「英語はフィーリングで解いてました」という言葉を高校生辺りから良く聞く。そういう場合大体、2年生くらいで行き詰まって、その後は転げ落ちるように点が取れなくなることが多い。

 誤解している人も多いみたいだから、この際はっきり言っておく。英語はフィーリングじゃダメだ。ちゃんとひとつひとつに理由があることのが多いんだよ。


 例えば今回のdon’tの後ろは「省略」されていると考える。何が?言わなくてもわかること、ここで言うなら前の繰り返しを避けるために省略されていると取るのが標準だろう。前というのは「直近」であることがほとんどなので、慣れればそれ程難しいことではない。つまり、


I can't make you love me if you don't [make you(rself) love me].


「あなたが自分から私を愛させない=愛したいと思わないなら、私はあなたに私を愛させることはできない」


となる。

 要は、「こっちを向かない人を無理に向かせるわけには行かないよね」ということだろう。

 もう一つ、次の行も見てみよう。


You can't make your heart feel something that it won't


thatは関係代名詞で、先行詞はsomething。it=your heartであろう。指示語が何を指すのかを考えることも英文解釈では重要。関係代名詞の後ろ、it won’tの後ろにも省略が働いていて(助動詞[won’t=will not]の後ろには必ず動詞の原形が来るはずなのでこの解釈が成り立つ)、


You can't make your heart feel something that it won't [feel]


と考えられる。で、直訳すると、「あなたは自分の心に、それ(=心)が感じたいと思わない何かを感じさせることは出来ない」となる。見たいと思わないものを見たって何も感じないよね、ということだろう。いずれにしてもまあ、悲しい歌詞である。

 これらのサビを、果たして私がどう訳詞したか。ぜひ最後までお読み頂きたい。




 森川七月さんのサポートに、大賀くんと大楠くんが入った写真ですな。



 さて、この省略、という文法事項を用いて、次の部分も考えられる。


I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't


lay down~を調べていくと「~を捧げる」という意味があり、“lay down one’s life”「命を捧げる」というような使い方をする(辞書で意味を調べる場合、最初の意味だけ見て訳を当てはめてしまう人が多いが、もししっくり来ないのであれば、必ず下まで見てみるべきである。自動詞か他動詞かの違いによって意味が異なることも多いので、その辺もしっかり見極めると間違いが少なくなる)。

 そして後半、ここで省略を用いているとして、


I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't [lay down your heart].


と考えると無理がないのではないかと思う。

 で。

 ここさあ、the powerってtheがついてるんだよね。これがついているのといないのとでは実は雲泥の差なのよ。ここだと「その力」ってことになるので、何の力かって言ったら、自分の心のパワー、なんじゃないかと思うのね。

 君に心を捧げよう。そこにはありったけの力が篭っている、みたいな。そういうことかなあと思ったのだが。ここだけは自信がいまいちない笑。が、既存の数々のブログの解釈も、どれも私が納得するものではなかったので、自分の解釈で訳すことにした。


 好きな人のことを思うと、それだけで元気になったりするじゃない?それがたとえこの曲のように、心がすっかり離れてしまったことが解っていたとしても、好きという気持ちに変わりはないのよ、きっと。

 だから切ないのよ。くう。


 大楠さ~ん!聞いてないと思うから叫びます!

 夜9時過ぎにこういう、とんでもなく切ない曲のピアノをSNSに上げないでください~!聞き惚れてしまって何にも手につきません~!笑

 なんて、いやいや、上げてくださいこれからも。とんでもなく切ないヤツ一丁。ずっと待ってます。これからはTikTokがメインになるのかな。


 Sensationは、大賀くんがInstagram、麻井くんがTwitter(インスタもあり)、そして大楠くんがTikTok(インスタもツイもあり)。車谷くんはSNSがないので残念ではあるが、それもコミでいえば、こうしてみんなフィールドがバラバラなところが好きだ。

 みんな違って、みんないい。







 以前も紹介した、大賀くんと大楠くんが以前組んでいたバンドOOMのブログより。

 この3枚目の写真が好き。帽子被る人がいつもと逆ってのもツボなんだけど、なんだかものすっごい優しさを感じる。



 お待たせしました。和訳(意訳)行ってみよう。

 今回も、大楠くんを鑑みて男性目線で訳してあるが、この歌詞にはsheとかheとかは出てこないので、2人の性別は自由に考えていいのではないかと思っている。更に言えば、心の離れた恋人は年上とは限らないかも、と思う。

