文:訳す「隣(の恋人達)は(ベッドに潜って)何をする人(達)ぞーSensationの大楠くんがピアノでイントロを弾いてSNSに上げてくれたBonnie Raittの “I Can’t Make You Love Me”を和訳してみた」



 一番左が今回の主役大楠くんで、一番右が準主役の麻井くん。

 大賀リーダー、車谷くんの後ろに隠れないでくださいw



 愛を交わす場面の印象が深ければ深い程、その後の展開が悲劇の時、胸が抉られるものだ。


 例えば、確か96年くらいだからもう随分前の映画になってしまうが、ディカプリオが主演した「ロミオ+ジュリエット」。ジュリエット役だったクレア・デーンズはその後ハードボイルドな国際政治ドラマ「HOMELAND」で主演も制作もしたりと活躍目覚ましいが、この2人の結ばれるシーン程可愛らしくて美しいものはなかったと思うくらい、印象に残っている。





 別に何をする訳ではなく、前の晩にキスをして、互いにシャツを脱いで抱きしめ合って、すぐ翌朝になる。映画だからね笑。だがその朝のシーンがいい。ベッドの中でシーツに包まってたくさんの言葉を交わし(シェイクスピアなのでセリフはめちゃくちゃ多い)戯れ合いながらゲラゲラ笑っている。その幸せそうなことといったらないのだ。まさに幸福の絶頂。我が世の春。弾けるような若い2人の笑顔が忘れられない。とても前の晩に重なり合ったなんて思えないくらい無邪気。まあ映画だからさ笑。でもそれでいいんだよね。なんつってもロミオとジュリエットだから。そしてロミオとジュリエットだからこそ、その後の2人の運命の転がり落ち方を思うと何とも悲しい。





 植田真梨恵嬢の「ダラダラ」という曲を聴いた時、この映画のシーンが少し浮かんだ。とはいえ「ダラダラ」の方が内容的にはもう少しダイレクトだ。アイスのように溶け合ったまま、互いの身体の境界線なんか無くなってしまえばいいってくらい抱き合って愛し合っている2人。体液という体液を全て交換し合うような、性愛ゆえの悦楽。

 なのに何故この曲は物悲しいのだろう。そう思いながら詞を読む。

 この恋をするには「落ち」なければならない。どこまでも。決して浮上しない。悪魔とも目を合わせる瞬間がある。そういう恋なのだ。だから、


せまいベッドの中 終わりないこと 願った


今、身体の奥の方を駆け抜けているこれまで経験したことのない快感がいつまでも終わらないことを願うのか。それとも、始まったばかりのこの肉体を伴う恋に終わりが来ないことを願っているのか。いずれにしてもこの詞の主人公は、既に終わりを意識している。始まりがあれば終わりがある。こんな、普通なら味わえない、脳髄の奥の方でぱちっと音がする交わりの瞬間を知ってしまったら、終わりが来ないなんてこと、ある筈がない。

 その、どこか冷めたところが見え隠れするから、物悲しいのかも知れない、と思っている。穿った見方かしらね。


 この曲は音源では真梨恵嬢が全て自分でコーラスをしているのだが、ライブでは彼女の下のパートを、当ブログでは毎度お馴染みのご贔屓インストバンド、我らがSensationの売れっ子ベーシスト・麻井寛史さん(ほんと最近SNS見てるとあっちこっちのサポートメンバーで麻井さんの名前を見る。引っ張りだこちゃんだなあ)が担当している。これがものすっごくいい。力一杯お勧め。前にも同じこと書いたけど、今回「ダラダラ」が満を持して配信シングルになるにあたり神戸で行われたリリースパーティ(真梨恵嬢曰く、最近はCDショップでリリースライブが出来ないとのことで、それでライブハウスで行うことにしたのだという)にて、麻井さんのコーラスが入ったバージョンが無料動画配信となった。ぜひお聴き頂きたい。


 こちらはMV。歌詞の切なさとは裏腹な展開に、爆笑必至(って言っていいのだろうかw)。大好きですこのセンス。






 そのSensationの鍵盤主任は、当ブログでは言わずと知れた大楠雄蔵さん。

 大楠くんのインスタのストーリーが上がるといつもちょっとドキドキする。街の一場面を切り取った写真や、ライブの写真、お仲間とのシーン、どれも楽しいけれど、それがピアノの動画だと解ると「うわあ~!」と思う。生演奏だ!やった!と心の中で叫ぶ。

