文:行く見る聞く「山梨が生んだスーパーギタリストを連れてきたよースガシカオ 25th Anniversary Tour BIG THANKSGIVING PARTY 2022@東京エレクトロン韮崎文化ホール」



 大好きが大好きと繋がっているだけで幸せになれるものである。

 今年の春、シカオちゃんがTwitterで、それは見事な桜の樹の写真を投稿したことがあった。それは夜桜で、まるで見ている人全員が満開の桜の下にいるような気になる、そんな1枚だった。

 それを、リツイートしたのである。Sensationの麻井くんが。

 いや、今も言った通り、シカオちゃんの写真は余りにも見事で、誰もがリツイートしたくなるものだったのだけど、それを麻井くんがするとは思わなかった。そして麻井くんがシカオちゃんをフォローしていることをそこで初めて知った。


 よく見れば麻井くんだでけはない。同じくSensationの大楠くんも、ギタリストの森本くんも、植田真梨恵嬢も、高橋優くんも、GIZAの寺尾さんも、Limestoneの今西さんも、なんとFENCE OF DEFENSEの公式Twitterまでもがシカオちゃんをフォローしているのである。みんなレーベルとかレコード会社違うのに。シカオちゃんどんだけ人気なの、ミュージシャンにまで。




  Sensation写真。定期w


 歯に衣着せぬ物言いの奥に深い思いやりと温かさがあり、ミュージシャンとしても人間としても、自分に正直であり続けるために、事務所を辞め文字通り1人で再出発するような人を、人は愛さずにはいられない。同業者なら尚更だろう。不器用さも弱さも隠すことなく、自分の生き様を堂々を晒して歌い続けて25周年。スガシカオさん。あらためておめでとうございます。



 スガさんは獅子座で、この「生き様を堂々と晒して」という辺り、ちょっと烏滸がましいのだけど、同じ獅子座として共感せずにはいられない。隠さずに見せればそれだけ傷がつくし、深くなる。解っているのにそうせずにはいられないのだ。そしてたまに魔が刺して隠してしまっても、「実はそうじゃなくてさ~」と結局は自分から晒すこととなる。


 大学1年の時、サークル内で本を作ったことがある。先輩に贈る文集みたいなものだ(私の所属サークルは、DJ部門・ビデオ制作部門・ミニコミ誌制作部門がある思いっきし文化系サークルだったw)。自分では精一杯カッコつけて文章を書き、いつもの自分とは違う自分を見て貰うんだと気合を入れて臨んだのだが、地方のTV局に就職が決まった4年生(いや、5年生だったかもしれない笑)の先輩に、「○○はどこ切っても○○だな~」と言われて笑われたことがある。今でも忘れない。その時思ったのだ。気づかないうちに自分は100%の自分を見せて生きているんだなと。隠し事なんてきっと出来ないんだなと。それは時に大人になり切れていないことの証拠となりうるのかもしれないけれど、いいじゃないか、それが自分なら、と。

  That’s the way for me to live.




 シカオちゃんが山梨にライブしに来るとTwitterで知ったのは8月終わり。25周年のツアーの追加公演として、甲府から(新宿とは逆の長野方面行きの)電車で15分弱の韮崎市に来るのだという。なんで甲府をすっ飛ばして韮崎なんだと思ったが笑、どうやら韮崎文化ホールは県内では2番目にキャパのあるホールで、音響もいいと評判。文化ホールのHPへ飛んでみると、チケットは9月リリース。そしてこのホールの「フレンズ会員」になると一般売りの1週間前に優先販売があるのこと。フレンズ会員は、年度会費1,000円払えば誰でもなれるらしい。


 韮崎文化ホールにこの先行く予定は全くない。ないが、たった1,000円で優先予約があるのなら、会員にならない手はない。自他共に認めるイナカで、そのイナカのホール会員専用の優先予約と来れば、ただ「お席がご用意されました」というだけではなく、絶対に予め「いい席」が充てがわれているだろうことは、長年のコンサート・ライブ通いでおおよそ見当がついた。一応県民だし、県内の施設にお金を落とすのは悪いことじゃない。特にこんなコロナ禍では。そう思い立つと速攻で問い合わせをした。電話に出てくれたお姉さんに「スガシカオさんのライブにどうしても行きたくて」と言うと「まあ、そうなんですね!」と声を1オクターブ上げて喜んでくれた。


