文:見る聴く「可愛い!楽しい!大好き!ー本田雅人BAND@BlueNote Tokyo(配信にて)」




 笑顔がチャーミングな人というのは幾つであっても魅力的なものである。

 大好き海外ドラマ「コールドケース」(AXNさんお願いですから早くシーズン4からOAして下さい)のシーズン3、エピソード9「ペンダント」(DVにあってる若い奥さん+双子の娘と共に駆け落ちしようと若い警察官が思う。理由は、彼女の旦那も警察官だったからというひどい話で、WOWOWさんの日本版リメイクでは黒木華さんが奥さんの役だった)で、ボスより年長のベテラン刑事ジェフリーズが話を聞いているシーンで、事件の鍵ともなる古い8ミリフィルムの存在を聞き、それを持っているという同じく年配の女性に「それ、借りられますか?」と尋ねると、

「あげるわ。あなた可愛いから」

と言われる。大好きなシーンの1つである。




 人間としての可愛らしさ。チャーミングさを備えているって素敵なことだと思う。本田雅人さん率いるバンドのライブを見て、あらためてそう思った次第。


 サックスの音というのはセクシーの権化みたいな形容をされることもある訳だけど笑、本田さんの音はそれとはまるで正反対、言うなれば清潔感のカタマリ。真っ白いシャツみたいな。とっても爽やかで、気持ちの澱を全部掬って投げ飛ばしてくれそうな感じ。ステレオタイプのサックスにはお酒の匂いが似合うけれど、本田さんのサックスの音にはシュワシュワとしたソーダ水がよく似合う。


 悪い意味では全然なくて、少年っぽさがあるんだよなあ。なんつーか、こう、性に目覚める前の純粋さというか。いいんだ、その潔癖な感じが。キレが良くて勢いがあって、時に哀愁も感じるけど、基本は明るく明日を待ってる、そんなある種の希望を託せる音。

 アルト、ソプラノ両方のサックスと、ウィンドコントローラーという新しい楽器=サックスの進化版みたいな楽しい形(でも持ちにくいんだそうだw)の「NuRAD」という名の楽器を駆使して行われたライブは最初から最後までいろんな意味でスピーディ笑。




 マサトクンと勝手に呼んで憧れていたハイパーサックスプレイヤーが、あんなに早口でMCが多めだとは思わず笑、最初は面食らったが、聞いていると、ああこの人は伝えたいことがたくさんあるんだなあと思えてくる。オーディエンスに対するサービス精神もさることながら、

「最近は譜面が覚えられなくて。でもiPadですよ。紙が増えなくていいですよね」

「よく最近指が攣るんだよねえ~。つらない薬とか貰ってるんだけど」

「僕絶対音感ないんで、2つの曲が同じになっちゃうことがあってですね」

とか全然普通に話すし、自分に対してもメンバーに対しても、オーディエンスに対しても正直でストレートでとても好感が持てた。

 本田さん、解ります。緊張なんかしてるつもりないのに本番になるとあれ?ってこと、ありますよね。なんて勝手に身近に感じてうんうんと頷きながら聞いてしまった。


 しかしながら、

「いつも演ってる曲ばかりじゃ飽きてきたんで、今回、いわゆる定番曲、僕の人気曲とかをガラッと変えて、前はよく演ってたけど最近やってなかった曲を演ることにしたんです。だから知らない曲ばかりかも知れないですよ。でもあれやんないの?を演り出したら3時間くらいかかっちゃうので。

 今回のセットでライブをするのが初めてで、だからどのくらい時間がかかるのか全然解らなくて。そうしたらファーストステージね、アンコール禁止になっちゃったんですね」

には画面の前で爆笑した。そんなことあるの?!みたいな。

「あ!でもセカンドステージでは大丈夫です!」

って笑。更に、

「配信の皆さん、こんばんは。僕、配信入ると大体間違えるんですよね。配信とかテレビとか弱いんですよ」

って本田さーん!www

 予定調和じゃないところ。このスリリングなライブ感こそが、ジャズやフュージョンの面白さでもあるんだろうなと。


 以前ブルーノートジャズオーケストラに出演されたのだが、2月のそのライブを配信で見ており、「Birdland」でのエピソードを実際この目で見ていたので、本田さんのお話がとってもよく解ってこれもまた爆笑。

「60代~!ってエリック(・ミヤシロ氏)が言ったら小池さんしかいない!(客席笑)」

 小池さんとは、先日の村田陽一Big Bandでも出演されていて、村田さん曰く「日本のマイケル・ブレッカー」こと小池修さん。みんなにいじられてるのに素晴らしいプレイっぷりの小池さん。なんだかファンになってしまう。


 こないだの向谷さんが翌日の小曽根さんのことを話したり、その小曽根さんのライブには、翌週のライブに出る塩谷哲さんが来ていてアンコールで演奏してくれたり、その塩谷さんと小沼ようすけさんのライブに今度は小曽根さんがいらしてお返しに1曲一緒に演奏したり。