 いずれにしても、ロミオとジュリエットや真梨恵嬢の「ダラダラ」の2人のように、同じベッドに横たわっていながら、でもこの曲では、2人を隔てる距離はきっと100マイルほどあるんだろうなあと。そんな歌詞である。

 ああ切ない。心が切り裂かれそうだぜ。



*********************


明かりを消して

ベッドに入ろう

胸騒ぎを打ち消したい

ここへ来て

嘘は嫌だよ

抱きしめて欲しいだけ

子供扱いしないで


★君の瞳に僕は映らない

見てる振りをして 君は上の空

夜の帷が降りて この最後の時間

僕を全部君にあげる ありったけの思いを込めて

でもそれは君に届かない

僕の心は届かない


目を閉じてしまおう そうすれば気付かない

回した君の腕に 温もりがないことに

このまま朝が来て 日常が始まる

それまでの時を どうか下さい 僕がやめられるよう

この意味のない戦いを



********************


  Bonnie Raittのバージョンをどうぞ。





 大楠さん、次回もお待ちしております。











文:訳す「Sensationの大楠くんがインスタのストーリーで弾いてくれたVanessa Carltonの “A Thousand Miles”を訳してみた」



 手前の一番目立つのが今日の主人公、大楠雄蔵さん。


 Sensationの大楠くんがインスタのストーリーに自身のピアノの演奏をちょこっとずつ載せてくれるのに気づいたのは、昨年の秋、いや初冬だったか。


 最初に聞いたのはglobeの “Departure” だった。場所は何処かの室内だったと記憶している。TKの奏でるあの印象的なピアノのイントロを覚えている人は多いだろう。それを、大楠くんの優雅な指が奏でているのである。職場の休み時間にたまたま見つけて眠気が吹っ飛んだ。うわあ、なんて上手。いや、相手はプロなんだからこんなこと言う方が失礼なんだけど、でも本当によくTKのあの、優雅だけど少し緊張感のある音の雰囲気を醸し出していて、実に素晴らしかった。あれ以来、時々大楠くんが上げてくれるストーリーが楽しみで仕方がない。


 プロがさあ、街に置いてあるピアノで名曲を演奏してくれるなんて、こんな贅沢はないよねえ、と思うんだけど、それより、大楠くんはきっと、ピアノで演奏することとか、ピアノ自体が大好きなんじゃないかと勝手に思っている。そこにピアノがあれば、ピアノは自分を奏でてほしいと思っているというか、大楠くんにはきっとそんな、ピアノの声が聞こえるのかも知れない。ウイルスが蔓延る時代になって、駅のピアノを触る人の数もきっと減ったろう。ピアノだって寂しいはずだ。それをプロが弾いてくれるのである。ピアノも絶対嬉しいと思う。実際、大楠くんが街のピアノを弾くと、どのピアノもとても軽やかに優美に嬉しそうに音を出す。


 これまでに聞いたのは、このDepartureと、明石駅のピアノで弾いていたTM NETWORKの “GET WILD” (ドラムの鶴屋さんが録画した映像が鶴屋さんのTwitterに載っているので未見の方は是非。それにしてもこの場に居合わせた方、どんだけラッキーだって感じ。このご時世だからそんなに近くには寄れないと思うけど、私だったら絶対ガン見だなw)だったので、次は何かなーと思っていたら、まさかの洋楽大ヒットソング。ヴァネッサ・カールトンの “A Thousand Miles”。




 大賀くんと大楠くん。Y.O.コンビね。


 この曲が出たのは2002年で、この年はノラ・ジョーンズが大大大ヒットしたので、この曲の印象が強いという人はそれほどいないかも知れないが、J-WAVEなどラジオでは毎日のようにかかっていたので、当時ラジオ派だった人ならきっと知っていると思う。今聞いても素敵な、というか美しい、そして悲しい曲である。


 では詞を。


*********************************************


Making my way downtown walking fast

Faces pass and I'm homebound

Staring blankly ahead just making my way

Making a way through the crowd


And I need you
And I miss you
And now I wonder

If I could fall into the sky
Do you think time would pass me by?
'Cause you know I'd walk a thousand miles
If I could just see you tonight

