文:読む聞く「人生で最も影響を受けたのは谷杏子先生でしたー文藝別冊 大和和紀総特集ー」(追記及びSensation動画付)(7月25日更新分)






  今日はロマンチックな少女漫画の話なので、ロマンチックな曲を貼り付けて勝手に気分を盛り上げる。え?関係ないって?いいんです私が貼りたいんです。

 好きを公言して憚らない大賀好修さん率いるバンドSensation(祝!本日デビュー9周年!)の、ライブ動画。Instagramに入ってる、“A Whole New World” のカバー、これが傑作。記事の前にぜひ!こちらからどうぞ。

 私はまだ彼らの音楽を知って間もないのだけど(この辺りについては、宜しければ右隣の欄、オススメ記事へどうぞ)、その魅力にずっとヤラレっぱなしでここまで来ている。もちろんそれは、大賀さんに魅了されてるからに他ならないのだけれど、それだけではなく、バンドの音そのものにも相当魅了されているからである。毎日聴いても飽きないし、聴けば聴くほどに深い味わいがある。例えば、好きなブランドのコーヒーのように、欠かせない存在になっているのは確かだ。いつかきっと、彼らの演奏をナマで見られる日が来る。その日を心待ちにしている。





    さて。

 私の通っていた女子校が、80年代後半の当初としても結構雰囲気緩めの学校だったことは以前にも書いた。

 高1の最初の授業で、「『赤毛のアン』を読みなさい」と楽しげに語ったT先生が、それから間もなく言った。

「源氏物語はね、『あさきゆめみし』を読みなさい。私も大好き」

 高校は本当に自由なんだな、漫画を勧めてくれるなんて、と当時の私は思ったが、そうではなく、大和和紀の描く「あさきゆめみし」は、連載が始まった時からずっと、漫画の域をとっくに越えた、立派な文学作品だったのだと、今の私には解る。

 小学校3年から、叔母からの英才教育(笑)を受た私は、大和和紀の漫画は、当時手に入るものは全てと言っていいほど読破していた。「はいからさんが通る」にズッポリハマってしまった叔母が、今で言うところの大人買いをし、本屋で手に入る漫画を一気に購入して来たのである。私はどの作品も文字通り舐めるように読み回し、それが原因で視力を落とした。母は烈火の如く怒り、その時あった全ての漫画を破棄してしまったのだが、それでも数々の連載は続き、コミックスになり、叔母がそれを買い、私に回してくる、という母にとってはこの上ない悪循環がその後も繰り広げられたのだった。

 おかげで私はその後もコンスタントに大和漫画に触れることになり、「あさきゆめみし」は最後まで読み切ることが出来た。古典が出来るようになったかは別としても、あれで古典への親しみが湧いたのは確かである。


 こんな懐かしいことを思い出したのは、最近、文藝別冊で、大和和紀総特集号が出たからである。新聞で知り、早速取り寄せてみた。いやあもう懐かしい作品のオンパレード!私としては感涙ものであった。

 特に、様々な漫画家さん達の特別寄稿のページが面白く、河原和音とおかざき真里、きたがわ翔、そして久世番子が最高だった。久世先生、「几帳抱き」っていう命名、最高ですね(笑)。





 さあここで、コティ的大和和紀大プッシュ作品のご紹介を。はいからさんもヨコハマ(レコード出た時買ったよ)もあさきゆめみしもいいけれど、私がハマったのは別にある。







「アラミス‘78」

こんなに楽しいラブ・スラップスティックはない。今でも1番好きな大和ワールド。このギャグセンス。絶対面白い方がいいに決まってる、という考え方。自分の人生に多大なる影響を受けたと思っている。





「天の果て地の限り」

額田女王、美しかった。学校で習う中大兄皇子をどうしても「なかのおおえのみこ」としか読めずに困った記憶あり。これで万葉集に興味が湧いた。あさきゆめみしより好きな古代ロマンワールドだったかもしれない。





「紀元2600年のプレイボール」

アラミスの次か、同じくらい好きな青春時代野球漫画。これの最後思い出すだけで泣ける。キャラだったら薬子とにしきさんが好きだった(笑)。





「あい色神話」

これ大好きだった!優等生女子と芸術系男子の、高校生からの10年間を描いたストーリーもの。こんな高校生や大学生や大人に憧れて仕方がなかった…なれなかったけど…。何度も読み返してはため息をついたものだった。





