文:行く見る聴く食べる泊まる「『てっ!2日も行っただけ⁈ えらいこんじゃん!』〜島村楽器甲信ツアー2024・大賀好修ギターセミナー&セッションセミナー〜」(2024年1月20日(甲府)、21日(松本))




 確かに前回来てくれた時、「また来るよ!」とは言った。

 だけどそういうのって、当てにしてしまうと悲しい結果になることが多い。人生そんなもんだとどっかで思ってみんな生きてる。

 それは勿論その人だけのせいじゃない。そうしたいと思っても状況が許さないということは幾らでもある。


 だから、その「また」がちゃんとあるっていうのは、凄いことだと思う。


 つーことで。

 昨年10月にまさかの来県を果たしてくれたスーパーギタリスト、Sensationの大賀好修さんが、去る1月20日に更にまさかの再来県をしてくれた。


 ここにだよ?

 山梨にだよ?

 この、イージーアクセスとは無縁の、山梨にだよ?w


 アナウンスがあった時はビビったねえ。10月に行くよ〜と言われた時にも卒倒しそうだったけど、「また行くよ〜」と、それも3ヶ月で言われるとは本当に考えてもみなかった。




 音楽好きの山梨県民は何となくどこかで諦めている。関東地区にライブに来るミュージシャンは、首都圏が終われば次に行くのは静岡か長野と決まっている。中途半端に東京に近い(実際近いとは思うけど新幹線じゃなくて特急しかないからね)ため、山梨県民は、じゃあ東京においでと言われてしまうことが多いのだ。


「山梨なんダメさ。いっさら来ちゃくれん。こんねに言ったってダメさ」

 そう言って山梨県民はため息をつく。


「だけんど本当は、自分とうでやって欲しいだよ」

「や、山梨でライブしてほしいってこと?」

「ほうさよう。考えてみろし。行くもけえるんも楽ずら?」

「そ、そうだよね」

「来てくれりゃあ行くヂチはあるだよ」

「は?」


 とまあそういう感じでいるところへ、大賀さんの「3ヶ月で二度の来県」である。


 「てっ!また来てくれるだけ?嬉しいじゃ〜ん!」


 さあここからは、いつも通りではありますが、大賀さんの言葉などは勿論「原文ママ」ではありませんし、言葉が挟まれるシーンも全て当日を再現し切れた訳ではありません。大体こんなだったよという雰囲気をお楽しみ頂けたら幸いです。






2024年1月20日(土)

大賀好修presents,

ギターセッションセミナー(島村楽器イオンモール甲府昭和店)



 1月なので避け難い寒さがある上に当日は寒波到来で冷たい雨(雪にならなかっただけラッキーだったとも言える)。とはいえ甲府駅に降り立ち南口に出て上手に歩けばバス停までほぼ濡れず。中高生の熱気でコミコミのバス(近所で他に遊びに行くところがないのである)に揺られて30分。山梨のイオンモールは文字通りの郊外にある。


 いつものKちゃんPちゃんに、前回Wild Fourのライブがあった大塚でご一緒したCさんの4人で、本日の会場である島村楽器さんに行き受付を済ませた後、スターバックスへ。


 途中、昨年テナントで入ったばかりの猫カフェの脇を素通りすることが出来ず、トランペットが欲しい子供のように窓に張り付いていると、中からお姉さんが出てきてリーフレットをくれた。

「平日は今よりずっと空いているので、よかったら」

 出てきたお姉さんの後ろ姿を可愛いスコティッシュフォールドがガラス越しに繁々と眺めている。こんな天国みたいなところに平日入ったらもう人として機能しなくなる。

 スターバックスでひとしきり喋ってKちゃんと私は買い物に。暫く後にスタバに戻ると、これまた大塚でご一緒したLさんがいらしていて合流。会場に再度向かう。






 今回の甲府でのイベントは、大賀さんと一緒にギターを弾こうよ!がテーマ。アマチュアのギタープレイヤーさんが後半出てきて一緒に弾くのかなと想像しながら待っていると、島村楽器甲府店のマネージャー田辺さん(どうやら田辺さんは松本店でもマネージャー様であることが判明)のMCの後で大賀さんが登場。