It's always times like these when I think of you
And I wonder if you ever think of me
'Cause everything's so wrong and I don't belong
Living in your precious memories

'Cause I need you
And I miss you
And now I wonder

If I could fall into the sky
Do you think time would pass me by?
'Cause you know I'd walk a thousand miles
If I could just see you tonight

And I, I don't want to let you know
I, I drown in your memory
I, I don't want to let this go
I, I don't

Making my way downtown walking fast
Faces pass and I'm home bound
Staring blankly ahead just making my way
Making a way through the crowd

And I still need you
And I still miss you
And now I wonder

If I could fall into the sky
Do you think time would pass us by?
'Cause you know I'd walk a thousand miles
If I could just see you

If I could fall into the sky
Do you think time would pass me by?
'Cause you know I'd walk a thousand miles
If I could just see you, if I could just hold you tonight


**********************************************


 仮定法ってのはさあ、2年に一度は仕事で必ず、ガッツリと語らなくてはならない文法事項なんだけど、基本的には高校生になってからしっかり習うものなので(最近の中学生は「I wish+仮定法過去」を習うと聞いたのですが本当ですか⁈ 指導要領変わった⁈本気で驚いたが、そうは言ってもまあ、覚えて高校に来る子はまずいないと思うけど)実際には定着度が低い。

 けど、こんな曲で意味を教えたらきっと解って貰えるんじゃないだろうか。


 仮定法過去というのは「現在実現していない、またはしそうにないことについて言う時に使うもの」だから「~ならいいのになあ(でもそうじゃない)」というのが一番簡単にイメージできるかな。日常的に使ってるでしょ?こういう表現。


 「お砂糖を取ってくれませんか」という依頼の表現は、Can [Will] you pass me the sugar?だよね。でももしそれを目上の人や見知らぬ人、つまり自分との関係が「遠い」人にお願いする場合には、Can [Will] をCould [Would] に変えてCould [Would] you pass me the sugar?って言うよね。


 ここから、過去形には過去を表すだけじゃなくて、「距離感」を表す用法があることが解る。それを応用したのが仮定法で、現実には起こらない、起こりそうにないこと=現実の自分と距離のあることを言うのに、過去形を使っているというね。だから仮定法過去の過去形には、過去の意味はなくて、距離感を表しているだけだから、現在の時制で訳さないといけないんだ。

 とまあ、この辺はテキトーにスルーしてください笑。





 で、Vanessaの詞ですが。

 fall into the skyをそのまま訳しているサイトが実に多いのだが、「空から落ちる」ことはあっても「空の中に落ちる」は物理的にはおかしい。もちろんこれは歌の歌詞だから、これでも全然いいと思うんだけど。

 でも私はやっぱしそれでは納得いかなかったので笑、「空へと吸い込まれる」と解釈してみた。


 それと、大好きな本の一つ「英文翻訳術ー東大名誉教授と名作・モームの『大佐の奥方』を訳す」(行方昭夫著)の中で、翻訳の際には英文の中にある代名詞をできるだけ訳さない方が日本語らしくなる、とあったので、それを意識してみた。また、今回は大楠くんのピアノを聴いて訳したいと思ったので、男性が主人公の訳にしてみた。


 洋楽だと基本、主語が全部 “I” なので、一人称にやたらバリエーションがある日本語と違って色がついてない分、訳す時に自由度があっていいんだよねえ。これこそ他言語を訳す醍醐味だよ。


 belongは「あるべきところにいる」≒ be であり、drown (カタカナで書くのは嫌なのだが、あえて書くとこれは「ドロウン」じゃなくて「ドラウン」と読みます)は「溺れる」だけど、記憶の海に溺れる、なんて安っぽい気がしたのでこの辺は勝手にアレンジした。



 仕事に必要なスキルは「英文解釈の力」をつけさせることであって、「上手に翻訳する力」は受験には必要とはされない。こう言うと語弊があるかも知れないが、受験生に必要なのは、「自分はこんなにきちんと正確に英文の意味が理解できていますよ」というアピール力であり「こんなに流暢で美しい日本語に直せますよ」は余り意識しなくて良い(そうは言っても日本語としてアウトな和訳はもちろんアウトなんだけどね)。