「翼ある者」

「ひとりぼっち流花」の後日譚だけど、これ1本でも読み応えあり。美しい話だったわこれも。「あい色」もそうだけど、芸術系の男にこの辺りからどんどん弱くなる(苦笑。が、幸か不幸か、私の周りには誰もいなかった。道を踏み外さなくて済んだのかもしれない(笑。まあ、別の意味では踏み外したけどたくさん…)





「菩提樹」

大学生になっても読んでた気がする、これ。医大生の話なんだけど、一大青春もので、ドラマ化しないかとずっと思ってたくらい。大好きだったほんと。主人公だけじゃなく、6人全員の人生が丹念に描かれるのもとても良かった。






 「影のイゾルデ」、絶対読んでると思うんだけど、ちょっと覚えていないのよね。でもこれ、「トリスタンとイゾルデ」のイゾルデがモチーフだと言うので、せっかくなのでいつかこれだけは買ってみようかとも思う。




 大学生になり、一般教養の英語IIという授業で初めて、「トリスタンとイゾルデ」を読んだ。もちろん英語で。先生は、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を引き合いに出して、違いも含めて語ってくれた。大学1年生の女子にはとても興味深く、とても美しく、とてもロマンチックに聞こえた。だからこの先生に付いて、英文学を学ぼうと思った。

 そんな純朴な女子大生だった私が、まさかダンの詩を好んで読むことになろうとはねえ(苦笑。人生は、本当に解らん。









文:見る聞く「史上最強のスピンオフー徳ちゃんと大賀くんの話 Part2:THE LOUNGE @Blue Note 東京 ONLINE versionー」(6月28日更新分)



 

 海ドラファンあるあるだが、主役よりも脇キャラに惹かれるということがある。例えば、いつも引き合いに出す「エレメンタリー」シーズン2の、シャーロック・ホームズの兄マイクロフト。社交的で、渋くて、穏やかで、楽しくて、少しお茶目で、少しいい加減で、少し憂いがあって、料理が得意で、セクシーで。ホームズだって背は高いのに、彼よりもっと背が高いのもツボ。あれじゃあワトソンが惚れるのも無理ない(知らない方のために言っておくが、「エレメンタリー」のワトソンは女性)。あの時の「黒くぬれ(Paint it black)」痺れたねえ。さすが、イギリス人はこういう時ストーンズなんだなあ。登場がワンシーズンで終わりなんて寂し過ぎたわ。







 或いは、海ドラファンあるあるパート2。スピンオフの方が好きってヤツ。スピンオフ、つまり本家のエピソードでゲスト出演したキャラが、今度は主役を張って新しいストーリーを始めて行くっていう、あれ。例えば「NCIS:LA」。本家「NCIS」も実はスピンオフなんだってね。知らなかった。LAはね、もうね、みんなドラマ内で結束力半端ないし、普段の写真とか見ても仲よすぎ。





 準主役の、ケンジーとディークスの結婚式の時のエピソードストーリーなんか、冒頭から楽しすぎて再放送の度に見てしまう。大体ケンジーが美しすぎ。この時のウェディングドレスが見事。背中がとっても綺麗で、こんなドレスが着られる身体って素敵~と叫んでしまう程。





 ボスのへティも大好きだし。主役2人はもう言うことなし。カレンとハンナは絶対愛し合ってる(笑)。いやいや、冗談は抜きにしても、要は最高のバディドラマでもある訳だ。





 このドラマ、本家と同じくらい人気があるし、本家と同じくらい、いやそれ以上、私は面白いと思っている。大好きなドラマの一つ。


 で、何が言いたいかというと。

 先日から引っ張りまくっている、B'zの5ERASライブサポートメンバーの、徳ちゃんと大賀くんについての話。彼らにハマるってのも同じこと、つまりはB'zのスピンオフにハマったってことなんじゃないかということ。本家と同じくらい人気もあるし、本家と同じくらい、いやそれ以上に好きになっちゃってもいい。本家=B'zがいたからこそ彼らに出会えた訳だけど、本家から派生した別のドラマはきっと、本家とは違う味わいで、本家を少し離れた軌道上で、その魅力を多分に発揮するんだと思う。





 今回、大賀くんの話出て来ないのに写真貼ってしまった。

 Sorry but I’m addicted to him.