 フレンズ会員の会員証とお手紙が届いて、10日程して優先販売日。5分も経たずに繋がった電話でチケットを取りたいと告げると

「座席表はお手元に届いていますか?」

「あ、はい」

「では、どのお席が宜しいですか?」

 選べるんかい!www

「あ、あの出来るだけ前の方を…」

「そうですよね!ではですね…今だと…」

 とは言ったものの、私は迷っていた。選んでいいのなら、真ん中で人に囲まれるより、端っこの通路側の方が、人との接触を少しでも避けられるのではないか。


 コロナ禍は未だ治まる気配はなく、我々は日常を取り戻しつつあるとは言っても全く完全ではない。むしろ、「ほんの少しの人数のほんの少しの気の緩み」が、瞬く間に膨大な感染者数へと膨れ上がる様を、我々はこの3年間で嫌と言う程見てきた。

 従って自分も、このライブに本当に行くことが出来るのか、この時点では半信半疑であった。とはいえここから東京に行くのとは訳が違うし、県内でしかも電車で15分なら移動距離だって最小で済む。


 行きたいものに全く参加できずにただじっと過ごしたこの3年。今、既に越境できる程の心の広さとフットワークの軽さを持っている方々を羨ましく思う反面、仕事柄もあり、自分はまだまだそこには到達していないなという自覚が今でも抜けないのが実情だ。

 しかしながら、そんな私達の住んでいる場所まで、わざわざ来てくれるミュージシャンがいる。行かなくてもいいよ、こっちから行くからとばかりに、足を運んでくれる。それがシカオちゃんだというのだ。行ける行けないに関わらず、チケットを取るのが人情ってもんだ。そして行けることを念頭に入れるなら、最も納得のいく席を取るのがベストである。


 私の一瞬の迷いの間に真ん中の2席がソールドになったと言われたので、即座に「では、ここを!」と言って、真ん中寄りの通路側の2席を押さえた(1つは夫の分である)。その時の、自分にとってのベストな選択であり、それは当日着席してみてやはりベストオブベストであったと確信した次第だ。

 韮崎文化ホール様、本当に良い席を、ありがとうございました。


 今回のシカオちゃんのツアーが数本終わったところでグッズの通販が始まった。これまでずっと我慢してきたライブ参加。実際に行けそうとなったらそりゃあ徹底的に策を練る訳だが、ある日ネットで「コロナ禍でのライブ参加」について調べていた時(こういうのをちゃんと見ておくのも安心に繋がると思う。だから参加した方には是非ともアドバイスを頂きたい)、「グッズは通販を利用する」という書き込みを見た。早速通販でTシャツやタオル、オリジナルマスク(カバー)などを購入し、当日に着ていく準備をした。







 バッグは変えましたがこんな格好で行きました。


 チケットリリースから1ヶ月ちょっと。何を着て行こうかと1週間前に決めていた割には、当日の昼過ぎになって漸く「ああ、今日行けるんだな」と実感が湧いてきた。どうせ乱れると知りながら髪を念入りに巻き、夕方少し早めの電車で韮崎へ。駅についてすぐ、表通りへ向かう。韮崎の名物アメリカヤが数年前に洒落オツなビルへとリニューアルしたのだが、その脇の駐車場前にシカオちゃんのポスターが貼ってあると知り、見に行ってみた。貼ったのは文化ホールのスタッフ様らしい。誰もいなかったので写真など撮ってみた。久しぶりの遠出、久しぶりの観光(電車で15分だけど笑)。



 日も暮れてきてだんだん寒くなってきたので(韮崎の気温は暫定で「甲府マイナス2度」)早く会場へ行こうとして駅前のタクシー乗り場へ急ぐ。韮崎文化ホールは駅から2.3キロ程度あり、歩くとなると結構キツい。

 ところが、である。タクシーが1台もない。実は昔この地に仕事で6年程通っていたことがあり、その時分もまあ多いという訳ではなかったが常時駅にはタクシーがあった。それが1台もない。しかも来ない。左手の観光案内所がまだ開いていたので某タクシー会社の電話番号が書いてあるカードをもらって電話してみると、どうやらみんな文化ホールへと向かっていたりして、しかもそれが予約だったりして、車が空いていないのだという。マジか。私を気の毒に思ったらしい受付の方が、車を回してくれるというが「30分ほどかかるかもしれませんので、もしも他のタクシー会社の車が先に来たら、それに乗って行ってくださいね」とのこと。うっわあ。まじかあ。


