文:見る聞く「 “Confession” ー鍵盤祭り!小野塚晃×大楠雄蔵@京都RAG」(配信にて)



 本日の記事のタイトルははTMネットワークの曲のタイトルから取りました。


 我らがSensationの鍵盤主任・大楠くんが、レーベルメイトであり大好きな先輩である小野塚晃さんと鍵盤デュオでライブをすると聞き、しかもそれを配信すると解り、リリース日に速攻でチケットを買った。

 待ちに待ったその日は月曜日で、週明けからこんな楽しくて美しいものを堪能していいのかってくらい、素敵なライブを見せて貰った。


 我らがSensationの4人は全員がスタジオミュージシャン、ライブサポートミュージシャンなので、センセーションじゃなくて「ワンセーション」になることも多い。勿論4人揃っての演奏は格別なのだけど、このワンセーションの時、つまり1人で誰かのサポートに入ったりするお仕事の時にもそれぞれの個性が4人の時に負けず劣らず遺憾なく発揮されるような気がして、個人的には結構好きである。実力のある人達ってのはきっとこうなんだろう。


 それが、今回はサポートではなく、あくまでも主役。鍵盤の主役が2人いるライブ。小曽根真さんのブルーノートなんかで私は鍵盤2人(または3人)ってのを見ているんだけど、今回のこのライブも、これまで見たどれにも引けを取らないくらい、美メロの、ハーモニーの、そして笑いの応酬であった。




 とにかく2人の表情がいい。小野塚さんの優しい笑顔もとても素敵。突然だが、私は小野塚さんの音楽だけでなく、インスタ投稿の「文章」のファンでもある。真面目で、真摯で、温かい、思いやり深い文章だなあと感じることがある。今回のライブでもまさにそういう音を奏でていらして、ますます好感度が上がった。


 そして大楠くん、めっちゃ男前だったなあ。小野塚さんの方をチラッと見遣ってニコッと笑うんだけど、なんというかこう、お客さんと同じくらい自分が楽しんでますって感じで、とっても良かった。

 今回のライブは小野塚さんの方からお声がけされたようで、大楠くんが「25年前の雄蔵くん!見てますか〜⁈ついに!小野塚さんとツインキーボードできる日が来ましたよ!見てるか雄蔵くん!」と思わず言ってしまう気持ちもよく解る。


 小野塚さんがピアノ、大楠くんがNordとYAMAHAの前に座ってライブが始まる。小野塚さんの曲「ものしりBird」が軽やかな森の雰囲気で、次何来るのかな〜とワクワクしていると!来たよ僕らのSensationオリジナル曲! アルバム1枚目の、“Aqua”!

 大楠くんも言ってたように、普段はバンドサウンドで同期使ってやるところが、完全アコースティックというか、ツイン鍵盤でやる訳だよ。コンピュータの音なしで。まさに「涙なしでは弾けませんでした」by 雄蔵(この後小野塚さんに「大丈夫?譜面見れる?」とツッコまれていた笑)、な訳だけど聞いてるこっちだってそのレアさ加減に涙せずにはいられないというね。いやほんと感動しました。


 イントロの温かみのある、メジャーなオリジナルのソロのメロディの後、お馴染みのあのマイナー調へと次第に転んでいく優美さ。普段なら麻井くんの硬質なベースの音が聞こえるところへ入ってくるのが小野塚さんの生ピアノの澄んだ音でね。何かこう、新鮮なだけでなく神聖な感じさえする。大楠くんが引き受ける主旋律の後、いつもなら大賀くんのギターが聞こえるところも小野塚さんが流麗なオリジナルのソロメロディを奏でる。

 いやあ、いいんだ。これがもう本当に。いつものバンドの音が大好きだからこそ、このバージョンも好きなのよ。いい曲いいメロディってのはどんなバージョンになっても、それを全て受け止めるだけの懐の広さがあるのだとあらためて知った。