 それがどうやら正しいらしい、ということが、先日ブルーノート東京で行われた、増崎孝司さんの主催するセッションライブ「THE  LOUNGE」で証明されたと勝手に思っている。前回ここでも書いたように、私は配信で楽しませてもらった訳だが、配信だからという引けが全くない、いやもう文字通り全くない、非常に楽しい、興奮冷めやらぬライブを堪能させて頂いた。


 ライブ時間の少し前から、会場内での音が入る。微かにさざめきあう声、グラスや皿の音、人の気配。ああ、思い出すなあ。聞いてるだけですっごくいい気分。何年も前のことなのに、五感で覚えてるもんなんだなと思う。始まりはブルーノートの動画から。そしてステージ。


 私が知ってる徳ちゃんは、そこにはいなかった。いや、もちろんいたんだけど、それは徳ちゃんじゃなくて、徳永暁人そのものだった。

 まず服装が違う(笑)。

 そこからかよと言われそうだが、そこからでしょ。だってさ、B'zの時には大体やや大きめのTシャツとかジーンズとか、当たり前だけど、あまり目立たないスタイルな訳だよね。それがさ、首元の開きがやや広めの黒のタイトなインナー(タンクかな)に革のジャケットだからね。表地は黒。中はベージュ系かな。まくった袖がそんな風に見えたけど。色味がなんとも大人のセレクト。そして黒のタイトなパンツ。多分ジーンズ。いやあ、セクシー徳永暁人全開。うーん。いいなあ。こういうの。いつもと違う顔を見せてもらえるのって、ちょっと、いやかなりドキドキする。


 選曲は、個人的には最初が特に最高だった。リー・リトナー、ハービー・ハンコック。痺れたねえ。その後の曲も全体的に海っぽい雰囲気が漂っていたこともあり、ここでの”Maiden Voyage”はとても気持ちよかった。また、AKIHIDEくんのギターのイキがったやんちゃさもなかなかよかった。聞いてて踊り狂いたくなる感じ(笑)。配信ライブ@HOMEでよかったよ。現場じゃまだ出来ないからさ。


 徳ちゃんの話に戻ると、固定されたカメラの位置が素晴らしかったと思う。下からベースを中心に舐めるように(笑)撮っているのだけど、彼のあの長い指がクローズアップされ、演奏する佇まいが如何にサマになっているかを見るものに解らせる。チョッパーから何から惜しみなく見せつけ、叩くようなプレイやギターさながらのプレイなど(すいませんこの辺、奏法の名前が解らなくて)、サービス精神旺盛な徳ちゃんは心から楽しんでいるようで、余裕も感じられて、ああ大人なのねえと、感嘆のため息を漏らしてしまう。話す声も低くてスモーキー。稲葉さんの声を柔らかいベルベットで包んだみたいな。「今日は楽器で歌いたいと思いますので」って言ってたっけ。癒される。


 ここでいきなり徳ちゃんにリクエスト。あの背格好であの指の長さ、あの力強さから言って、絶対に、ウッドベースが似合うと思うんだ。重くてでっかくて大変だろうけど、あれも弾いてくれないかなあ、いつか。1曲でいいから。彼があれをパワフルに弾いていたらめちゃくちゃ絵になるはず。こんな、インターネットの世界のほんの片隅で、こそっと呟いておく。






 さて。今回の配信ライブ、1人きりで楽しんでいた訳ではない。そもそも、友人Kが徳ちゃんが見たいというのでじゃあ双方でチケット取ろうかという話になったのであり、彼女が全てのきっかけだったと言える。その彼女は、金曜夜のライブ配信の頭には間に合わず、私とのメッセージのやりとりの中で様子を知り、途中から参戦し、そこからは互いにメッセージの応酬というかね(笑)。

 どのくらい我々がおかしくなっていたのかを、以下に、晒せる部分のみ晒しておくので、どうかご覧頂きたい。









 全てをお見せできないのが心から残念だ。

 私は昨夜までに6回見た。彼女も同じくらい見ているんじゃないかと思う。

 こんな状況じゃなかったら、もしも金曜に休みが取れれば、2人で少しいいホテルを取って、ブルーノートでの雰囲気と食事を堪能し、ライブを存分に楽しみ、ゆっくりお風呂に入り、酒を酌み交わし、明け方まで語り倒し、お昼頃もそっと起きて、名残惜しくて堪らないけれど、また電車に乗って互いの陣地に帰る、といういつものコースを辿っていたんだろう。


 私達にとってライブとは、ライブそのものの楽しみももちろんだが、それ以上に、互いに顔を合わせ語り尽くせぬ数多の話をすることを意味していた。それが削がれてしまった今、私達はどうすべきなのかと漠然と思っていたけれど、案外、中身って同じなのかもしれないと今回の配信ライブを経験して思った。顔を合わせることの大切さ、というけれど、言葉は何も音声だけで交わすものではない。画面の中の文字である彼女の声は、ちゃんと私に届いていたのだし。