「前回から3ヶ月?で甲府に戻ってきました!」


とご挨拶。感動だ。是非今後も3ヶ月ごとにいらして下さい(人間はこうして貪欲になる)。


 1曲目はオリジナルで、「和のテイスト」と「6度」を生かした、カッコいい激しめドラムンベースサウンド。シートは最前列の斜め筋向いで、大賀さんとギターを眺めるには最高の位置なのだが、ここまで距離が近いと逆に落ち着いて顔を見ることが出来ない(笑)ので、ずっとギターを弾く手を眺めていた(何やってんだ)。


 が。

 この手が実に綺麗なのだ。握手をさせて頂く時には気づかないのだが、指、特に指先が繊細で、フレット間を行き来する速い動きもとても優雅。これがプロなんだなあ。慣れていないととてもバタついてしまうんじゃないかと思う。全然見ていて飽きない。だからついうっかり1曲殆ど大賀さんの手だけ見て終わりそうになってしまう(笑)。


 2曲目は、待ってましたのSensationのナンバー。8分の7拍子が入った曲ということで、笑ってスタッフさんを指しながら


「この人達は(そういう変拍子が)全員解ると思いますが〜」


と煽る大賀さん。

 配信シングル(「Sensationの曲はみんな配信されていて、iTunesにありますので」と言って下さる。ファンとして何だかとても嬉しかった。ちなみにSpotifyにもある)のうちの1曲 “Eternal Soul”は、Sensationらしい凝りに凝った変拍子でありながらメインメロディは口ずさめるようなナンバー。


 マイ脳裏には、オケ冒頭のパーカッション音で既に車谷さんの姿が浮かんでいる。maica_nさんのライブを配信で見た時の車谷さん、痺れたねえ。あの時は大楠さんも一緒だった。

 “Eternal Soul”は途中、麻井さんのベースソロだけになる部分がある。そこでは今日もギターの音をほぼ入れない大賀さんが印象的。仮にオケであってもあれは「麻井ベースの聞かせどころ」だ。ベースの音が止んで、その後ぐわっとギターが入ってくるメリハリのある構成がカッコいい。




 3曲目の前に、


「今日は何も決めて来てないんです。2回目なので。何にしようかな〜。皆さん、何が聞きたいですか?」


と聞いて下さる。いや、何ってそらSensationの曲なら端から全部、とは言えないので黙っていると「ロックが聴きたい人!」と挙手制で決を取って下さる。そして、


「じゃあ、ロックとファンクなSensationの1曲、”Rumble!!!”を聞いて下さい」


 いやあ堪らん。大好きなんだこれ。

 以前Sensationの曲を、「SIDE A=誰かに紹介するための10曲」と「SIDE B=それ以外で痺れるほどかっこいい10曲」を勝手に選んで遊んでいたのだけど、 “Rumble!!!”はSIDE Bの頭に入れたくらい好きなナンバー。


 大賀さん曰く、この曲はキーボードの大楠さんと一緒に「何がええかな〜」と言いながら(多分)、2人で曲作りをしている時、大楠さんがこのイントロのメロディを引いたのを「それええやん!」と(多分)、そんなことが切っ掛けで出来た曲とのこと。

 確かにこの曲のキモはイントロのキーボードなんだよね。以前の配信ライブの時も最高にカッコよかった。照明が赤に変わって、大楠さんの手元が映されて、オルガンっぽい音が流れるという。

 ああ、早く見たいよSensationのライブが見たいようおうおう。



 今回の、大賀さんソロのバージョンは、1人なだけに相当自由に相当派手に引き倒してみましたバージョンになっており、これはこれで味があって好きだ。というか大好きだな。自然と身体が動くよね。大人しくしてないと後ろに迷惑だからしていたけど、本当は立って踊りたくて仕方がなかったw


 でもやっぱし比較の意味でもSensationのライブが見たいようおうおう。


 アバンギャルドな音が出てきて、途中ちょっと変な感じになるけど気にしないで、なんていうようなお話をされてたようだけど(メモによると。妄想で書いてないことを祈るw)、全然そうではなくてひたすらカッコいい曲だと思う。


 ここで写真タイムがあり、


「最近撮影タイムを取って下さいとリクエストがあるんでやるんですが、(苦手なので)写真撮る時ギター弾くんです」


と言って演奏して下さる。これって撮ってるこちらとしてはものすっごく得した気分です。ありがとうございます。



 その後田辺さんの司会でQ&Aコーナーが始まる。私はKちゃんがいつも何を書くのか聞いたり見たりしているので知っているのだが、彼女の人を惹きつける質問は本当に素晴らしくて、これまでいろんな場所でこういうコーナーがある時、彼女の採用率はなんと百発百中である。勿論今回も。