 でも、そこを知っているからこそ、教える側の私は、いい翻訳もできたらダブルで嬉しいなあと思うのである。



 では、和訳。

 素敵なピアノをいつも聞かせてくれる大楠くんに、貰ってもらえなくても勝手に捧ぐ笑。


*******************************



都会の雑踏を早足で歩けば

見知らぬ顔が通り過ぎてく


ぼんやりとした目で

ただ歩くだけ

人混みを交わしながら


手を伸ばしたい

寂しくてたまらない

叶わない願い


この空に吸い込まれたら

時は経ってくれるだろうか

たとえ1000マイル歩いたっていい

その顔が見られるのなら


君を思うたびに時は止まる

そんなことはあるかい?

自分の体はここじゃなくて

思い出の中に生きてる


手を伸ばしたい

寂しくてたまらない

叶わない願い


この空に吸い込まれたら

時は経ってくれるだろうか

たとえ1000マイル歩いたっていい

その顔が見られるのなら


知らないままでいて

こんな僕のことを

忘れられない記憶

手放せない過去


都会の雑踏を早足で歩けば

見知らぬ顔が通り過ぎてく


ぼんやりとした目で

ただ歩くだけ

人混みを交わしながら


もっと手を伸ばしたい

余計に寂しくてたまらない

叶わない願い


この空に吸い込まれたら

時は経ってくれるだろうか

何千マイル歩いたっていい

その顔が見られるのなら


この腕に抱けるなら






文:聴く訳す「“All I can breathe is your life” =『君をまるごと飲み込もうとして』ー “Iris” by Goo Goo Dolls & “Sensation 1”」(動画追加)





向かって左から、麻井くん(SensationのB)、車谷くん(SのD)、大賀くん(SのG)、徳ちゃん(doaのB)、大楠くん(SのK)。2015年倉木麻衣ちゃんのライブサポートの面々。5人で1つだよねこれw 麻衣ちゃんとこのライブグッズのTが可愛らしすぎて、似合いすぎよ全員。


 先日、過去に訳した英語の歌を見直して、久々に思い出した曲があった。Goo Goo Dollsの“Iris”。ああこれ好きだったんだよなあ~と懐かしくなり、自分で作ったプリントを印刷してみた。グーグーってサマソニなんかにもきていたのね。この曲は、ニコラス・ケイジ主演の「シティ・オブ・エンジェル」のサントラに入っていた。この曲が聴きたくてサントラを買った記憶がある。そして結局グーグーのアルバムも買ってしまったのよね。”Iris”の前に入ってる、”Acoustic #3”って曲が大好きでよく聞いていたのを思い出す。





 昔高校生向けに訳したものも、まあ悪くはなかった。若者向けにこう、いい具合に青臭さを出してさ、自分なりにいい感じに訳せていたと思う。

 が、大人になり、この歌詞をもう一度読み返した時に、おいおいそれでいいのかと(笑)。この詞の、特に前半はさ、これはもう、その、そういう歌詞だろうと。そう読まないといけないんじゃないかと。で、そこをそういうふうにダイレクトな場面であると読むからこそ、後半の痛切さが伝わってくるんだろうと思った訳よ。血を流すとかね。若さゆえの脆さみたいな。


 だからあえてここでチャレンジしてみる。直訳とはかけ離れた感じにはなるが、言いたいことはこれだろうという訳が出来たんじゃないかなあ。ただしこれは学校では使えそうもないので(笑)、お気をつけ願いたい。


 でさ、それを載せる前に。訳しながら気が付いたんだけど。1番の歌詞に、


All I can breathe is your life


ってのが出てくるんだけどさ、これってさあ、Sensationの1枚目のアルバムの、徳ちゃんこと徳永暁人さん作詞&ゲストボーカルの「パラシュートが開かない」の中の、


「君を丸ごと飲みこもうとして」


っつーのと発想は同じじゃないのかあ?w

 って思ったので、そこを見習って訳しておきました、決してパクリじゃないよ(笑)。




 徳ちゃんのあの詞さあ、自分の中にあるセクシーを全部出し切って書いている感じがいいんだよね。いつもの爽やか青年路線とは違う、「オス!」って感じが出てるのよ。にもかかわらず不思議なのは、セクシー全開なのに、いやらしい感じがしないのよね。いい意味で言ってんのよ。あの、こう、べったりと張り付くような、なんつーの?こう、粘液を感じるようなのって私ダメなのよ。絶対。男でも女でもね。そういうのが好きっていう人もいると思うし、それはそれでいいのだけど、私はどうもな。それこそ肌が合わない。