 途方に暮れながら、定時に仕事を終えてから車で現地に向かう手筈の夫にLINEでことの次第を告げる。どうしよう、韮崎の夕暮れまじ寒いんだぞー。韮崎は甲府より長野寄りだが、標高がめっちゃ高いため甲府より富士山が大きく綺麗に見える。もちろん八ヶ岳も見える。空が澄んで高くて美しくて。星なんかキラッキラして見えるんだよ。それってつまり、すんごく寒いってことなのよ!八ヶ岳おろしハンパないんだからね!昔駅で風に吹き荒ばれていただけで風邪引いたんだからね!(虚弱だな)。

 と思っていると、向こう側からすうっとタクシーが1台やってくるではないか。うわあ奇跡。先程電話した会社ではない。が、乗っていいと言われていたので速攻で乗り込んだ。待ち時間約5分。Nタクシーの運転手さん、神。


「30分待ちって言われてたんです。運転手さん、救世主でした!」

「そんなに喜んで貰えて、良かったです」

 運転手さんのお話によると、このコロナ禍に、韮崎周辺で4社あったタクシー会社のうち1社が閉業し、また残った3社も運転手さんが不足しており(高齢者の運転手さんが多いのだという)、更に今は車を各社4台から8台程しか所有しておらず、しかもお休みの方がいたりするから、それが常時全部稼働している訳ではないので、結果的に駅前のタクシープールには今はタクシーはいなくて、殆どが予約客のために動いているとのことだった。私が表に出ない間に世の中は隅々まで変わってしまったらしい。


「今日は、文化ホールで、音楽があるの?」

 運転手さんが尋ねる。

「はい。そうです」

「誰が来るの?」

「スガシカオさんっていうんですけど…」

「え?」

「あの、SMAPっていましたよね?」

「うん、スマップはわかる!」

「あの『夜空ノムコウ』って曲を書いた方です」

 正確に言うと詞を書いた方なんだけど、その辺はまあいい。

「そうかあ、やっぱり音楽かあ。いやね、乗せたお客さんの中に、髪をこう、ピンクとか金髪とかにした人がいたから、なんだろうなあ、音楽かなあって」


 その時、「あれ、シカオちゃんのファンの中にそういう感じの人っているのかな?いや、若い人にはいるかもね。シカオちゃん自身綺麗に染めてるし」って思って「そうですか~」って話を流したんだけど、本番始まってステージを見て、それから翌日のインスタなんかを見てふと思った。あれ?コーラスのJUDYさん、髪ピンクよね。それと一緒に移動してるらしいキーボードのハナブサさんも髪染めてるなあ。ドラムのKAZさんも…金髪?…あれ?

 Nタクシーの運転手さん、運転手さんが乗せたの、お客さんじゃないかもしれませんよwww





 会場に到着して大ホールのロビーに入ると、ものすごく大きなシカオちゃんが。ここで一緒に写真撮ってる人もいたけど、私は恥ずかしいのでシカオちゃんだけ撮りました。グッズ売り場も、予め買ってきている人もいたので結構早めに空いてきて。せっかくなので回すシーンがあると聞いていたタオルを1枚買い足す。そうこうするうちに夫が到着。どんどん混んできたので第2駐車場に停めたとのこと。大ホールに入ってすぐに貰えるチラシの袋の中には「スガシカオよりあなたへ」と書かれたものが入っているが、終わってから見てねと書いてあるのでそのまま開けずに座席へと向かう。1階席1列目。


 なんだこの近さは。

 手伸ばしたら全然届く。


 とにかく至近距離。多分コティさん史上最高にステージに近い距離でのライブ。ステージに向かって右手寄りだったので、シカオちゃんはもっと遠いかと思っていたけど全然近いんですが。もうすぐそこにマイクって感じ。