「どういうこんずら?」

「知らんじゃん」


 そのKちゃんの質問ではないのだが、今大賀さんがセッションしたい人は誰か、という質問に、大賀さんはアンディ・ティモンズとご回答。


「ほうけ〜。そりゃあ聞いてみねえならんじゃんね」

「なんでえ?知らんだけ?大賀さんのファンずら?」

「そうだけんど知らんこんもあるだよ」


 さて。

 このタイミングではなかったが、逆に「山梨の方言ってあるんですか?」と大賀さんに問われた田辺さん、


「山梨の方言、甲州弁ってあるんですけど」

「甲州弁!何か教えて下さい」


 山梨県民として、田辺さんが何をセレクトするのかものすっごく気になりながら聞いていたら


「そうですね…『ずら』ですね!最後にズラってつけるんです」


と来た(笑)。すると大賀さん、その後とても楽しそうに


「楽しいズラ!」

「ありがとうズラ!」


とズラを連発(爆笑)。



「そうは使わんだよ」

「じゃあどう使うでえ?」

「…」

「見てみろし。自分だって解らんズラ?」

「それん言いたかったっちゅこん」




 その後は、大賀さんの「一番好きなギタリスト」の中でもきっと一番好きな、ジェフ・ベックの「哀しみの恋人たち」(“Cause We Ended as Lovers”)へ。

 私はこれを、松本孝弘さんの昔のソロアルバム(“Rock’n Roll Standard Club”)でのカバーバージョンで初めて知ったクチなのだが、大賀さんのバージョンも本当に、原曲へのリスペクトあり、大賀さんらしいタッチありで聞き応えがあった。


 大賀さんはジェフ・ベックみたいにアームを使ったプレイをした後ぐっと腕を上に伸ばしてポーズを決めたいらしいのだけど、「うまくいかない気がするのでしませんw」だそうだ。


 が、私は見た。

 前回、甲府1回目の時、 “Purple Haze”のイントロのところでギュイーンとやった時に腕がぐっと上がった。あれは撃ち抜かれた。でも確か斜め後ろ向きだったのよね。だから今度は前を向いて是非やって欲しいな。



 

 ここからいよいよ、セッションパートへ。

 まずは、大賀さんの盟友であり、島村楽器甲府店のレッスン講師でもあるドラマーの杉山一士さんと、ゲストベーシスト様のヒナノさん(可愛い。白い。しかも細い。ハイウェストのグレーのパンツがとてもお似合いで、モデルさんみたい。清さんもそうだけど、女子ベーシストって何であんなにみんな素敵なのか)が入って、3人で、ジャコ・パストリアスの “Chicken”をプレイ。カッコよかった〜!


 「チキン」は♭の音が多く、これは元が管楽器の方々が演奏しやすくなっていて、というお話が大賀さんからあり、激しく納得。管楽器にとって「ド」の音はB♭の音なので、半音下がるが基本だものね。


 途中のソロ部分で大賀さんが、ロックっぽく、とかジャズっぽく、とか、ギタリストの誰々風、とか言いながら12小節ずつ(だったと思うが自信ないw)様々なバージョンのソロを聴かせてくれる。今回のセミナーの醍醐味だったかも知れない。


 この時、説明しながらソロに入るのだけど、大賀さん的にもう少し説明があるという時に、すっごく楽しそうな杉山さんが「さあ次行くぜ〜!入って〜!」と言わんばかりのドラムを叩き出すと大賀さんがクルッと後ろを向いて


「まだや!w」

「(先に)行きたそうな気配を感じる!(けどまだや!)w」


と合いの手を入れるのが実におかしかった。この時も冷静にベースを弾き続けるクールビューティーなヒナノさん。


 ギターがメインでベーシストのジャコパスをカバー、みたいに、他の楽器がメインになってカバーってパターンがとてもカッコいいなあって思うことがある。

 以前配信してくれた、Sensationの大楠さんが、同じく鍵盤プレイヤーの小野塚晃さんと2人でしたライブ「鍵盤祭り」では、大楠さんセレクトの1曲として、ギタリストのジョン・スコフィールドの「ホッテントット」をプレイしてくれた。これもカッコよかったのよね~。