 大楠くんが演奏後に「夢の世界です。今、夢か現実か解らなくなりました。美しい…酔いしれてしまいます」と言ってたけどこっちも全く同じですわ。


 小野塚さんの “Second Line”、意味を私、知ってまして。ほら、海ドラフリークなので見てるのよ「NCIS:ニューオーリンズ」。確かシーズン2かなんかに出て来たんじゃなかったかな。ニューオーリンズの葬儀では、陽気な演奏で帰ってくるってこと。独特のリズムにリラックス感のあるメロディが本当に心地よい。


 「今日まだ終わってないけど、次また計画しましょう」とこの時点で小野塚さんが言うってことは、相当気持ち良く演奏されてたんだろうなと思う。こういうのが嬉しいのだ。見ている方としても。ぜひ次回も配信してくださいませ。そうだ!いつかどうです⁈ブルーノートで演っては!待ってます!その頃は、もしかしたら、私だって東京に行けるかも、なんて期待したりして。


 昔、互いに別のシンガー(滴草由美さんと竹井詩織さんとのこと)のサポートとして同じイベントに出ていたことがあるとのことで、その時から大楠くんは小野塚先輩に「ファンです!」って挨拶したくて仕方がなかったらしい(笑)。わかるなあその気持ち!


 大楠くんが一番最近書いたという曲 “Dawn” (かなあ?Downかもしれないけど、意味から考えたらこっちかなと)素敵だった。安心感のある、ゴスペルチックなメロディ。奇を衒ってないけれど個性的で、心にふっと染み入ってくる。誰に書いた曲かしら。ぜひそれも聴いてみたいわ。演奏後、「今日は大楠雄蔵の年表で太字で書かれ日になります!もう飲みたいです」とw、大楠くんはずっとずっと感動しまくり。

 大楠くんも小野塚さんも、奏でられる音の温かみがいいよね。そうそう、小野塚さんのシャツ!おしゃれだったわ。ベージュ系かなあ?それに入ってる柄が、星座の模様のように見えたけど。あれ素敵!すっごくお似合いでした。


 以前大楠くんがインスタのストーリーでも演奏していた、ボニー・レイットの “I Can’t Make You Love Me”は、トークボックスという、見た目は近未来的な「ピアニカ」なんだけど、声を通すともっと近未来的になるという小さなマシンでメロディを奏でる大楠くんのバックが全て小野塚さんの生ピアノという、聞いてるこっちも大楠くんにとっても贅沢極まりない1曲。大楠くんは「小野塚さんにすごい抱きしめてもらった気分で」演奏したそうだ(笑)。

 これ、このブログで以前取り上げて、歌詞を和訳してありますので、宜しければご覧くださいませ。


 ファーストセットはジョン・スコフィールドの「ホッテントット」でシメ。オルガンのジャムバンドがバックをやってる曲なんだそうだ。だからこそ、この2人鍵盤という編成でやったら面白いんじゃないかと思ったらしい。

 こういう冒険心というか、「普段こんなのないけど、だからこそやったらいいんじゃない?」って辺り、大賀くんにも通じるものがあるよなあと思いながら話を聞いた。ありきたりではない、オッと思わせるものを追求する姿ってかっこいいよね。


 小野塚さんのピアノと大楠くんの乾いたオルガンの音が素晴らしく響き合う。ファンクで遊び心があって美しいけどそれだけじゃない余裕。いいなあ。ずっと聞いていたいって気分。

 大楠くんがもうノリノリで、それにますます乗って入ってくる小野塚さんのピアノ。2人ともほんとずうっといい笑顔。鍵盤を軽く叩くようにしてリズミカルに演奏する大楠くんの手元ばっかし見てしまう。前に出るところ、引くところのメリハリが互いに効いていて、クオリティの高さが伺えた。