 で、ふと正面を見ると、ギタースタンドにエレキギターがあって、スピーカーで隠れて見えないけどエフェクターが並んだ足元。そう、私の席はギターのDURANくんドセン。





 公式様に上がった東京でのライブ写真。


 DURANくんは今じゃ巷で有名なギタリストだけど、私は2016年、稲葉さんのソロライブ「en III」のサポートギターで初めて知った。そう、それも山梨だったのだ。なんで稲葉さんがソロライブで甲府なんかに(笑)来てくれるんだろうとものすごく不思議だったのだが、DURANくんがここの出身だと紹介されて、ああそれで凱旋してくれたんだ~と思ってとても嬉しかった。


 だから、シカオちゃんのTwitterとSensationの麻井くん、大楠くんのことをさっき書いたけど、実はDURANくんも稲葉さんとご縁がある人なのだ。ついでだから言ってしまうと、先程お名前が出てきたキーボードのハナブサユウキくんも、大楠くんのインスタに上がっていたことがあって。私が普段いいなと思っている皆さんが、今日のメンバーとも繋がっているのってそれだけでご機嫌だ。


 先走って言うと、アンコールでシカオちゃんはDURANくんのことを

「山梨が生んだスーパーギタリスト!DURAN!」

と紹介してくれた。DURANくんも嬉しそうだったし、私達山梨県民もとっても嬉しく感じた。

 シカオちゃんが以前YouTube配信の時に言っていたように、DURANくんのギターはものすごく音がでっかいのだけど笑、それはお客さんを盛り上げシカオちゃんを煽り、ライブ全体の士気を高めるのに一役買ってるのかもしれないとも思う。現に、ソフトな曲ではソフトな音作りをされていたし。


 最後、DURANくんが3枚投げたうちの2枚目のピックが私のシャツの袖に当たって下に落ち、誰も気づかなかったのか、拾われなかったので私が速攻貰った笑。DURANくんは本当は、私達よりもっと右手側にいらした、ちょっとだけ年配のご主人にピックを渡したかったんだなとその後解ったので、私が貰っていいもんか?と一瞬思ったが、ご主人には別のがきちんと行ったようなのでまあいいかw



 J-WAVEのシカオちゃんの番組に出演された時の写真だね。


 その DURANくんにまつわる話を。

 開演10分前、席に座っていると髪の長い綺麗な女性に話しかけられた。

「あの、隣とご一緒ですか?」

 どうやら夫のことを指して、私の連れかと聞いているようだ。

「ええ、連れ合いです」

「そうですか…。実は真ん中のあの席、私の席なんですけど、そこと交換して貰えないかと思ったんです。私、DURANのファンで…」


 よく見るとDURANと書かれたTシャツを着ており、更に言うと、サインが入っているようにも見えた。うわ。ガチでDURANくんのファンなんだ!

 代わってあげたい。本当に代わってあげたい。彼女の気持ちが心から解ったから。もしも私が彼女でも、同じことをするに違いない。


「あの、隣とご一緒ですか?実はあの真ん中の席、私の席なんですけど、そこと交換して貰えませんか?稲葉さん(または倉木麻衣ちゃん)を真ん中で見られますよ!あ、私、大賀好修さんのファンなんで」


 そう言っている自分が容易に想像出来た。

 でもここでホイホイ代わって夫をぽつんにしてしまったら、彼は手持ち無沙汰で物凄く困るだろう。それは例えば私が鈴鹿サーキットの野っ原の観覧席で「俺、あっち行ってフェラーリ走るの見てくるからここにいてね」と言われたら物凄く困るのと同じだ。だから私は彼女に席を代わってあげることはできないと思った。

「そうですか~!ごめんね。ほんとごめんなさいね!むっちゃ代わってあげたいんだけど!」

 そう言うと彼女は、

「大丈夫です!こちらのお隣の方に聞いてみます!『むっちゃ』って(笑)。ほんと、スガさんのファンってみんないい人!」

と言って笑った。


 その後彼女は無事、通路を挟んだ私の隣の席の方と交換が成立したらしく、結局ライブの間中隣でDURANくんを眺めることとなった。

 ちなみに今回のライブでは最後にメンバー全員とお客さん全員での撮影タイムがあって、その会場ごとの写真入りの特別版アルバムが、来年のニューアルバムリリース日に同時発売となる(特別版は事前予約販売のみ)。私は巻いた髪が無惨な感じで、綺麗な彼女の隣で写真に収まっている。最後、「お疲れ様でした!じゃあまた」と挨拶して別れた。名前も知らないままだけど、いい思い出だ。