 Sensationとしてのライブではジョンスコとかジャコパスってやったことないのかな?いつか演って欲しいな。


 2曲目の “Smoke on The Water”は、「演るのは30年ぶりくらいかも知れない」とのこと。言われないとわざわざはやらない、ということは今日はある意味貴重な演奏かも。で、これをセッションでやりましょうとのことで。




 ギタリスト様お一人目が出ていらして(前に庄太郎さんのセミナーの時もいらしていた方とお見受けした。庄ちゃんが松本さんの弾いてるのと同じギターにエキサイトして「それ、俺にもちょっと弾かして」と言ってステージ上で素に戻って借りていたのを覚えている)、ご自分のギターをアンプに繋いでいる時、大賀さんが急に言った。


「あ、いいこと思いついた!俺の、これに繋いでみて

「え…?いいんですか⁈」

「もちろん!」


 なんと大賀さんの足元=エフェクターボードに、セッションメンバーさんのギターを繋いでいいという。

 これって凄いことじゃない⁈ 私、素人だけど凄いって解るよ⁈

 そして始まった “Smoke on The Water”、セッションメンバーさんは原曲のソロを忠実にコピーしていたようで、それに気づくニコニコの大賀さん。

 お二人目の方が出てきてギターを持つと、大賀さんは興味津々。


「それ、どこのですか?」

「な、内緒ですw」

(きっと何か意味があるのだろうw その後ギターのバックをお見せしていたような記憶があるので、そこを見せると解るのかも)


 で、3人目のお方。「僕はソロをコピーしてないですw」というと「いいんです!自由に、好きに弾いてください」と、大賀さんも楽しそう。

 勿論、お三方とも大賀さんのボードに繋いでのセッション大会。これ、軽く震えるよね?こんなことあったら一生忘れないと思う。

 3人の皆様、またセッション大会があったら是非エントリーなさってまた大賀さんと演奏してくださいね。




 セッションが終わって、熱気の冷めない中で大賀さんがスルスルっと綺麗なメロディを奏でる。「今日はジャズを弾いてなかったんで」と言って、“Donna Lee”を。そしてこのタイトルに引っ掛けて、先日関西であった某会話の顛末を話して下さる(笑)。私はこういう、たま〜に出る、大賀さんでさえ「それ笑えねえしw」的な話が好きだ。人間らしくて実にいい。


 そしていよいよ最後の曲へ。私の後ろの男性が思わず「え〜⁈」と言ったのにすかさず大賀さん反応して「え〜⁈ってありがとう!」

 ラストの曲はご自身でアレンジされた「情熱大陸」。先日の、Wild Fourのライブでも披露されたバージョンを、大賀さんセルフメイドの音源で。この音源を、増田さん、イッコーさん、そして徳ちゃん(「徳永アキヒコ…ちゃう、アキコ、あw アキコやてwww 後で徳ちゃんにメールしよwww」と、徳ちゃんネタに1人湧く可愛い大賀さん)にも渡したんだという。うわあ凄いもの聴かせて貰っちゃった。勿論観客も大盛り上がり。


 初めて聴いた時から思ってるんだけどさ、これ、是非とも


「原曲を作った葉加瀬太郎さんにも聴いて貰いたい!」


こんなカッコいい、こんな盛り上がる、こんなに熱いバージョンがあるんですよって、私は葉加瀬さんにも是非知って欲しい。ああどうやったらお伝えできるのかなあ〜!



 セミナーという名のライブが終わってサイン会へ(ここで順番待ちをしている間に、たまたま田辺さんと言葉を交わす機会があり、翌日の松本にもいらっしゃることを知った)。

 プレゼントをお渡しして、握手も出来たけど、言いたかったことがちゃんと言えなかったため、翌日の松本で渡そうと思っていたカードの裏面にホテルでびっしりと書き込みした。夜中の1時半に(笑)。




 ライブ後はみんなで食事。迎えに来てくれた夫の車でホテルに行き、チェックインを済ませ、近所のイタリアンへ。ここのハウスワインが格別に美味いのだ。1杯550円とは思えぬクオリティ。










 Cさんを駅までお見送りして、夫は我らが自宅へ、私はKちゃんPちゃんとホテルへ。3人で散々語り合ってから解散し、風呂上がりにまたビールを飲みながらKちゃんと2人で語り倒し気がつけば2時半。まづい。明日もあるというのに。