 そんなことを経験させてもらったのが、徳ちゃんの出演していたライブで、ラッキーだったような気がする。徳永暁人さん、本当に素敵でした。スピンオフってやっぱし最高。

 せっかくブルーノート会員に復活したのだから、また配信で何か見たいなあ。



 こちら、徳ちゃんのツイッターです。

 ブルーノートの時の素敵な写真が出てきます。ぜひクリックを。








文:聞く「『好きな人いる?』『イッコ下なんだけどね』ー徳ちゃんと大賀くんの話ー」(サブスク解禁情報追加!)(6月21日更新分→2022年2月6日再更新)



<修正!>

本文中の、大賀好修さんのバンドSensationですが、2021年12月24日よりサブスクが解禁になりました!ご自身ご登録のサブスクよりお進み頂きますと、アルバム4枚及び既存のシングル、また新曲 “Night Breeze”まで全てサブスクでお聴きになれます!ぜひアクセスを!


 いくらあってもいいもの、というのがある。例えば、収納場所。無尽蔵なら言うことない。そんなことあり得ないのは解っているが。その代わり、「好きなもの」なら、恐らく、いくらあっても構わないし、実際いくらでも思いつくことが出来るんじゃないだろうか。


 私の好きなもの。例えば本。読むのが好きなのはもちろんだが、本自体が好きだ。紙の厚さや表紙の色味、全体の大きさ、フォントの形などなど。それがたとえ大学受験用の問題集であっても、好きな体裁のものを愛する傾向がある。或いは例えば映画。最近は全く見る時間がないが、ふと思い出すのはやはり昔何十回、何百回と見直した作品。「LAコンフィデンシャル」なんて、いまだに数々のシーンが浮かぶ。ラストシーンなんて最高だ。はたまた例えば海外ドラマ。私の「エレメンタリー」の偏愛ぶりには夫もしばしば閉口していた程。そりゃそうだろう。再放送になるたびに全て録画して見直すのだから。既にディスクに焼いてあるというのに。







 好きだったなあシーズン2。一番好きだったかも知れない。マイクロフト出てくるし。




 あら素敵。大好きでしたこのコンビ。いつかここに書きます。


 そして音楽。ロックもジャズも大好きだ。若い頃から誘われれば大抵のコンサートやライブに行ったし、自分からチケットを取ったことだってどれだけあるか解らない。何万人も入る会場もいいけど、小さな箱なら尚のこといい。そういえば昔、TOKUさんのライブに行ったことがあるが、目の前の席しか空いてなくて、そこに座ったはいいが余りの恥ずかしさに顔が上げられなかったのを覚えている。今考えると、あんなに近かったんだから、ガン見すれば良かった。いや、するべきだった。




 このアルバムにサイン貰いました。


 前回に続いてB'z関連話だ。引っ張るつもりはなかったが、現在、引っ張らざるを得ない状況にある。短歌?もちろん書いてはいるが、若干ペースが落ちている。仕事が立て込んでいるから、というのもあるが。


 昨年行われた5週連続配信ライブの模様が、特典映像付きでリリースになるということで、私と友人Kの間で盛り上がってはいたのだが、ある日私のもとに、ブルーノート東京よりメールが届いた。ライブのお知らせだ。週1で届くそのメールを、その時の忙しさによりこれまでも見たり見なかったりしていたのだが、その日はたまたま朝から暇で、メールをスクロールして下までゆっくりと見ることができた。


 あれ?これ、徳ちゃんじゃん。





 友達でもない癖にすっかり愛称で呼ぶのに慣れてしまった、5ERASサポートメンバーのベースの徳永暁人さんが、増崎孝司氏のライブに出るという内容だった。


 配信ライブと聞くと何やら味気ない響きが増すようにも思うが、考え方を変えてみればいい。もしこんな状況じゃなかったら、つまり普通に観客入りのライブが行われるのなら、私は間違いなく彼の出演するライブを見たいと興味を持ったり出来なかったと思う。地方の人間の悲しいところだが、都会のライブに平日行くのはやはり困難である。ましてや仕事を持っていたりすれば。


 だから個人的には、ライブに関しては、配信という形式を歓迎している。青山のど真ん中、いつ足を運んでも素敵な風景しか見えないブルーノート東京で行われるライブを、地方にいながら楽しめるのだから。