 ここで言いたい。

 ようやく生ライブに行けたからと言って、この期に及んで「やっぱりナマはいいっすよね」なんてことを宣うつもりは毛頭ない。

 生ライブも配信ライブも、私はどちらも好きだ。どちらにもそれぞれの良さがあり、どっちも楽しめるし、これからもどちらも愛好して行くと思う。


 でも、生ライブは配信ライブとは、違う。確かに違う。

 それはミュージシャンの息遣いをダイレクトに感じられるというだけではない。ライブが開演するまでの、そして終演後の、今回のような、タクシーの運転手さんや、たまたま隣り合わせた方との、こんな他愛ない、思いがけない出会いや会話がそこに存在するがために違う、のである。わざわざ見知った筈のポスターを見に行って写真を撮ったり、場慣れしないところで若干緊張している珍しい夫を見たりする、このライブ外の時間が私には愛おしいのである。そしてそれがあるからこそ、その時のライブがずっと心に残るのだ。


 だから、配信ライブも、これとちょっとでも同じように楽しむことが出来たら、ぼっち配信より絶対楽しいと思う。

 そこで提案。配信ライブはぼっちじゃなくて、友達誘って見ましょう。何も一緒の場所じゃなくたっていい。同じ時間帯に見なくってもいい。ただ、同じものを見て、互いに感じ合い、それを伝え合う。それだけで楽しさは倍増する筈だ(ここで、いつも私に付き合って配信を見て下さる、Nさん、Mさん、そして親友のKには、心から感謝したい)。


 と、ライブの話する前に既に7000字を超えてるんですけど(爆笑)。

 いやね、どうも今回のライブ、まあ調べれば場所によってはセットリストがもうネットに出てるんでいいとは思うんだけど、どうやら、その来年のニューアルバムの特典として東京公演の模様がつくような話が出ているのよ。なもんで、あんまり細かいことまで全部書いてしまうと、それを楽しみに待っている方には申し訳ないのかなとも思うので、今回のレポートは、山梨、韮崎公演について、書けること、覚えていることを書いておきたいと思う。セトリは半分程記すことにした。


 シカオちゃんのファンの方で、韮崎に足を運ばれなかった方が万が一にも読んだ時、ちょっとでも現場の様子を知って楽しんで貰えたら嬉しい限りである。




 最初のMCで、シカオちゃんが当日「あずさ」で来たのだと知る。韮崎で降りて、タクシー(かな?)に乗って、窓を見るんだけど…「人が歩いていない」(爆笑)。とうとう会場に着くまで、外を歩いている「人」に遭遇することはなかったらしいwww


 シカオちゃんも言ってたけど、この辺りはもう完全に「車ないと無理」って地域で、人が単体で歩いているのって言ったら駅前のショッピングモール(ったってホームセンターのD2とか入ってるんだけどw)くらいなもんなのよ。でも真昼間その光景見たら、「今日お客さんほんとに来るのかな」って心配になる気持ちも解るwww 

 山が綺麗で空気が澄んでいる地域ってのはまあ、こんな感じでさ。甲府も田舎には変わりないけど、多少は歩いているかな、人がw


 初っ端から飛ばしまくりの3曲が終わり「アシンメトリー」の「涙の色はきっと~♪」の後、急に音が止まって「米倉涼子…」と話すくだりはきっといろんなライブでもされているお話だろうし、シカオちゃんファンなら知ってるだろうから書くね。なんで知ってるだろうと思うかというと、この、「主題歌を担当したドラマの打ち上げに呼ばれてないのに行った」(笑)というエピソードは、昔J-WAVEの番組でも披露されていた話で、私は覚えていてね。


 で、思い出した。

 今回いろんな曲で泣いたりして感動しまくったんだけど、一番感動したのはね、シカオちゃんが、本当に全く同じだったこと。

 20年近く前、私はずっとシカオちゃんのJ-WAVEの番組を毎週欠かさず聞いていて、時々メール出したりするくらい好きだった。あの頃ラジオで出会ったシカオちゃんは、明るくて、際どくて、優しくて、正直で、温かかった。その印象が、今回ご本人を目の前にしても、全く、本当に全く変わらなかったのだ。ついでに言うと、すっごく若かった。シカオちゃんどっかでハイパー化して年取らなくなっちゃったのかなってくらい変わらない人だと思った。