「松本、どうだろうね」

「どっちの」

「…雪だよ雪!タックじゃなくて、シティ松本に決まってんじゃん!www」


などという会話を交わしつつ眠りにつく。






2024年1月21日(日)

大賀好修 ギターセミナー

(島村楽器イオンモール松本店・イオンホール)



 翌朝も奇跡的に甲府に雪は降らず、テレビのニュースを見るとシティ松本もそれ程の雪にはなっていない模様だった。この日遠征するのは私とPちゃん。Kちゃんとはホテルでお別れして(雨の中見送ってくれてありがとう)、我々は甲府駅へ、そしていざ松本へ。


 列車が入ってくるまで時間があったので、前日に大賀さんがインスタに上げた写真を撮ったと思しきスポットを駅のホームで探しまくる。勿論解りましたわよ。地元民が解らなかったら情けないだろ(笑)。




 外国人観光客さんでひしめき合う「特急あずさ」に乗り込み30分。小淵沢を過ぎた辺りから景色が変わり、雨が一転して雪景色に。山梨も小淵沢までなら予想がつくが、そこから長野の県境までとなるとミステリーゾーンだな。と思ったらまた雨。な〜んだ、長野って言っても思った程のことは…とタカを括っていたら、塩尻の辺りでトンネルを抜けると川端康成も真っ青なくらいそこは雪国だった。ひええええ。




 やがて松本に到着。道路は雨が混じり雪が溶けて歩きやすい、というかやすくないというか。駅前でコミュニティバスを待つ間、振り返って松本駅を見遣ると電光掲示に「2℃」と出ている。





 バスに乗り込み、外を見る。松本の街並みは本当に風情があっていい。以前夫とドライブに来た時に寄った小さな店がまだあるのに気づく。あそこで可愛い竹のトングを買ったんだった。


 イオンに到着。信州ギターコーナーに気合いが感じられる島村楽器松本店さんで受付をして、昨日のうちに松本入りしていたLさんと合流。

 松本のイオンにはイオンらしからぬお洒落なカフェがあり、そのうちの一軒に入ってランチにオムライスを頂く。美味い。それと、頼んだカフェモカが美味しいだけではなく熱々だったのも嬉しかった。外気1℃だしね。心地よいソファで寛ぎながら暫し歓談。





 時間になったので会場のホールへ行き、順番を待つ。会場は広くて綺麗で、席もゆったり座れる。ステージ脇には長野メイドと思われる、綺麗なギターが3本並んでいる。

 BGMが全てイーグルスだったのだが、これは始まってから大賀さん曰く、「昨日スタッフと、反省会という名の飲み会(打ち上げだったろうか…多分飲み会だったと思うw)をした時に、俺がイーグルスの話を延々としてたから、かけてくれたんだと思います」とのこと。




 昨日と同じ司会の田辺さんからご挨拶があって、大賀さんがやってくる。昨日は赤と黒のブロックチェックのシャツだったが、今日はグリーンのシャツ。


 「こんにちは!」と大賀さん。おずおずと「コンニチハ」と観客。元気がないなあ〜という感じで「こんにちはあ!」と大賀さん。「こんにちはあ!」と観客。


 今回のイベントは、島村楽器さんが以前とは場所を変えてイオンモール松本店にリニューアルした、そのオープン記念イベントであることがアナウンスされ、「呼んで下さってありがとうございます」と大賀さん。こちらこそ、来て下さってありがとうございます。




 お名刺代りの1曲目は、やはり大賀さんのバンドSensationの代表曲であり、甲府1回目の時も1曲目に披露してくれた “Sensation”を。何度聞いても感動するし、何度聞いても新鮮だし、何度聞いても「いつか絶対Sensationの4人バージョンをナマで聴きたいな」と思う(笑)。

 大賀さんのギターの音だけだってこれだけココロに刺さるのだもの、キーボード、ドラム、ベース、全ての音が目の前で生音になったらどんだけ感動できるか計り知れない。




 2曲目は前日の甲府でも聴かせて貰った大好きな “Rumble!!!” を。ファンクでロックな上がるナンバー。前日と決して同じじゃないのがいいよね。この日の席は2列目ながら真ん中。昨日よりステージが広いので、マイクを挟んで大賀さんが右に左に寄りながら聴かせて下さるためよく見える。


