Part 2:
Title “ROOM Service”
(虚構大学・妄想学群キャンパス内 生協前にて)
「それ、興味ある?」
「え?」
「ずっと見てるから。そのポスター」
「あ、はい…あの、もしかして、部員の方ですか」
「部員、かな。うん」
「そうは呼ばないんですか?」
「私達は『ルームメイト』って呼んでる」
「へえ」
「1年生?」
「はい。大賀くんと同じです」
「じゃあ彼を知ってるのかな」
「直接じゃないですよ、もちろん。前に、動画を見たんです」
「配信になったヤツ?」
「そうです。僕の姉が、彼のいるバンドの大ファンで」
「Sensation?」
「はい。で、一緒に配信ライブ見てたらすっかりハマっちゃって。その後、僕は大賀くんのあげた動画とか見て、わあ凄いなって…」
「そうなんだ」
「でも、なんか度胸がなくて、この前の募集の時には入部出来なくて」
「どうして」
「だって僕、ギターも弾けないし歌も上手じゃないし」
「音楽は好き?」
「めっちゃ大好きです。でも…」
「何?」
「僕、ジャズが好きなんです」
「珍しいわね」
「でしょう?いないんですよどこにも、ジャズが好きなんて大学生」
「大賀くん、ジャズにも詳しいの、知ってる?」
「え?そうなんですか?」
「っていうか、詳しくない音楽、ないかもしれない。なんでもよく知ってるわよ。コード進行の話とかもしてくれるんだけど、別によくわからなくても聞いているだけで楽しい」
「そうなんだ…」
「Sensationの曲にも、ジャズっぽいのあったりするじゃない?」
「あ、そうですね」
「だから、君みたいな人がいたら、嬉しいかもよ」
「でも、多くないですか、女子の方が。僕、男子校出身だから、ぶっちゃけあまり慣れてなくて…」
「お姉さん、いるんでしょ?」
「身内はカウントに入りませんよ」
「まあ、そうね」
「バイトとかあって、活動に参加できるかもわからなかったし」
「『エアチェック』って知ってる?ちょっと昔の言葉らしいけど」
「エアチェック?」
「うん。私も大賀くんが言ってるの聞いて知ったんだけど、ほら、ラジオ番組とかあるじゃない?あれを、昔、カセットテープにとかに録って後から聞いたらしくて、そういうのをエアチェックって言ったんだって。その感覚でね、大賀くん、活動の全部をアーカイブで取ってくれてあるの。音声だけのもあるし、動画の時もあるけど、リアルタイムで楽しむだけが全てじゃないって言って」
「へえ…」
「だから、自分の好きな時間に参加できるのよ」
「凄いですね。サービスいいっていうか」
「ルームだけあって、サービスの良さは満点ね」
「今でも入部出来るんですか?」
「ちょうど二期生を募集してるとこ。それでポスターを貼り直したのよ」
「あの」
「何?」
「ギター弾けないし、歌上手じゃないし、彼女いないし、マイナス思考だし、って、こんな僕でも、入ったら、楽しいですか?」
「君、大賀くんのこと好き?」
「え、ええ、同級生だけど、憧れてます」
「じゃあ問題なし。どうする?今から一緒に行く?」
「え、大賀くん、いるんですか?」
「ごめん。今日は卒業生の松本先輩に呼ばれてていないんだ。でも明日は来る予定よ。明日にする?」
「せっかくだから、今日行きます」
「じゃあ、一緒に行こう」
「あの、このサークル、正式名称って何て言うんですか?」
「そのままよ、ROOM OHGA」
以前挙げた、大賀好修さんのクローズドコミュニティの紹介文2回目です。
段々と、紹介文というにとどまらず、登場人物が増えてきて、書いていて大変楽しくなってきました。
インスタにも同じものを載せてありますが、あちらには#もたくさんつけていて、そこにも自分の呟きを書いたりしております。もし宜しければ、ブログの右のコラムにリンクがありますので、遊びにいらしてくださいませ。
0 件のコメント:
コメントを投稿