 普通、年を重ねて来たりすると、ちょっとは印象が変わることもあると思うんだけど、シカオちゃんに至っては、全く同じだった。ここでも、ああ、昔から変わらずに正直に、表裏なく生きている人なんだなあと感じた。


 今ネットに出ている福岡のセットリストと韮崎は1曲だけ変わっていた。それは「アシンメトリー」の後が「黄金の月」になったこと。いやあ、感動した。泣いたよ。大好きな曲の1つでさ。これ好きじゃないシカオファンはいないと思うけど。


 実は私、今回のライブを心から楽しみたいと思って、セトリの予習をしていたのね。せっかくわざわざ山梨まで来てくれるシカオちゃんなのだし、知らない曲がないようにしたくて、福岡のセトリの順に曲を並べて少し前から聴き込んでいた(絶対にネタバレしないで~!という人が多い中、奇特かも知れないが、私はこういう楽しみ方が問題なく出来てしまう輩である。興味ある方、一度やってみてください。楽しいよ)。だから前日にシカオちゃんがTwitterで、「セトリちょこっと変えるよ~」と言った時、どれを変えるのかとワクワクしていたらここだった。鳥肌立つくらい嬉しかった。




 韮崎のシャレオツスポット、アメリカヤの駐車場前に貼ってあるポスター。


 ところでDURANくんのステージにおける移動距離にはシールドの長さという条件があるので、最大で動けても真ん中までで、ベースでバンマスの坂本竜太さんとドラムの前で向き合ってプレイするシーンとかもう垂涎ものだったんだけど、DURANくんがステージに向かって右手=私の目の前にいるので、シカオちゃんが寄って来てくれるのよ。で、それが最初の曲の方で、私のどまん前で、シカオちゃんとDURANくんがギター弾くシーンがあってね、もうね、意識保つのが精一杯で(笑)、それまで動いていた体が動かなくなっちゃって、微動だにしないで、何故か手を祈りのポーズにしながら2人をガン見していた(爆笑)。 その後も何度かその辺りで2人で弾いたり、シカオちゃんがお客さん煽りに来たりするとDURANくんが寄ってきたりで、もうなんかね、3年ぶりのライブなのに最初っから濃ゆい。濃ゆすぎる訳よ。濃いのはシカオちゃんも言ってたけど、でもそれにしても、起き抜けにテキーラでも煽り飛ばしたみたいな気分だった。


 「黄金の月」からの「アストライド」が極上で、タオル握ってずっと泣いていた。今の自分には心にヒリヒリと染みて、痛いような温かいような、掻きむしられるようでさえあった。手で涙を拭うと感染対策的によろしくないので、タオルはグッズでなくてもライブには必須だと思う(ちなみにアンコール前に私は一度座って落ち着くのが常なんだけど、今回はそこで除菌ハンドジェル出して消毒もした)。


 10月生まれさんが最前列ど真ん中、しかも男性で戸惑うシカオちゃん笑。実はそのMCの時、こともあろうにサイレントモードにしていたスマホから小さくアラーム音が流れているのに気付き(自分的)爆速で震えながらも何とか消す。バッグの上からダウンベストぎゅうぎゅう押し込んどいて本当によかった。アラームって流れるのよね、サイレントでも。一生分の滝汗かいた。

 

 ジャニーズのグループに書いた曲を集めたメドレー、感動した。シカオちゃんのライブに行けたらいつか聴きたいと思っていた「夜空ノムコウ」、本当に極上だった。その次の「前人未到のハイジャンプ」の後「何のMCもなくこの曲を始めたら、(流れ的に)まるでジャニーズに書いたみたいだな!こんな曲出さないって!笑」みたいなwww いやいやシカオちゃん!私この曲大好きなんですけど!w


 その後の「ぬれた靴」、私は村上春樹さんの本は余り読まないんだけど、私もこの曲は凄いと思ってたし大好きだ。内容ヘビーだけどほんと好き。今回この曲が聴けたってのは何よりの収穫だった。でもシカオちゃんは特に思い入れはないんだって。ええ⁈こんな名曲だってのに?って感じ。


 「春夏秋冬」では、ハナブサくんの鍵盤の音が光ってたねえ。なんだか聴き入ってしまった。彼の鍵盤にも大楠くんと同じ赤いNordがあって、あ、やっぱりこれ好きな鍵盤主任って多いんだなって素人判断だけどちょっと思ってた。




 ハナブサさんのTwitterよりお借りしました。素晴らしくいい写真!