 ブルーノート東京に初めて行ったのは2014年、松本孝弘さん、つまりB'zの松本さんのソロライブだ。大好きな大好きな松本さんが、ジャズファンとして憧れてやまないあのブルーノートでライブと来た日にゃあ、盆と正月とクリスマスが同時にやって来たような興奮で、とにかく何がなんでもチケットが取りたいと思い、速攻でブルーノート会員になった(実はラリーさんの時のブルーノートは取り損ねていた。何度DVDを観たことか。でも、同じ2010年の9月の東京JAZZには行った。いつもとフィールドが違う、アウェー感のあるステージでの松本さんは、新鮮だったし相変わらず素敵だった)。お陰でチケットは無事にゲットできた。友人Kとペアシートど真ん中左寄りで見たのを今でも鮮明に覚えている。






 ああ懐かしい。夢のような時間だった。前に書いていたブログを、この記事を最後におしまいにしたんだったとふと思い出す。我ながら、いい締めくくりだった。


 で、今回。徳永さん、もとい徳ちゃんがライブに出演するという。早速Kにこんなのがあるそうだけど、とメッセージを送ると、二つ返事で配信で見たいという。そして彼女は白状した。実は昨年の5ERASの後、徳ちゃんの余りの素敵さにヤられてしまい、プロフィールまで調べていたのだと。なにい、聞いてないぞ。





 あら素敵。


 そこで私も、彼についてちょっとネットで見てみた。更に言うと、他のサポートメンバーについても調べてみた。そこで驚くべき事実を発見した。


 徳ちゃんも好きだが、私は、松本ファンなら然もありなんだが、大賀くん=大賀好修さんが大好きである。生でも映像でも、B'zのライブを見たことのある人なら解るだろうが、彼のギターの音色の素晴らしさと、実力に裏打ちされたテクニックはかなりのものだ。私は演奏に関しては素人だが、長年様々な音楽のリスナーをしてきたので、耳はそれなりに肥えている方だと思う。彼の音の良さにはいつも唸る。そしてあのプレイっぷりが最高である。常に松本さんを見て、合わせていくことが、多分何より楽しいんだろうなと無理なく思わせる笑顔。彼を見ているこちらが幸せを感じてしまうくらい。





 白状すると、前出の2014年松本さんのブルーノートの時にも、実は彼を見ている時間が長かった。だって楽しそうなんだもの。ついつい目が奪われていた。まあ、こっちはお酒飲んで聴いてるからもっと楽しい訳だけど。
 
 ついでにもっと白状すると、2016年のVoyageの時も、2017年のダニエルさんとのライブの時も、私は彼を相当長い時間見ていた。2016年はまあ、武道館だから、至近距離じゃなかったけど、2017年は2014年とほぼ同じシートが取れたので、ペアシートからゆっくり堪能させてもらっていた。










 
 飲んだなあ、Omotesando。美味しかった。

 で、何を発見したかというと。徳ちゃんと大賀くんが、同い年だということである。いや、でもこれはまあ、知ってる人も多いかも知れないし、驚くべきことではないだろう。私が驚いたのはもっと個人的なことで、この2人、私と年が1個しか違わないのである。


 驚愕だった。もっと若いと思ってた。というか、あまり意識したことが今までなかった。1個と言っても、誕生日から換算すると、徳ちゃんはまあ、まるまる1個違う訳だけど、大賀くんに至っては、もしも彼が後1ヶ月早く、いやいや、あと10日ほど早く生誕していたら、私こそ同級生になっていたのである。


 あの人たちがほぼ同級。ほぼ同級の人たちが、あのステージで彼らと音楽を奏でていたのか。そう思うと妙に気持ちが沸き立ち、嬉しくなった。別に私とはなんの関係もないのだけれど、でも、自分と同じ時期に同じものを見て、同じ音を聞いて、同じ思いを感じて、同じものに憧れ、同じ流行に乗っかって、同じレコード(またはCD)をレンタルして、同じマンガを読んで、同じことに悩んで、同じ時期に卒業して、ということが、本当に起こっていたのだと考えるだけで、そのほぼ同級の2人をとても身近に感じられたのである。勝手なようだけど。





 この写真大好きだ。特大パネルにして飾りたい。

 これまで、好きなミュージシャンといえば、年上なのが当たり前だった。そして、手の届かない遥か彼方にいるのが当然だった。B'zの2人は私達にとっては天上の人で、だからこそ永遠の憧れなのだ。昨今、「推し」というワードが頻繁に使われるが、私とKはこの言い方を好まない。だってB'zなんて、別にこれ以上推さなくったってB'zなんだもん。大体、推すって何?好き、でいいじゃない。大好きで。もう、心の底から大好きってことでいいでしょ?好きに敵うものなんてないはずだから。