 そして先日、B'zの「ねがい」のあのキャッチーなイントロ演奏の次に上がったのが、 “I Can’t Make You Love Me”(邦題は「夕映えの恋人たち」何故w)だった。相変わらずの名演。痺れた。





 とはいえ私はなんの曲かすぐには解らなかった。聴いたことあるメロディなんだけどなあ~!誰の曲だろ?と。すると大楠くんの動画には、良く見るとTikTokの文字が。速攻アカウントを作って探すと果たして大楠くんはいた。そしてそこに、この曲がBonnie Raittの曲であることが記されていた。


 大楠さん、いつも素敵な演奏ありがとうございます。もしも出来るなら今までの演奏を全部TikTokに残して頂けたらとっても嬉しいです。

 鶴屋さんのTwitterに落ちている大楠さんの「駅ピアノでTMのゲワイ」とかも併せて置いて頂けたら、こんな嬉しいことないですって図々しいお願いですねw


 ところで私が「聴いたことあるなあ~」と思ったのは伊達や道楽ではなくて、後から調べたらこれ、キャンディ・ダルファーがカバーしていた。




 キャンディ・ダルファーはパパダルファーが先に有名になって日本にも入ってきた、実力と共にそのルックスで更に有名になっていたと思われる、超美人サックスプレイヤー。セクシーとカッコいいは共存出来るのだと、彼女が私達に教えてくれた。20代で一番聴いたインストものの一つが彼女のアルバムたちで(多分この辺りからどんどんジャズに入って行ったんだと思う。ちなみにもう一つよく聴いたインストものは、母が見ていた「鬼平犯科帳」のエンディングテーマ “Inspiration”が渋カッコよかったジプシー・キングス)、93年リリースの “SAX-A-GO-GO”に、今回の曲のインストバージョンが入っていた。今聞いても実にいい。色気と哀愁が同時に漂うプレイっぷりが、ひと足もふた足も先に来た感じのこの猛暑に似合って堪らない。


 そうそう、大楠くんが以前ピアノで弾いてくれたアデルもこの曲をカバーしている。アデルのバージョンには原曲にはない程よいパンチがあってこれもとっても好き。





 さて、今日はこれを訳してみようと思う。

 まずは元の歌詞。


********************


Turn down the lights

Turn down the bed

Turn down these voices inside my head

Lay down with me

Tell me no lies

Just hold me close, don't patronize

Don't patronize me

 

★’Cause I can't make you love me if you don't

You can't make your heart feel something that it won't

Here in the dark, in these final hours

I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't

‘Cause I can't make you love me if you don't

 

I'll close my eyes, then I won't see

The love you don't feel when you're holding me

Morning will come and I'll do what's right

Just give me till then to give up this fight

And I will give up this fight



********************


<語句>

patronize  後援する、保護する、(人に)威張った[恩着せがましい]態度を取る

→ここから転じて和訳では「子供扱いする」としてみた。自分でもこれはうまく訳したのではないかと思う(自画自賛)。



 では恒例の英文解釈教室。サビの部分に注目。


I can't make you love me if you don't


ここに出てくるmakeは大学受験最重要事項と言ってもいい、「使役(しえき)動詞」のmakeである。<make+O+C(=動詞の原形)>で、「OにCさせる」の意。だからifの前までを直訳すると「私はあなたに私を愛させることはできない」となる。元も子もないナンセンス訳だが笑、これがタイトルの本来の意味である。


 更に、if節内だが、don’tで切れてはいるが、こういうのをこのまま「フィーリングで」訳す癖がついていると、あまり宜しくはない。

 「英語はフィーリングで解いてました」という言葉を高校生辺りから良く聞く。そういう場合大体、2年生くらいで行き詰まって、その後は転げ落ちるように点が取れなくなることが多い。

 誤解している人も多いみたいだから、この際はっきり言っておく。英語はフィーリングじゃダメだ。ちゃんとひとつひとつに理由があることのが多いんだよ。


 例えば今回のdon’tの後ろは「省略」されていると考える。何が?言わなくてもわかること、ここで言うなら前の繰り返しを避けるために省略されていると取るのが標準だろう。前というのは「直近」であることがほとんどなので、慣れればそれ程難しいことではない。つまり、


I can't make you love me if you don't [make you(rself) love me].