 3曲目に大賀さんの優しい音色のオリジナル曲を挟んで、写真撮影とQ&Aコーナーへ。ここである質問への説明(コンビネーション・ディミニッシュの話だったかと思う)のために、大賀さんの大好きなラリー・カールトンさんの話を挟んで、 “So What”をプレイ!これ嬉しかった〜!ジャズファンとして一度は目の前で聞いてみたかった1曲。




 また、以下はリハーサルに関しての質問に対して出てきたお話。


 Sensationは基本、リハしない。

 でも、俺以外みんな真面目だから、「じゃあ〜3曲目やっておきたい人〜」とかいうとこっち(と言いながら右手が上がって)の方から「あ、やりたいです〜」って声があってやる。で、終わって「じゃあ4曲目〜」っていうと今度はドラムの方から「あ、やっておきたい〜」ってことになって、結局どんどんやりたい人が出てきて、そのまま16曲くらいやってたりする(笑)。


んだそうだ。


 曲作りの質問に関しては、Sensationの曲作りはまずタイトルから出てくるとか、貴重な言葉がぽろっと出てきたりする。「高校生の時の僕」が聞いていたヴァン・ヘイレンの話とか。


「自分の弱点を見つけること」

「できへんと言われていることをできるようにすること」


など、いろんな質問への答えに大事なキーワードが幾つも並んでいた。





 最高に盛り上がった質問は、とある奥様から。ギターを弾く旦那さんが、エフェクターを沢山買い込むのだが、「あれは本当に必要なのですか?」というもの(笑)。大賀さんも爆笑しながら


「あれは、ギター弾く人には必要なんです!買ってあげてください!www

 でもすっごく沢山買い込んだりした時は、(旦那さんが)背中から殺気を感じるようにして…w

 だけど!買ってあげてください!w

 僕、オーバルトーンさんのをよく使ってるんですけど、そうか、今度それ、女性向けに売ったらええねんなw」


と答えていた(勿論旦那さんも来ていた。後ろの方だったので振り向かなかったけど、きっと仲良しなご夫婦なんだろう)。


 質問コーナーの中だったと思うが(違うかもしれないw)、同じコードを鳴らす上に別の音を被せるデモンストレーションをする際、後ろの方に向かって「あの、ギター弾けるよね?」と声をかけると、甲府店ギター担当の背が高くて顔のちっちゃい目黒さんが前に出てきて大賀さんの指示に従って音を出す。その時、ステージの下でしゃがんでコードを鳴らしていた。店員さんなので当たり前の動作なんだろうが、いい意味で記憶に残っている。目黒さん、またギター弾いて下さい。


 そして次に、「難しいことを難しい顔してしたくない」大賀さんから、Sensationの “Eternal Soul”の紹介へ。変拍子だけど難しくないんですよ、という代名詞としてお披露目。Sensationが3曲も聴けちゃって嬉しいったらない。ほんと松本まで来た甲斐があったよ。




 曲が終わってから「8分の7拍子のところ、解った人!」と挙手を求めてすかさず先程のご夫婦に目を遣ると


「あ!そこは解ったって言っとかないと、エフェクター買って貰えませんよ!


とツッコミ(笑)。


 さて、山梨より長野の皆様の方が素晴らしかったところ。大賀さんが


「何か聴きたいものありませんか?ロックが聴きたい!とか」


と問いかけた時にすかさずパッとネタが出てくるところ。大賀さんだってその方が嬉しいに決まってるんだけど、山梨県民はこういう時言えないのよ、肝心なところで(苦笑)。自分に対する戒めとして言っておく。ちゃんと声を上げよう!山梨県民よ!w


 で、スパニッシュギターの「ラスゲアータ」というスキル(弾き方)を見せてくれたり、「寒いから…ハワイアン!」「ヘビメタ!」というリクエストにも楽しそうにどんどん答えてくれる大賀さん。

 「パワーバラード!」というリクエストには「それはジャンルじゃなくて曲ですね」と言って、自身のオリジナルソングを聴かせて下さる。大好きな1曲だったのでとても嬉しい。


 お話をしている途中で、小さな音量で館内放送が入ったりするところがイオンモールなんだけど、実は松本のイオンホールのお隣がいわゆるゲーセン(笑)で、どこからともなくそういうデジタルサウンドが漏れ聞こえたりする時があり。

 すると大賀さんが笑いながら「これ何だか解りますか?」と言いながらマリオブラザーズの音をギターで再現してくれて。


「そう、コインの時の音ですよね。コケーンコケーンてw じゃあこれは?あ、そうそう!昔、大楠くんとようやったな〜!