 ここで再度、Sensationの1枚目のアルバムについて復習を。え?一回書いただろうって?いいんです見てない人もいると思うから書くんです。


 2012年に出たこのデビューアルバムを、今年になって初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。歳を重ねている=長い間の音楽ファンである私にとっては、ここしばらくの音楽シーンにはあまり食指が動くものはなかった。もちろん、全部聞いてる訳ではないので、知らないだけなのかもしれないけれど、例えばこう、聞こえてくる音楽に耳を傾けた時に、心がときめくようなことがなかったというか、あるとすれば、時々古い、知らなかったジャズの曲を聴いたりする時であり、いわゆる今街角の若い人のイヤフォンから流れてくるような音楽には興味が持てなかった。いいな、とか可愛いな、とかちょっと珍しいな、とか結構うまいな、とかはあるけど、それだけ。その先へと全く誘われない。全然唆られない。強烈に私の心に迫ってくるものはなかったんだよね。


 それは多分、「既視感」が強すぎるためだ。音楽なんだから「既視感」とか「既知感」じゃおかしいとは思うけど、要するに、これってあの時代のアレと同じじゃん、みたいなさ、そんな気持ちになっちゃう訳よ。もっとストレートに言えば、「新しくない」「面白くない」というか。なもんで、ここ数年は特に映画や海外ドラマなど、ビジュアルを伴ったものに触れる機会の方がずっと多かったと言える。


 その、「新しくない」「面白くない」という気持ちが、まさにBLOWされたんだよねえ、Sensationを初めて聴いた時。忘れもしないわ、あの6月頭の夜。もう、横っ面思いっきりぶっ飛ばされたくらいの衝撃だった。なんだこれは、って。



はーい徳永さんこっちに目線ください、みたいなw


 ではその「なんだこれは」を皆様にも体験して頂くべく、相変わらず太っ腹!な全曲紹介動画行きます。まずはこちらをどうぞ。




 1曲目の「Sensation」のイントロ、うわあって思ったら、こちらの身体をキチンを支えていないとそのまま持ってかれるレベル。突風が吹いて彼らの世界まで一気に攫われるという感じで。そのままメロに突入するんだけど、このコードがまた切ないのよ。ただ勢いだけじゃない、その中に潜んだ切なさこそが、このバンドの真骨頂というか。サビの後のアコギの音がその若干のセンチメンタルを盛り上げ、怒涛の如く続くベースとキーボードのソロ。それを支えるシャープなドラミング。気がつくとエレキギターのソロが始まり一気にサビへ。もうこの辺の流れの素晴らしさ。何度聞いても、いつ聞いても、毎日聞いても新しい発見があるというか、新鮮な気持ちで聴けるというか。


 ここで面白い動画発見。SensationのFacebookに、この「Sensation」のリフの部分を、各パートで撮って、更に全員で合わせたものが載ってた。こういうの大好き。お借りして、全部載せてみたい。興味深いな。

大賀くんのギター

麻井くんのベース

大楠くんのキーボード

車谷くんのドラムス

全員で


 「二重螺旋」の美しさ、「曼荼羅」の綺羅きらしさ(若干のギラつきを含みつつの)、を経てからの「Aqua」の清澄さ。水滴が落ちるようなベースのイントロを経て本編のキーボードの美メロ。その根底に流れる、下に沈むようなのギターの弦の音も印象的。そして控えめながらもこちらに刺さってくるようなギターソロ。大賀くんのギターってさ、こういう、派手じゃないけど輝いている、という時の音の個性が素晴らしいと思う。一発目の音でやられるのよねえ。その辺、解ってて作ってんだろうなあ。で、そこからの「Ripple」。これは大賀くんのインスタライブの時にも披露されていたけれど、細かいところのテクニックがいくつも光る曲。そして美メロなのよこれも。ベースのソロ、ドラム、当然美メロだからキーボードなど、それぞれの楽器の音が立っている。1曲目のように前のめりじゃないけど、キリッと立ち上がってこちらに迫ってくる。いや、優しく見つめている感じかな。その後の「storm」、これ何故か全部小文字なのだけど(笑)、とその後の「Four」は、まさに4つ巴の音のアンサンブル。1分40秒から始まるジャズ的ギターソロはまさに必聴。前も書いたからここで切るけど、もう痺れまくり。