「あなたが自分から私を愛させない=愛したいと思わないなら、私はあなたに私を愛させることはできない」


となる。

 要は、「こっちを向かない人を無理に向かせるわけには行かないよね」ということだろう。

 もう一つ、次の行も見てみよう。


You can't make your heart feel something that it won't


thatは関係代名詞で、先行詞はsomething。it=your heartであろう。指示語が何を指すのかを考えることも英文解釈では重要。関係代名詞の後ろ、it won’tの後ろにも省略が働いていて(助動詞[won’t=will not]の後ろには必ず動詞の原形が来るはずなのでこの解釈が成り立つ)、


You can't make your heart feel something that it won't [feel]


と考えられる。で、直訳すると、「あなたは自分の心に、それ(=心)が感じたいと思わない何かを感じさせることは出来ない」となる。見たいと思わないものを見たって何も感じないよね、ということだろう。いずれにしてもまあ、悲しい歌詞である。

 これらのサビを、果たして私がどう訳詞したか。ぜひ最後までお読み頂きたい。




 森川七月さんのサポートに、大賀くんと大楠くんが入った写真ですな。



 さて、この省略、という文法事項を用いて、次の部分も考えられる。


I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't


lay down~を調べていくと「~を捧げる」という意味があり、“lay down one’s life”「命を捧げる」というような使い方をする(辞書で意味を調べる場合、最初の意味だけ見て訳を当てはめてしまう人が多いが、もししっくり来ないのであれば、必ず下まで見てみるべきである。自動詞か他動詞かの違いによって意味が異なることも多いので、その辺もしっかり見極めると間違いが少なくなる)。

 そして後半、ここで省略を用いているとして、


I will lay down my heart and I’ll feel the power 

But you won't, no you won't [lay down your heart].


と考えると無理がないのではないかと思う。

 で。

 ここさあ、the powerってtheがついてるんだよね。これがついているのといないのとでは実は雲泥の差なのよ。ここだと「その力」ってことになるので、何の力かって言ったら、自分の心のパワー、なんじゃないかと思うのね。

 君に心を捧げよう。そこにはありったけの力が篭っている、みたいな。そういうことかなあと思ったのだが。ここだけは自信がいまいちない笑。が、既存の数々のブログの解釈も、どれも私が納得するものではなかったので、自分の解釈で訳すことにした。


 好きな人のことを思うと、それだけで元気になったりするじゃない?それがたとえこの曲のように、心がすっかり離れてしまったことが解っていたとしても、好きという気持ちに変わりはないのよ、きっと。

 だから切ないのよ。くう。


 大楠さ~ん!聞いてないと思うから叫びます!

 夜9時過ぎにこういう、とんでもなく切ない曲のピアノをSNSに上げないでください~!聞き惚れてしまって何にも手につきません~!笑

 なんて、いやいや、上げてくださいこれからも。とんでもなく切ないヤツ一丁。ずっと待ってます。これからはTikTokがメインになるのかな。


 Sensationは、大賀くんがInstagram、麻井くんがTwitter(インスタもあり)、そして大楠くんがTikTok(インスタもツイもあり)。車谷くんはSNSがないので残念ではあるが、それもコミでいえば、こうしてみんなフィールドがバラバラなところが好きだ。

 みんな違って、みんないい。







 以前も紹介した、大賀くんと大楠くんが以前組んでいたバンドOOMのブログより。

 この3枚目の写真が好き。帽子被る人がいつもと逆ってのもツボなんだけど、なんだかものすっごい優しさを感じる。



 お待たせしました。和訳(意訳)行ってみよう。

 今回も、大楠くんを鑑みて男性目線で訳してあるが、この歌詞にはsheとかheとかは出てこないので、2人の性別は自由に考えていいのではないかと思っている。更に言えば、心の離れた恋人は年上とは限らないかも、と思う。

 いずれにしても、ロミオとジュリエットや真梨恵嬢の「ダラダラ」の2人のように、同じベッドに横たわっていながら、でもこの曲では、2人を隔てる距離はきっと100マイルほどあるんだろうなあと。そんな歌詞である。

 ああ切ない。心が切り裂かれそうだぜ。



*********************


明かりを消して

ベッドに入ろう

胸騒ぎを打ち消したい

ここへ来て

嘘は嫌だよ

抱きしめて欲しいだけ

子供扱いしないで


★君の瞳に僕は映らない

見てる振りをして 君は上の空

夜の帷が降りて この最後の時間

僕を全部君にあげる ありったけの思いを込めて

でもそれは君に届かない

僕の心は届かない


目を閉じてしまおう そうすれば気付かない

回した君の腕に 温もりがないことに

このまま朝が来て 日常が始まる

それまでの時を どうか下さい 僕がやめられるよう

この意味のない戦いを



********************


  Bonnie Raittのバージョンをどうぞ。





 大楠さん、次回もお待ちしております。











0 件のコメント:

コメントを投稿