 で、ある時2人で一緒に『これは⚪︎⚪︎の時の音〜!』とか言いながら(ステージで、だったかな?)遊んでたら『すいませ〜ん!音下さ〜い!』て言われたりとかしてねw」


 ゲームといえば、麻井さんも結構好きそうなのだけど、その時は麻井さんはいなかったのかな。麻井さんも一緒に行ったことはないのかな。4人で行ったりとかは?って食いつき過ぎだw




 ジェフ・ベックの話に移り “Scatter Brain”をご披露頂くのだが、その前にやはり変拍子のお話。この曲は8分の9拍子とのことで。

 ジェフがいつも練習で弾くフレーズがあって、それにバンドのメンバーがメロディをつけて、ある日ジェフが弾き始めた時にいきなり合わせ出したという嘘みたいなところからこの曲が出来たらしい。


「ガンズのあれもそうなんですよ。♪パペピぷペポぱぽほへはひはひほひ♪って。あれもスラッシュが普段弾いてるのが元になってて」

※♪の部分は勿論正確な再現ではありませんw


と言って、 “Sweet Child O’mine”のお話を聞かせて下さる。

 で、いよいよScatter Brainに入ろうというところで聞こえてきたのはあれ?さっき聞かなかったっけ?


「よく聞くドラムが聞こえてきたなと思ったらw 車谷くんですねw 同じSだったからSensationかけてしまったw」


 ファンとしてはちょっと得した気分でジェフ・ベックへ。そして「何回鼻血出したか解らないw」という「哀しみの恋人たち」へ。

 これのアドリブ部分を少しジャズっぽくして、ということで始まったのだが、これがいい!無茶苦茶いい!力一杯いい!クールで大人な雰囲気がとても良かった。大賀さんの今回のバージョンを音源として残して欲しいくらいだ。


 そしてラストの、「みんな知ってる!『情熱大陸』」へ。

 の前に、Sensationが「ライディーン」をカバーした時のエピソードを挟む。「運動会なんかでかかるからみんな知ってるし」と言った時のあるスタッフの言葉に大賀さん、


「そんなん言うなら、今度呼ばれても3回くらい無視したろ!て思ってwww」


 優しいなあ、3回で許してくれるんだw 

 どこまでもカッコいい、大賀さんアレンジの「情熱大陸」。さっきも書いたけどほんっとにこれを葉加瀬さんに聞いて頂きたい。




 さて。

 松本セミナーのクライマックスは実はここからである。


 「じゃあどうも!ありがとうございました〜!」と爽やかに手を振ってステージを降りかけた大賀さんが、自身の右手後ろ方向を見て一瞬固まった。


「ああっ!そうや!そうやった!俺、何しに来たのやろ!www」(会場笑)


 松本パートの冒頭にも書いたが、そこには、松本店が大プッシュする「信州ギター」の逸品が3本鎮座していたのである。


「今日はこれを紹介せなあかんのに!!!www」(会場大爆笑)


 しかしさすがは大賀さん、ここでクルッとひっくり返ってギター紹介に行くのかと思いきや、


「じゃ、じゃあ、(一旦引っ込むんで)アンコール!して貰えます⁈」(会場笑)


 笑いに包まれて会場を出た大賀さんにアンコールの拍手。30秒程しただろうか、さっきと同じ爽やかな笑顔で再び登場した大賀さん。仕切り直しで、信州ギターのご紹介。





 長野にはいい木材があるためか、ギター製作が熱いのだと、甲府のセミナー1回目の時もお話があった。今日は実際に作っている方々に近い松本のスタッフ様(高橋さんかな?名札にそうあった記憶が)からお話を伺いながらのご紹介(最初は目黒さんが説明されていたのだが、高橋さんに途中交代。実際高橋さんは信州ギターに無茶苦茶詳しい熱きレコメンダーだった)。




 TSUBASA Guitar、Sugi、MOMOSEだったと思うんだけど、Ogi Factoryのお話も出たと記憶している。それを実際に大賀さんが弾いてみて、音を聞いて、その音に一番似合いそうなさまざまなジャンルのフレーズを弾いて下さる。ロックありジャズありファンクあり。


