文:訳す「Sensatioの大楠くんがインスタに投稿してくれたAdeleの “Someone Like You”を訳してみた」



 5月2日の、大楠さんお誕生日おめでとうございます画像。

 色々作ったけどこれは中でもベスト3に入るお気に入り。


 4月、5月というのは実は、当ブログきってのご贔屓インストバンドSensationファンにとっては結構大事な時期でね。というのも、大賀くんの誕生日が4月8日、麻井くんの誕生日が4月26日、で、大楠くんの誕生日は5月2日と、誕生日ラッシュなんだよね。みんな春生まれ。ホワンとして花がたくさん咲いて、とてもハッピーな時期だよね。ちなみに車谷くんの誕生日は1月。寒い時期だけど、年の初めという意味では、4月も年度の初めなので、みんな何らかの切替の時期に生まれてるって考えることもできるよね。


 その大楠くん、最近またインスタにピアノ演奏の動画を載せてくれた。今度はストーリーだけじゃなくて投稿にしてくれたので、消さないでおいてくれさえすればいつでも見られて、大楠くんの鍵盤のファンとしてはとっても嬉しい。また聞きたいなあ〜と思っていたところだったし。

 ストーリーで演奏が始まって、聞いた瞬間解ったのよ「あ!アデル!」って。曲名はすぐに出てこなかったんだけど、その後大楠くんがアデルのアルバム「21」の中のSomeone Like Youを貼り付けてくれて、「ああ〜そうそうこれ!大好きだった〜!ありがとうございます!」って思わず叫んじゃったよ。






 夫が夫になる前、秋の河口湖辺り?それとも清里?にドライブに行ったのだが(この辺にいつも行ってたので)、その時たまたまカーラジオで、当時出たばかりのアデルの、007の主題歌がかかって。いい曲だなあ〜なんて思いながら紅葉を眺めたりしていたのだが、その後再び会った時、車の中にあったのがアデルのアルバム「21」だった。その日聞いて気に入ったので貸してもらった。

 まあそんなアデルよ。





 で、今回、大楠くんの相変わらず素晴らしく美しい演奏っぷりを堪能し、あらためて歌詞を見たらこれがなんとも、文法的ツボを含んだいい詞だったので、いつもの如く訳してみることにした。大楠くんのカバー曲に勝手にお題を頂いている気分。


ではまず元の詞を。


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Someone Like You  (by Adele)



I heard that you're settled down

That you found a girl and you're married now.

I heard that your dreams came true.


Guess she gave you things I didn't give to you.

Old friend, why are you so shy?

Ain't like you to hold back or hide from the light.


※I hate to turn up out of the blue, uninvited

But I couldn't stay away, I couldn't fight it.

I had hoped you'd see my face and that you'd be reminded

That for me it isn't over.


★Never mind, I'll find someone like you

I wish nothing but the best for you too

Don't forget me, I beg

I'll remember you said,

"Sometimes it lasts in love but sometimes it hurts instead,

Sometimes it lasts in love but sometimes it hurts instead"


You know how the time flies

Only yesterday was the time of our lives


We were born and raised in a summer haze

Bound by the surprise of our glory days




Nothing compares

No worries or cares

Regrets and mistakes

They are memories made.

Who would have known how bittersweet this would taste?




<語句>

hold back  躊躇う

out of the blue  突然

haze  靄


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 いろんなサイトに和訳があって、今回の歌詞は比較的わかりやすいというのもあるのか、どの方のもそれ程引けをとるものではないように感じたが、まずは私の直訳を。



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あなたは落ち着いたんだって聞いた

いい子を見つけて結婚したって

夢も叶ったんですってね

彼女は私があなたにあげなかったものをくれるのでしょう?

ねえ、どうしてそんなに恥ずかしがるの?

あなたらしくないわ 躊躇って隠れているなんて


※招かれてもなくて突然姿を現すのは嫌い

でも遠ざかってはいられなくて、我慢できなくて

ずっと前から望んでたの あなたが私の顔を見たいだろうって

あなたが私を思って、まだ終わってないってことを

思い出させてもらいたいだろうって


★気にしないで 誰かあなたみたいな人を見つけるわ

あなたのために幸せだけを望んでもいる

私を忘れないでってお願いするわ

あなたが言った言葉覚えてる

愛の中で続くものもあれば、その代わりに傷つけるものもある


時が過ぎるのは早いわ

私たちが生きていた時はほんの昨日みたい

私たちは夏の靄の中で生まれ育ち

私たちの栄光の日々という驚きによって結ばれてた




比べるものはない 心配も不安もない

後悔も過ちも、みんな作られた思い出

誰にわかるというの これがどんなにほろ苦いものか




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 はーい、じゃあここから英文法的解説、いくよ〜w

 これが解ると訳す時のツボが解ってくるから、文法って大事なのよ。


 まず2連目のここ。


Guess she gave you things I didn't give to you.


thingsとIの間には関係代名詞thatが省略されている(先行詞がthingsなので関係代名詞はthat一択になると考える)。そこに気をつけて訳す。また、


Ain't like you to hold back or hide from the light


これは倒置になっていて、元の形に戻すと、


To hold back or (to) hide from the light ain’t[=isn’t] like you.