 ここで、SensationのFacebookよりRippleをどうぞ。美味しいとこだけの抜粋。アルバムよりアグレッシブな渾身のギターソロ。ループで聴きたい。


 この人たちは、決して、勢いだけで持っていこうとはしない。そこに必ずいやらしくないほどのいい塩梅に隠された緻密な計算があって、この音が気持ち良くないとか、よくあるよねこのメロディとか、力技で持って行ってしまいました、なんてことは絶対にないのが聞いていると解る。ライブでもこうだとしたら凄いわ。この、気持ちいいことこの上ない音の洪水をシャワーのように、いやいやスコールのように、全身に浴びてみたい。



ライブ後の余韻だね。プレイヤーもオーディエンスもきっとこんな感じよね。


 そこからの、徳永暁人氏ボーカルの「パラシュート」ソングですからね。これについては以前の記事(6月に上げた「徳ちゃんと大賀くんの話」を参照)で散々語ったところだが、さまざまなところで見られるのが、この曲を歌っている彼=徳ちゃんは、そらもうセクシー全開!だということで(笑)。徳永暁人氏のポテンシャルMAX100000%級のセクシー全開の曲は、彼のバンドdoaでもあまり見られない姿らしく。それって凄いわよねえ。そんな、普段見せない姿を晒すことをSensationに許しちゃったのね徳ちゃん、というか、徳ちゃんのそんな姿を曝け出させたSensationってバンドが凄いと思う。

 聞く相手を引き摺り込み、それだけではなく更にのめり込ませるパワーがこの、Sensationの1枚目のアルバムにはある。




 また、Sensationのアルバムは、是非とも一度はイヤフォンを通してお聞き頂きたい。とにかく音が詰まっている。右方向や左方向など、あっちこっちのチャンネルからいろんな音がやってきて、さながらオーケストラのよう。是非お試しあれ。






 さて、お待たせしました、それではグーグーの歌詞を。

 その前に、Spotifyのリンクを。下にYouTubeも貼ってあります。



Iris by Goo Goo Dolls


And I'd give up forever to touch you
'Cause I know that you feel me somehow
You're the closest to heaven that I'll ever be
And I don't wanna go home right now

And all I can taste is this moment
And all I can breathe is your life
And sooner or later, it's over
I just don't wanna miss you tonight

★And I don't want the world to see me
'Cause I don't think that they'd understand
When everything's made to be broken
I just want you to know who I am

And you can't fight the tears that ain't coming
Or the moment of truth in your lies
When everything feels like the movies
Yeah, you bleed just to know you're alive

★repeat 3 times





「アイリス」translated by Cotey



君に触れるのを永遠に

諦めてもいい

君がその中で

感じているのなら

まだ行ったことのないような

高みに1番近づいている君

僕はまだ

君から離れたくない


今この時だけを

味わい尽くしたい

君の全てを

飲み込んでしまいたい

やがて2人の波が過ぎるまで

今夜は君と一緒にいたい


★誰にも見つかりたくはない

誰も判ってはくれないから

何もかもいずれ壊れてしまうなら

君だけに解ってもらえればいい


溢れぬ涙に抗えはしない

嘘から生まれた真実にも

全て作り物に思えるなら

温い血を流してみればい


★repeat 3 times






「やがて2人の波が過ぎるまで/今夜は君と一緒にいたい」

(And sooner or later it’s over / I just don’t want to miss you tonight)

ってのはさ、要するに、パラシュート徳ちゃんの歌う、

「イタいとこまで一緒に/ねじれたまま急降下」

ってことなんだろうねえ。東西問わずやなあ。


 最後に、大賀くんのInstagramのオープンアカウントに落ちている動画。Sensationの素晴らしき鍵盤担当大楠くんと一緒に演奏されています。見てくださいませ。ここで大賀くんはSensationのライブにいつか、SAXプレイヤーの鈴木さんを入れてみたいと発言している。是非!是非是非!私、ジャズはサックスが大好物なのよ!


 最後の最後に、「Sensation」「Aqua」をどうぞ。













Photos are from Sensation’s Facebook.