 前も思ったのだけど、大賀さんがこうしてギターを試奏していると、弾いて貰っているギターがまるで喜んでいるみたいに見えるから不思議だ。「あ〜今僕のポテンシャルを最大限に引き出してくれてる〜!あなたみたいな上手な人に音を出して貰えて嬉しいです!」って言ってるような音が出てくる。


 大賀さん曰く、YAMAHAなど国産の楽器は当たり外れがない、とのこと。オフレコとして某海外メーカーの最近の個体と比較してのコメントもあり、信頼のブランドとなってるんだなあと感じる。


高橋さん「今なら36回払いで行けます」

大賀さん「36回!昔俺、男の60回払いで払ったことありますよ!」

高橋さん「あ、うちは36回までなら、金利ゼロってことで」

大賀さん「(笑)」


 70万とかするだいぶいいお値段の美しいギターだが、「大賀が弾いたこのギターを、是非触って帰ってくださいね」と言われたらそら触りたくもなる。けどとっても綺麗で高価なギター。見せて聞かせて頂いただけでも尊い。

 静岡と言えばYAMAHA。長野といえばギター。いいなあ。山梨も何か…山梨メイドの…楽器…

 思いつかないので省略。


 あ、でも。

 河口湖の方では学生さんのジャズバンドが盛ん。八ヶ岳では夏になると野外でクラシックバレエが見られたりする(昔行ったことがある)。八ヶ岳には音楽堂があって、ジャズやクラシック系のコンサートがよく行われている。音楽は割と好きな県かも。




 漸く最後まで辿り着いて、再度ご挨拶があっていよいよサイン会へ。やっぱり気の利いたことなんて何も言えなくて…夏。じゃなくて冬。人前で話すことには何の抵抗もないのだけど(よく変態と言われる)、こうしてマンツーで自分の気持ちを伝えるのってやっぱし難しい。言いたいことの1割も言えずに握手をして頂く。大賀さんの手ってあったかいよなあ。なのに何故私の手はこんなに冷たいのか。

 冷えか?冷えなのか?





 エキサイトしたまま会場を出て、PちゃんとLさんと目の前にあったプリクラを突然やってみることに。ノリってヤツだ。こんなものトライするの10万年ぶり。若い2人に教えてもらいつつブースの中に入る。しかし最近のプリは凄いな。こんなにも全て修正してくれるなんて(爆笑)。白くて目が大きくて何一つアラのない自分。とはいえこんな顔ばかりが世間を歩いていたら…まあそれはそれでいいか。多少シュールだが(笑)。


 周回バスに乗って松本駅へ行き、MIDORIという名の駅ビルのスターバックスへ(お姉さんがとっても明るくてにこやかだった。こっちまで楽しくなる)。2日連チャンのセミナーは、大賀さんの好きなこの場所で最後を締めるのが相応しい。

 そういえば甲府駅にも今度スタバが再上陸するのだ。以前駅前のデパートに入っていたのが、デパートの閉店に伴って撤退したため、もう来ないと思っていたら、今度は駅ビルに入るとのこと。大賀さん、次にいらっしゃる時には甲府駅にもスタバがあります。

 楽しい話をして、また会おうねと言いながらみんなで新宿行きの特急に乗り、1時間後私は甲府で降りた。

 今回お会い出来た皆様、ありがとうございました。また一緒に飲んで下さい。




 さて。

 

 大賀さん。

 こんなカントリーサイドに二度も来て頂けるとは本当に思いませんでした。

 でも、二度あることは三度ある(笑)。

 松本での最後に「また来るよ!」とおっしゃっていましたが、ついでに是非とも甲府にも寄って下さい。次回も山梨県民がみんなで待っています。


 それと、2日間のセミナー中に何度言ったか解らない、Sensationという単語。次回、いつか叶うなら、是非Sensationの皆様、大賀さん、大楠さん、麻井さん、車谷さんの4人でライブしにいらして下さい。抱えきれないくらいのお土産を夫のセカンドカー=軽トラの荷台に積んで待ってます。


 勿論、Wild Fourのメンバーの皆様のことも待っています。夏の八ヶ岳あたり如何でしょう?(具体的過ぎだw)


 ああ、楽しかった。