不定詞の名詞的用法「~すること」が主語。これがひっくり返っていると気づくと訳はすぐ解る。

 そして後半のサビ前のここ。


Nothing compares


本来はnothing compares to~の形で用いるものだけど、以下が明らかな場合は略すこともある。ここはまあ、通例で考えるならto youとかto our loveとか、そんな感じだろうか。

 更にここ。


Who would have known how bittersweet this would taste?


これは最近じゃあ学校では習わないけどいわゆる「修辞疑問」ってやつで、「~だろうか?いや、違う」という、まあ古典で言ったら反語みたいなもん。更にここに出てくるwould have+過去分詞は、仮定法過去完了の帰結説=主節なので、「一体誰が~だったというのだろうなあ(違うけど)」という解釈になるんだと思う。


 で、最大のポイントはこの部分にある。


※I hate to turn up out of the blue, uninvited

But I couldn't stay away, I couldn't fight it.

I had hoped you'd see my face and that you'd be reminded

That for me it isn't over.


1行目の “~, uninvited”、これは分詞構文である。uninvitedの前にはbeingが省略されていると考える。


 分詞構文ってのは英文解釈上解りにくい文法事項の一つであるが、実はなんてことなくて、この文だと、前の部分と「~しながら」の意味で同時に起こっていることが書いてあると思えばいい。この「~しながら」というのが分詞構文の代表的な訳である。もちろん他にも<理由>や<時>、<譲歩>などの訳し方があるが、元々分詞構文は、接続詞を使わずにネイティブが書いているこなれた英文、という一面があるので、接続詞的な訳をつけずとも済む場合には、つけなくていい。


 でも実はもっと大事なことがあって。

 

But I couldn't stay away, I couldn't fight it.

I had hoped you'd see my face


ここ。下線を引いた部分、過去完了形という。


 過去完了形は、過去よりもっと過去のことについて話す時に使う、というのが一般的な説明なのだが、日本語には時制の概念があまりないおかげで、いくら話しても解って貰えないことが多い。

 多分ほとんどのヨーロッパの言語では、「いつの話なのか」ということについて細かく述べる必要がある。時間軸がずれているのに、そこを同じ時制で書くと混乱を招く。

 日本語では、「先日買った傘をなくした」と言っても何の不思議もないが、これを英語で述べる場合、「なくした」と「買った」がそれぞれいつなのかを明確にしなければならない。ここで登場するのが過去完了で、この文の場合には、「買った」方が「より過去」に当たるので、こちらに過去完了を用いて、次のようにする。


I lost the umbrella which I had bought the other day.


ちなみに、これを小学生の絵日記のように、時間を追って順に書くのであれば、気にする必要はない。


I bought an umbrella the other day and I lost it.


こんな感じ。時制をずらさないといけないのは、前に書いた時よりももっと過去のことを後ろの文で述べないといけないような場合や、或いは時制が混じってて解りにくいような時。そういう時はこれを使ってはっきりと書く。


で。これを踏まえてアデルの歌詞を考えると。

 

 「遠ざかっていることはできなかった」と「どうしても抗えなかった」は過去形だよね。でもその後の「あなたが私の顔を見たいと思ってた(望んでた)」ってとこは過去完了、つまり、もうその前からずっと思ってたってことになるのよ。だから、もうどんだけ会いたいと思ってたかってことが、ここから伺える訳。

 日本語だとベッタリと書いてしまうばかりでこの辺りの塩梅が表に出て来にくいんだよね。かといってここを詳細に訳し過ぎると雰囲気が出ないこともあるので、なかなか難しい。





 で、今回も、大楠くんが弾いてくれたことを踏まえて、わざと男性の言葉で訳してみた。男子だってこの曲、好きでしょう?きっとこれを聞いて恋の傷を癒す人もいると思うし。

 それと最後の修辞疑問のところ、「誰が解っていたというのだろう」ってあるけど、これって逆に考えれば、恋の苦しさなんて、紫式部の時代からある訳じゃん?そこを踏まえてあえて逆方向から攻めてみた。

 そんな訳で、意訳バージョン、行ってみよう。

 今回も大変楽しかった〜!


 これももちろん、勝手に大楠さんに捧ぐ。いつも素敵な演奏、本当にありがとうございます。


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Someone Like You by Adele (訳詞:コティ)


君の噂を聞いたよ

いい人を見つけたんだってね

夢も叶えたんだって

僕があげなかったものを、君にくれる人なんだね

水くさいじゃないか

黙って隠れたままなんて 君らしくない


※呼ばれてもないのに姿を見せるのは嫌で

でもこのままって訳にはどうしてもいかなくて

つい思ってしまってたんだ 君も僕に会いたいだろうなんて

まだ終わってないってことに気づいてくれるだろうか、なんて


★大丈夫 また見つけるよ 君みたいな素敵な人

君の幸せだけを祈ってる

だからお願いだ 僕を忘れないで

いつの日か君は言ったっけ

「愛し続ける人たちがいれば

傷つけ合う人たちもいるの」って



時はいつの間にか過ぎて

2人いた時はつい昨日のよう

めまいがする程眩しい夏に 僕らの愛は生まれ育ち

結ばれ合った 2度と来ない輝きの日々




比類なき僕らの恋 心曇らすものも

ため息もあやまちすらもなかったあの頃は 既に彼方

記憶は甘く僕を引き裂く 千年前からきっと同じこと




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下の写真はTwitterより。

大楠さん、麻井さん、お二人ともお誕生日おめでとうございました。








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