 セカンドセットは小野塚さんのオリジナル、まだタイトル未定の「登山」をイメージしたナンバーでスタート。これまた軽快で心地よいサウンド。大人よねえ。本当、大人のサウンド。リラックス感満載。ぐっとイケイケの曲も好きだけど、こういうホッとするような、楽しげな曲も大好き。1人で家にいてさ、家事なんかばっかししないといけないような日に、あーやっとコーヒーだなってタイミングで聴きたくなるような、そんな曲。


 で!この後になんともう1曲くるんだ!「私のSensationというバンドから持って来ました」と大楠くん。いやあ、感涙でした「二重螺旋」!小野塚さんが思わず「お、来ましたね」と言ってしまうくらい、チャレンジングな曲らしい。「大丈夫かな、譜面見ないと」って言ってたし。「早いハチロクと言いますか、どんどんイケイケ!みたいな、後ろから迫ってくるような曲なんですけど、こちらを、たった2人でやってみようということで。デュオのイメージがないことがまた面白いかなと思って」と大楠くんが言った後も「必ず、通らなければならない道なんで(笑)、ジタバタせずに頑張ります」と語る小野塚さん。


 前に小曽根さんと若手の皆さんのライブでも、小曽根さんが「だめだよこういう難しい曲書いちゃ。僕みたいにもっとシンプルなのを書かないと」って言ってて大受けしてたっけ。


 その、小野塚先輩でも構えてしまう程の超難題「二重螺旋」。究極の美メロでしたわ。鍵盤2つでこんなに優雅に、こんなにパワフルに、こんなに切なく聞こえるのだなあ。最初に出てくるサビのメロディの前に小野塚先輩が「ワン!ツー!」と声を上げるところも、コンピュータなしの生演奏の醍醐味よね。ぶっちゃけ言いますが、この曲だけ何度繰り返して見ているか本当わからないですw 途中のソロも無茶苦茶いい。オリジナルにはない色味、というかいい意味での爽やかな色気が加わり、進化した感じ。

 演奏後、「螺旋が凄かったです!絡みまくってました」って大楠くんは言って、汗だくで息切れしてたけどw、そのくらい入り込んでプレイしていたのだと解る。


 小野塚さんの陽気なメロディの “Party Jam”と、カーラ・ブレイの “Lawns”(これまじで泣ける。今回の中ではベスト3に入る。いい曲だったわ…)に続いて、大楠くんが提案したのは、キャー懐かしい!Joeの “I Wanna Know”!これCD持ってたから!大好きだったから!本当!私も大楠くんと同じで、「90年代から2000年にかけてのR&Bがめちゃくちゃ好き」だったのよ〜!先ほど御目見えしたトークボックスを用いてのプレイ、一緒に歌っちゃったよ画面見て、覚えてるとこ。


 告知であったけど、大楠くんのソロライブ、見たいなあ〜。現地は無理なので、できたら本当に配信してほしい!!!事務所様!そしてヒルパンさま!どうかどうか、全編配信してくださいませ〜!

 大楠さん、もしも無理なら、円盤焼いて下さったら私買いますわよ。2万までなら出します笑。


 さて、ここで小野塚さんからの告知コーナーでの会話再現。


小「僕が宣伝しなくても世の中的には有名な人なんで、全然いいんですけど」

大「はい」

小「去年の11月、僕初めて、B'zのライブに出たんですよ」

大「見ておりました!」

小「マジですか」

大「はい」

小「CDの方はね、たくさん弾くチャンスがあったんですけど、ま、多分ね、見た目で、『あなたは、ちょっとライブは…』って…(笑)」

大「いやいやいや!そんな!何をおっしゃいますか!(笑)」


 円盤化が決まったFRIENDS IIIのことなんだけど、小野塚さん!そんなこと絶対ないですから!www 私は小野塚さんのB'zの鍵盤も、ライブでたくさん聴いてみたかったな〜って思います。



 さて、ここからはどうしてもこれは書きたかった、大楠くんのアンコール前のMCを。大楠くんがどんな気持ちで小野塚さんとの今回のライブを行ったのか、ここまで見ているだけでも十分伝わったけど、それ以上にもっとストレート。