 ハナブサくんの方を向いて、つまり観客に背中を向けてDURANくんがギターを弾くシーンが数回あって。私はこういうシーンがとても好き。シカオちゃんの後ろとか横とかで、バンドメンバーが自由に楽しんでプレイしている姿。これだからいい音楽が生まれるんだなと思う。ベースの坂本さんがベテランのバンマスさんなので、他の若いメンバーを自由にさせてくれるのかもしれない。


 25周年ということでいろんなお話をしてくれるんだけど、最初何百組って出た同期の新人が、気がつくと数えられる程しかいなくなってて、という辺りは本当にリアルだった。その中でサバイブしていくんだから、そりゃあほんと大変だよ。シカオちゃん自身も、確か10年目過ぎてから15年目辺りではスランプが来たって言ってたね。誰もうまくいかないことがある、とシカオちゃんは歌うんだけど、それって自身に経験があるからこそ響く歌詞になるんだろう。植田真梨恵嬢なんかも自分を曝け出して歌う方だから、共感するところとかあるのかもしれないなあ。


 新曲コーナー(「さよならサンセット」めちゃくちゃいい。新曲を全部で3曲も聴かせてくれた)を経て「アイタイ」辺りからDURANくんのギターが大炸裂。その後怒涛のハードファンクや大好きな「ドキドキしちゃう」、まさかこれが本編ラストなの⁈って歌詞のあれまで一気に大盛り上がり。で、アンコール。アンコールで出てくるのが早い!素晴らしい!

 本編だけで自分では濃ゆい時間すぎて3時間くらい経ってると思ってたんだけど、なんと2時間半だった笑。濃ゆいよ!濃ゆすぎ!


 で、アンコール2曲目の前だったかな、メンバー紹介を兼ねてグッズの宣伝なんかも。トップバッターはバンマス坂本さんがタオルを掴みながら、

「山梨の人はみんな週に1回くらいは富士山とか八ヶ岳に登るんでしょ⁈4リットルくらい汗かいても、このタオルなら全部吸い取ります!」

「んなわけねえだろ!w」

 更に、坂本さんのジーンズの腰に引っ掛けてあるバンダナ?じゃないのかなあ?あれが長すぎると突っ込むシカオちゃん。

「キャッツアイじゃないんだからさあ~!」

ってwww


 コーラスのJUDYさんはマスコットの「スガモリス」をご紹介。ムーミンなんかと一緒に写真に撮って載せている方がいるんだそう。可愛いよね。JUDYさん、完璧な振り付けありがとうございました。ずっと真似してました。


 ドラムの、今回から参加のKAZさんには「小さい声になんなよ」と最初っから突っ込むシカオちゃんw きっと普段から物静かな方なんだろう。KAZさんはシカオちゃんアクスタをご紹介。

「えと、今日はあずさで、し、新幹線で来ました!」

ここで山梨県民中心の観客が皆小声で「違う違う」とクスクスしていると

「あずさ、新幹線じゃねえし」

とシカオちゃんバッサリwww


 ライブ翌日のインスタ、ハナブサくんのを見たら、ハナブサくんとJUDYさんとKAZさんの3人が韮崎の駅で、富士山をバックに写真を撮れるベストスポットがあるんだけど、そこで撮ったのをあげてくれていた。良かったねほんと、この日朝からピーカンで。ここんとこ珍しくお天気悪い日が多かったから。やっぱしシカオちゃん、持ってるね。




 これこれ。同じお写真をドラムのKAZさんがTwitterにあげて下さってましたのでお借りしました。

 解るかなあ?真ん中上の方、富士山なんだよ。韮崎駅の2番線沿い、甲府方面を見るとこんな絶景スポットがあるんです。


 で、そのハナブサくん。この日のアンコール後のTシャツがシカオちゃんのと同じ真っ赤なやつだったことに際し、

「これは、僕のせいじゃないんですよ⁈楽屋の電気が暗くて、どのTシャツだか解らなくて、たまたまこれだったんです」

的なことを言って会場の笑いを取っているとシカオちゃん、

「あのさあ、キーボードほんと上手いし、素直でいいヤツだけどさあ、…ちょいちょい、イラッとすんだよなあ~」(会場爆笑)