 脱線したが、実際、徳ちゃんの過去のインタビューをネットで読んでみると、彼が小学校の頃オフコースを聞いていたとか(ドンピシャ)、テレビで流れない音楽をラジオで聴いていたとか(私は角松敏生の初体験がラジオだった。中3で)、カセットで多重録音とか(やったやった)、ディスカウントショップの前のキーボードとか(私は駅ビルの電気屋のデスクトップパソコンだった)、受験の話とか大学の話とか、なんだか目に浮かぶ光景がたくさんあって、本当に同じ時代を歩んでいたんだなあと思い、非常に感慨深かった。私と彼との一番の違いは、恐らく、私達まで「共通一次」と呼んでいた試験を、徳ちゃんの学年からは「センター試験」と呼ぶようになったこと。そしてその時期は確かまだ、センター試験という呼称も定着していなくて、「新テスト」などと呼んでいたような記憶がある。





 そしてこんな風にいろんなことを調べる中で初めて、私は、大賀くんが結構前からバンドを組んでいたことを知った。結成は2012年。ショックだった。私は遅かった。本当に気付くのが遅かった。なんたる失態。その頃何をしていたんだろう。2012年って言ったらまだ独身で、時間だけはあったはずなのに。しかもバンドが、大好物のインストバンド。いったい私の目は何を見ていたのか。なんたる節穴。





 早速iTunesで検索すると、果たしてアルバムが既に4枚出ており、ソッコーでDLした。全部。まずは新しい4枚目。次に、徳ちゃんがゲストボーカルで1曲歌っているデビューアルバム。そして2枚目、3枚目。数日繰り返し聴くうちにどハマりした私は、音源だけでは飽き足らず、結局ディスクを4枚ともネットで買うという、大人買いと呼ぶには余りに大胆、いや誠にけしからん暴挙に出た。それがこれである。興味のある方がいるといけないので、下に、ディスクの中身をチラ見せしておく。どう?一番下の、4枚目の中の写真、素敵じゃない?






 語り倒してるな。馬鹿だな私。でも、好きって止まらなくない?


 さて、アルバムの中身だが、これが実に充実している。インストものを聞いたことがない人もいるだろうが、是非体験して頂きたい。言葉がないからこそのドラマティックな展開。目の前に無限に広がる風景。楽器同士の掛け合いの妙。豊かなライブ感覚。これは一度ハマったら絶対やめられない。


 インストものといえばカシオぺアやTスクエアが思い出されるだろうが(ベタだけどカシオペアの「朝焼け」はいつ聞いてもグッとくる。Tスクエアは夫がF1ファンなので、隔週でテレビから流れて来る。今年はずっとあれを使っている。懐かしい)、角松敏生のギターインストアルバムは、今聞いても傑作である。大傑作と言ってもいい。私にとっては、ギターって最高!と思わせてくれた大切な2枚である。高校2年の時、レンタル屋で初めてあのレコードを見て気になり、少しして借りたんじゃなかったかなあ?それとも別の時にCDだったのか(というのもそのレンタルレコード屋が間もなく閉店してしまい、別のレンタルCDショップの会員になったことは確かだから)。その辺は覚えていないが、とにかく衝撃だった。カッコよくて、大人で、スマートで、都会で、ちょっと下世話で。その頃の自分には縁のなかった遠い世界を、少しのドキドキとともに教えてくれたアルバム。それがSEA IS A LADYと、大学時代聴くに聴き込んだLegacy of Youだ。





 取れなかったんだよなあ、チケット。角松の。当時はもちろん公衆電話から。


 そんな青春時代を送ったもんだから、大賀くんがインストバンドSensationを組んでると聞いたら頭がおかしくなるくらい興奮してしまうのもお解り頂けるのではないだろうか。え?わかんない?