 音楽って、特にジャズってさ、こういうのがいいんだよねえ。みんなで楽しもうよって精神が随所に見られて、幸せな気分になる。

 ブルーノートだけじゃくて、こういう素敵な場所になり得るライブハウスを、配信ライブという形でもしも少しだけでも応援出来るのなら本望だ。





 1曲目の「3/4/5 (ワルツでGO!)」(タイトルの感じに既視感があるのは何故だろうw)から目一杯弾け飛ぶ爽やかさ。「春うらら」「君はエスパー」「桃色散歩道」と、ポップで春らしいナンバーが嬉しい。きびきびとしたクリーンなプレイスタイルは心地よくこちらを高揚させる。しかしながら、一体どこでブレスしているんだろうという程息が続く。これは凄い。しかもブレス音が全く聞こえない。息吸ってるのかな本田さんw


 昨年急逝したピアニストでキーボーディストの和泉宏隆さんの「団体」(と本田さんは言うのだw Squareのことを)の曲も何曲も聞かせてくれた。「宝島」「Forgotten Saga」(最高!これ大好き!圧巻!)「El Mirage」(弾け飛ぶ高音!)。

 本田さん曰く「和泉さんの曲は演ってるとお客さんも、僕自身もニコニコしてくる。マスクしていても解ります(客席笑)。僕の曲はそれとは逆で、お客さんの顔が段々顰めっ面になってくる…(客席笑)。だから、その2人の曲を演るとちょうどよくなるんですね(客席笑)」先程も書いたようにMCは始終こんな感じ。

 和泉さんの曲を演奏することの意義というよりも、演っててすごくいい曲だし、それを演奏の形で残しておきたい、と思っているのかもしれない。「曲は永遠ですから」とは素敵な言葉だ。


 そして、特筆すべきは、「じゃあ次はこれを演ります」と言って曲が始まる前など、所々で、本田さんが一瞬ニコッと笑うのである。これがもうなんとも「可愛い」のだ笑 あと半年で還暦と言っていたけれど、いやあどうして。

 可愛いという言葉は便利で、様々なところで使われる訳だけど、本田さんは、もう、本気で、文字通り、可愛い。私が高校生の頃音楽雑誌などで見た時にも「わあ、可愛いお兄さんだなあ」と思ったのを覚えているが、あの時の印象のままなのが凄い。まあそりゃ、物理的には年を重ねている訳だから全く同じではないけれど(全く同じだったら逆に怖いwww)、表情と言うのかな、心の中にいた姿と変わらずにいてくれるって嬉しいよね。





 可愛いって話なら得意な人がいるよね笑。

 当ブログきってのご贔屓ギタリスト、大賀好修さんよ。

 大賀さんも良くファンから「可愛い」と形容される。かっこいい、も言われるし、素敵、もよく言われるけど、ファン同士の間では「可愛い」が多いんだよね。ご本人は知ってるのかなあ?

 というか、Sensation全員が「可愛い」というのが多い気がする。確かにそう。4人とも可愛い。

 それはきっと、人間としての可愛らしさ、なんだよね。明るさ、穏やかさ、ユニークさ、面白さ。その全てひっくるめて、4人はチャーミング。それって大事、ほんとに。


 新しい楽器にチャレンジしたりと、本田さんは気持ちも若いのかもしれないが、なんていうか、こう、しがみ付いてないところがいいんだよね。通ってきたところ全てが自分であり、その上に自分がいるのは確かだけど、今は今、そしてまだ先へ行く、というか。

 過去にしがみついちゃうとこあるじゃない?人間って。それが感じられない。これも本田さんの奏でる音楽の爽やかにつながるのかもね。「F1も遅いとカッコ悪いじゃないですか」(この方も車が大好きらしい)という言葉からも感じられる楽しいスピード感。これも若いってことだろうね。


 「放課後は日曜日」「メガリス」アンコールの「Pray for Peace」どれもハッピーな気分になれる曲ばかりだった。顰めっ面なんてしなかったですよ。特に本編とアンコールの間の退場なしで、「最近は省くんです。時間もったいないんで。もう十分過ぎてますしね」にはダメ押しで爆笑。いいなあこのせっかちさ!笑。絶対気が合うwww 私もゆっくり出来ない派なんだよなあ。

 本田さん、いつまでもそのスーパープレイを楽しみたいので、どうぞ指も大事になさってくださいね。また堪能出来る日を楽しみにしています。


 「配信の方もご視聴ありがとうございました。これ、みんなで手を振るんですよね?そこですね?あ、お客さんで写んない方がいい方は下向いていていくださいね。全体が映るようにしますからね。あ、でも後ろ向きだから大丈夫かな?」

 本田さ~ん!笑






 

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