 シカオちゃんは続ける。

「こないだ東京公演があったんですけど、その時(撮影の)カメラが入るよって言ってあったんですね。それなのに、髪を、もう、何なの⁈って色に染めて来てですね…」(客席笑)

「今日までに直して来いよ!って言ってあったのにこいつは…」

「今、少し色が抜けてきてるんですよ!段々変わってきて」(と言って頭頂部を客席に向ける。客席笑)

「あのさあ、今度髪色コーラで抜いてやろうか⁈」

「はい!いいですよ!」(客席大笑)

 ハナブサさん、いいなあ。こういうキャラ好きwww


 で、DURANくん。紹介されてお客さん盛り上がったので、とあるエフェクターでガガガガってな音を出すとシカオちゃん、

「お前さあ、そのエフェクターの音、ファンの子に何て呼ばれてるか知ってる⁈」

「え、なんですか」

「『工事現場』」

大爆笑!!! 


「てかなんだよそのマイク!コーラスもしねえのに!クイーンじゃねえかよ!w」

 シカオちゃんに突っ込まれたのはバーの部分が白いマイクスタンドwww すかさずフレディポーズのDURANくん、それを貸せと合図するシカオちゃん、そして同じくフレディポーズ。

「こんなバンドなので…いつも楽しくて、練習あんまりしないんですけどw」

いやいや、シカオちゃん、そんなことないでしょう。これだけしっかり聴かせて下さるのだから。

 でもさあ、こうして、バンドメンバーと和気藹々しているシーンって、ライブにとっては曲と同じくらい醍醐味でもあるんだよね。こういうところも凄く印象に残った。




  冒頭とこの写真は公式様にアップされた韮崎でのシカオちゃん写真。渋いぜ。

 

 アンコールの最後は、我が夫が一番聞きたかった曲。一緒に行こうと誘った時、「ねえ、あれやるかなあ」と聞かれ「やるよ!絶対やるって!こんな田舎に来るんだからみんな知ってる曲は絶対やるよ!」と何の根拠もなく言い放っていたので笑、演ってくれて本当に本当に良かった。私もシカオちゃんのバンドのバージョンで聞けて嬉しかった。


 最後には前出の写真撮影があり、無事に終了するとシカオちゃんは、

「こんなに写真撮影で盛り上がったの初めてだよ!」

と言ってくれた。いろんな会場の、いろんないいところを見つけて言ってくれるのだろうけど、本当に気持ちが行き届いていてグッとくる。


 笑う以外はずっと黙っていたけれど、ステージを手を振りながら去っていくシカオちゃんに向かって最後の最後に私の口から三重マスク(うち1枚は一箱20枚入り3,000円というマスクにしちゃあだいぶヤバい末端価格のS社の高級な代物。ライブなどに行くならお勧めとあったので買ってみた)を超えて出た言葉は、

「ありがとう!」

だった。

 いまだに越境出来ない中、こんなところまでライブしに来てくれて、本当にありがとう、シカオちゃん。私の人生の中でベスト3に入るくらい、感動的で心から楽しいライブだった。




 エセ「午後のパレード」グラサンw  Amazonで650円くらいで買った。


 最初に配られたチラシの入った袋の中にあったシカオちゃんからの「お土産」を、帰りに堪能した。凄いなあこんなにしてもらっていいのかなって感じ。

 そう言えばシカオちゃん、最初にこんな風なこと言ってたっけ。

「25周年っていうと普通はみんなから『おめでとう』って感じなんだろうけど、今日は、皆さんに感謝の『ありがとう』の、大サービスのライブです」

 天晴。


 毎日頑張っていれば、きっとまたこんな日が来るだろう。そう思って私は再び、籠る日常に戻る。いつか来るべきその日に備えて、万全を期すために。

 シカオちゃんのインスタに、この日の2分間のダイジェスト映像が載っています。シカオちゃん制作です。ぜひご覧ください。


 13,000字も書いてしまった。







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