 デビューアルバムがいいのは理解出来るが、何がいいかって、4枚目が最高なところだ。サウンドが進化して、新鮮さや勢いだけではない深い味わいになっている。ジャズ的な感じが他の3枚より強いため,全体的に陽気さが少し薄れ、大人の男性の色味が強くなっているように思う。1曲目の「Axis」、テンポは早いが、アコギの音なんかめちゃくちゃ渋い。1分18秒辺りからのピアノのソロもグッとくる。その後の1分40秒辺りからのアコギが最高だ。大賀くんの魅力は、このアコギの音ではないかと思う。もちろんエレキの音もすごくいいのだが、彼のアコギの音色は、パワーがあるのに実に繊細だ。シングルにもなっている3曲目「月影」の、エフェクターがかったように聞こえるサビのギターの音もいい。光が表現されてる感じ。また、大人のサウンドといえば、8曲目の「色なき風」。重めのスタッカートのビートに、マイナーともメジャーとも取れるようなコードが絡む。1分50秒辺りからのギターソロなんかもうハートに響きまくりだ。実はこの重めのリズム、私は大好きだ。B'zファンに説明するなら、「ながい愛」といえば解りやすいだろうか。リズム隊が良くなければ、この手のサウンドは成立しない。その点で言えば、このバンド、ドラムもベースも実にいい。ドラムが刻むビートのキレの良さ。無機質過ぎず、かといって装飾しすぎない匙加減。またベースだが、このアルバムで一番好きな11曲目の「Evoke」、これのベースが実にいい。裏で一瞬鳴るベース音があるから身体が動く。腰に来る。腕を上げたくなる。Evoke、本当に好きで、頭の中に流れてくると自然と笑顔になるくらい。きっとライブで演ったら盛り上がるんだろうなあ。いやあ、傑作じゃない?このアルバム。




 いい顔してるよねえ。真剣な顔ってグッとくる。


 1枚目はもちろん1曲目の「Sensation」。リリースされたのが夏だったこともあるのか、聞けばたちどころに海が見えてくる。特に、車で海に向かって行って、わあっと広がってくるイメージ。ブレイクのところで指をパチンと鳴らしたくなるのは私だけではあるまい。1つ1つの音がかなり前のめりに立ち上がっているのに、全体のバランスが取れている。だからこの上なく気持ちいいのだ。ジャズ好きとしては7曲目の「Four」にも心が揺さぶられる。ジャズ的アプローチがある曲で、4枚目の6曲目の「Autumn alley」もそうだけど、こういうのをもっと演奏してくれないかなと願う。最近になって大賀くんのインスタの存在を知り(最近まで知らなかったなんて痛恨のミス過ぎる)、以前の投稿などを見直しているのだが、ジャズについての書き込みもあり、今後も頼もしく思っている。そして、冒頭に出てきた徳ちゃんこと徳永暁人さんが作詞とボーカルをとるラス曲「パラシュートが開かない」。あのねこれはね、語り出したら止まんないから少し抑え気味に(笑)。まず、このバンドのプロデュース力に脱帽する。それまでのトラックとは一線を画しつつも、アルバム全体のトーンを崩さない流れになっていて、聞いてて最高のボーナストラック的存在になっている。胸を掴まれるようなドキドキ感のあるサウンドに、徳ちゃんの詞と声が乗る。それが実に見事にセクシー。スレスレのところまでイっちゃいそうな歌詞に、男っぽいけどセンシティブな、聞いているとクセになる声。しかし友人K曰く、まずは「声を出す前の、最初のブレスでヤられる」とのこと(笑)。息遣いまで含めて彼=徳ちゃんの魅力を最大限に引き出していると言える。リピート決定で聴き込みまくりたい、そんな素敵な曲だ。


 2枚目は前出2枚に比べてもう少しソフト。「Geometric」やYMOのカバー曲の「ライディーン」が入っているとはいえ、全体的に優しさが溢れかえっている曲が多く、切な系も上手いのだなと、幅の広さを思わせる。ちなみに我が夫が最初に反応したのはこのアルバムで、車で聴きたいというので貸したところである(やはりCDを買っておいて正解だった)。彼は昔、携帯の着メロがライディーンだったらしいので、耳に馴染みがあるのかもしれない。夫は私の2つ上。大賀くんと徳ちゃんが高校に入った年には残念ながら大学に進学していた、という年周り。どうでもいいかこれは。


 3枚目はテーマとしてスポーツが挙げられているという、ある意味コンセプトアルバム。大賀くんはサッカーが好きなのかなあとタイトルから解る。こんなことを書くと、なんだか、女子高生だった若い頃電車通学をしていて、行き帰りが一緒になる隣の高校の男子の会話を最寄りの駅で盗み聞きしては、彼の趣味を推し量っているような、そんな錯覚にさえ陥りそうだ。まあ、そんな事実は一切なかったのだが。個人的には「陽炎」に心奪われる。50秒の辺からの、グリッサンドとは違うのかなあ、ギターの用語も覚えてないのだけど、こう、ぐううううっと音が次第に上がっていく辺り、まるで身体の奥の芯の方を掴まれたような気にさえなる。その後、単音で高い音をトーンと伸ばされる辺り。堪らなく刺激的。「陽炎」だから太陽が燃え盛るイメージの曲だろうけど、聞き様によっては夜が浮かんでくるような、そんな感じ。