「今それをいうかってことなんですけれども、実はですね、僕の熱い思いがありまして。実は僕、小野塚さんのファンでありまして。学生時代から小野塚さんのライブをよく見に行ってたんです。これはお伝えしないとなっていう気持ちもありまして。


 学生の頃、僕、音楽の専門学校には行ったんですけど、全然音楽やってないまま入学しちゃったんですよ。大学行くのも勉強してなかったし、ちょっと働くのも嫌だなっていうことで、逃げ道的に音楽の世界に入ってたんですけど、そこでの同級生が、プロを目指して本気でやってる子と仲良くなりまして。その人から僕は小野塚さんの演奏を教えて貰ったんです。こんな人のバックもやって、それこそ、B'z、ZARD、もうビーイングの錚々たるメジャーアーティストのアルバムを貸してくれまして。そこで小野塚さんの演奏を聞いてですね、『プロとはこれか!』という…。


 やっぱり、音楽をそういう感じで始めてしまったので、テレビに出てる人だけがプロだと思ってたんですよ。僕、それ以外のプロをそんなに良く知らなくて。『先生』というプロもいますし。その時に『スタジオミュージシャン』というプロのお仕事をですね、目の当たりにしまして、その時が、凄い衝撃だったんです。


 その時はうやむやに入った学校だったんですけど、一気に目標が決まりまして、そこからもう、『小野塚さんみたいなキーボーディストになりたい!』と、ずっと思って、真似をして、ライブも通って…っていう感じの生活をしておりました。


 今、小野塚さんがレコーディングされた演奏を弾く機会というのがよくありまして。ZARDのサポートもさせて頂いてるんですけど、小野塚さんの演奏というのがいっぱいありまして、『こういうつながり方で、小野塚さん関われてるぞ!』っていうのを胸に、今、仕事をやっておりまして。


 そんな中でのこのライブということなので…(と、ここで客席に目を遣り)すみません!みなさん!これを聞いて『どうせえ⁈』っていう話なんですけども!(観客笑)ただただ、僕が強い気持ちを持って今日挑まさせて頂いたということ、みなさんにご清聴して頂いて、ありがとうございます!(観客拍手)」


小「(笑いっぱなしで)ありがとうございます!(一礼の後大楠くんを見て)いっぱい飲んでください(笑)」


 私、今回のこの大楠くんの話を聞いて、なんて正直なんだろうと思って、実はライブと同じくらいものすっごく感動した。こんなさあ、言わなくてもいいのにってとこまで言って、でもそれ言わないときっと気持ちは伝わらないって思って言ったんだろうと思うの。そういうところ。もう無茶苦茶いい。だから声を大にして言う。


 大楠さああああああん!

 どんだけ性格いいんですか〜!!!!!(泣)

 最高の鍵盤奏者!あなたに出会えて私はラッキーでした!


 しかしさあ、大楠くんといい、TKといい、キーボーディストってのはどうしてこう正直かねえ。今の私、2人とも完全に同率で大好きよ。そしてそんな素敵な大楠くんに、変わらずに憧れられる小野塚さんが、私ももっともっと好きになりました。

 アンコールは小野塚さんからで、That’s The Way of the World、邦題「暗黒への挑戦」w 私もこのEWFの曲大好き〜!




 大好きが更に大好きになって、大好きがたくさん溢れかえる、幸せな幸せなライブだった。

 本気で第2弾待ってます。配信もぜひして下さいませね。

 そうそう最後の最後に大事なことを。京都RAGさん、いい音で、なかなか良いカメラアングル。そして何よりいい映像なのに途切れたりしないYouTube 配信が素晴らしかった。ぜひ今後も配信、続けて頂きたい。

 写真は全て大楠さんのTwitterとインスタよりお借りしました。

 結局6000字も書いてしまったwww





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