 とまあ、大好きな大賀くんのバンド、Sensationのアルバムを私なりに語り尽くしてきたけれど、まだまだ言い足りないくらい、彼らの曲は奥が深い。是非触れてほしい。そして感じて欲しい。


 ちなみに、Spotifyなどの配信にはどうやらないようだ(訂正:冒頭に書きましたように、2021年12月24日よりサブスクが解禁になりました!)。アルバムじゃなくても、気になった曲を、ダウンロードしてみて欲しい。







 笑顔の素敵な人って魅力的だよねえ。ほんと。いつまで見てても飽きない。

 巻き物好きなのかな。


 マイスター、という言葉があるが、職人気質のミュージシャンが集まったバンドが、昔から大好きだった(B'zにもあるよね、「ザ・マイスター」って)。大学時代、もちろんB'zも聴いていたし全てのライブに行っていたが、実は最も聴き込んでいたのはFENCE OF DEFENSEで、ライブにもよく通った。新宿の日清パワーステーション、何度行ったか解らない。あの、キラキラしているのに重厚感のあるサウンドが、若かった私のドツボにハマっていたんだと思う。ベルベット調のシャツにブーツカットのパンツ、8センチの黒いヒールを履いてライブに行ったっけなあ。ライブでは彼らはとにかく上手かった。オーディエンスを乗せるのも上手かった、それも全てサウンドで。SensationのアルバムをDLした際、ちょっと検索したら彼らも配信していた。現在の写真もあった。健ちゃんもマットシもワタルちゃんも、なんていい歳の重ね方をしているんだろうと惚れ惚れした。昔の記憶ではあるが、確か、元を正せば、まっちゃんがTMのサポートをするようになったのは、最初は健ちゃんの代わりだったような気がする。音を知ったのはTMより後だが、FODはある意味、私のルーツになっているんだと思う。それがこうしてB'zへ、そして徳ちゃん大賀くん、Sensationへと繋がっている。





 健ちゃんだけ2人と違うところを見ている辺り、昔から変わらない感じ(笑)。


 仕事を本気でする人が好きだ。片手間にするのではなく。別に全員が極めなければならない、というのではない。ただ、仕事に対して真面目に取り組む人が好きだということだ。


 大好きだった先輩がいた。彼はいつだって余裕のある様で、仕事を器用にサクッとこなし、自分の趣味に心から打ち込んでいた。それがとてもカッコいいと思っていた。どこか憧れでもあった。もしかしたら実際、それはカッコいいことなのかもしれない。でもある時ふと思ったのだ。それはやっぱり、カッコいいことじゃないんじゃないのかな、と。仕事はソコソコ、趣味には計り知れない情熱を捧げるって、どういうこと?って。


 私は人に声を大にして言える程、大きな仕事をしている訳ではない。けれど、前出の友人Kは、今の仕事に私がついた時言った。「そうよね、どうして今まで気づかなかったのかしら。あなた、それ天職じゃない?」


 その先輩のことは今でも嫌いではないけれど、かなり前から、誘われても飲みにいく気がしなくなった。まあ、私が結婚したってのもあったんだけどさ。


 こうやって駄ブログなんか書いているけれど、私は自分に任された仕事には、全力で取り組みたい。小さくてもプライドを持てるくらい。大好きな音楽家達を見習って。


 金曜には、徳ちゃんが出演するブルーノート東京の配信ライブだ。とても楽しみである。ライブ後にKとオンラインで語り合うのも。いや、我らのことだから電話かな。5ERASの時だって、毎週ライブ後に電話で小一時間喋っていたしね。


 彼女が、Sensationの曲がSpotifyなどの配信サービスにはないというので、iTunesのギフトカードをオンラインで送り、これで大賀くんとこにある徳ちゃんの歌を聞くんだとメッセージした。彼女は私のお勧めの、1枚目と4枚目のアルバムをDLし、大変気に入ったと言ってくれた。その翌日、お礼にと、週末に松坂牛が届くように手配したと返信してきた。


 徳ちゃんと大賀くんが、松坂牛に化けた訳だ。確かにこの2人にはその価値は十分あるが、私が送ったのは3000円の最低価格のギフトカード。


 私はわらしべ長者か。





 徳ちゃんのライブがきっかけで、ブルーノート会員に入り直した。週末が楽しみだ。




 いつかSensationのライブに行きたい。行かないと多分気が済まないな。

 大好きです。







 ご一聴くださいませ。