文:見る三連発「ONE・#01・109」UNITE#01@YOKOHAMA, ROUTE 109 DAY1, HOW DO YOU CRASH IT (ONE)



 恒例となりつつある、海外ドラマあるある。思いがけないものに出会い、惹かれるということ。例えば「マダム・セクレタリー」。まさかアメリカ大統領のもとで働く国務長官の話がこれ程面白いとは思いもよらなかった。





 ポリティカル・ストーリーは嫌いではない。「ハウス・オブ・カード」なんて夢中になって見た方だ。しかしながら入り組んだストーリーや馴染みのない他国の政治の仕組みなど、理解するだけで一苦労という場合も少なくない。


 その点、「マダム・セクレタリー」は、主人公の主たる任務、つまり「外交」に話を絞り、そこを重点的に描くことで、次第にその周辺の政治の構図も解ってくるという、実に巧みな描き方をしているので、初めて見るモノにも比較的優しい。さすがはベテラン俳優モーガン・フリーマンが製作に絡んでいるだけのことはある。彼はそれぞれのシーズンの第1話目にちょこっとだけ登場するが、出てくるだけで「おお」というオーラがあるのも素晴らしい。


 でも何がいいかって主人公ベスよねえ。声を荒げることなく、時に柔軟に、時に過激に、国を動かしていく。ロシアに頭を悩ませ、中国とギリギリの交渉を重ね、フランスに嫌われ、中東各国の信頼を得る。


 潔癖なだけでない駆け引きにも身を投じ、臆することなく前に進むかと思えば、家では、地球外生物としか思えないほど良く出来た大学教授の夫(スパイになったりもするんだけどね(笑))に愚痴ったり、しょっちゅう喧嘩したりもする。


 3人の子供たちはそれぞれ、惚れてはまずい男にばかり引っかかったり、進路に悩んだり、学校で問題を起こしたりと、それはもう奔放で、親は呆れたり叱ったり褒めたり抱きしめたりと大忙し。


 ベスの元で働く部下達も、疎遠だった息子から急に連絡が来てみたり、殺された恋人は実はCIAの潜入捜査員だったり(このパターン多いよねえ(笑))、別れた妻と親権を争うのに疲れ果ててみたり、自分のセクシャリティを誰にも言えずに悩んだり、自分が辛いからという理由で恋人を捨ててみたりとこれまた大忙し。


 つまり、誰が見ても感情移入できる、そんなドラマだということだ。おススメ。







 普通なら考えられないペースでライブを楽しめる、というのも、配信ならではの特権で、まるで連日フェスにでも来ているかのような感覚でここのところ配信ライブを見ている。


 そんな中、思わぬ拾いものをしたかのような気分にさせられたのが、B'zがオーガナイズしたUNITE#01@横浜での、GLAYのライブだった。


 先に言っておくが、B'zサイドももちろん最高だった。大好きを公言して憚らない大賀くんのプレイや表情はもちろんだが(ぶっちゃけ言えば大阪の時くらいもう少しアップが欲しかった。とはいえ、GLAYとセッションしている時の大賀くんのめっちゃ楽しそうなキラキラした笑顔にはファン以外の人も魅了されたに違いない)、神ドラムと称される青山英樹くんのパワフルなドラミングにもやられたし、キーボードのケンちゃんの手も笑顔もすっごく輝いていたし、激し過ぎるプレイスタイル以外の場面ではちょっと暗めに見えてしまうことの多いYTでさえ、最後に少しだけはにかんだような笑顔が見えて、好感度が上がったのは言うまでもない。とにかく、サポートメンバーは、見応え聞き応え共に充実しまくっていた。





 そして何よりも、大阪・横浜通じて素晴らしかったのは稲葉さんの呼びかけだ。折に触れて唇に指を当てて「シー」とジェスチャーして声を出さぬよう促したり、最後には真っ直ぐ帰ってくださいねと必ず伝えたり、オーディエンスのマスク姿=協力を称えたりと、全編に渡って真剣にこの有観客ライブの成功に心を砕いていたのがよく解った。


 だから、稲葉さんからは特にライブ中にコメントはなかったけれど、きっと、最初から配信ライブを選択した、いわばアウトサイダーであるオーディエンスのことも、心に留めておいてくれたのではないかと勝手に思っている。


 そこにいるだけが観客じゃない。想像力があれば、見えないものがきっと見える。生ライブがいいなんてことは言わなくても誰も解っている。ファンなら誰だってそこに行き着きたい。だからこそあえて言わないだけなのだという、その想いを、稲葉さんはしっかり受け止めてくれていたからこそ、感染対策という一見野暮な約束事について、一瞬たりとも怯むことなく当たり前のように口にし続けてくれていたのだろう。そしてそんな稲葉さんがいるからこそ、私達は、次のB'zも楽しみにすることが出来るのである。




 で、GLAY。

 彼らの作った、最高に楽しい冒頭のビジュアルで、今回のUNITEを「世紀のセメントマッチ!」と謳ってめちゃくちゃ盛り上げてくれていたけれど、こんだけB'zサイド褒めといてなんだけどさ、あのね、今回のライブね、もし勝ち負けがあるのならね、私はね、あえて言うけど、GLAYの勝ちだと思うよ(笑)。


 まずね、彼らは今回きっと、オーガナイズがB'zな訳だから、自分達のがアウェイだと思って来てるんだろうなって思ったの。それはね、頭上のモニターに、自分達の楽曲の歌詞が全部出るのを見たから。


 あれはすごい心遣いだと思った。ほんと、お見事としか言いようがない配慮。ほら、声出して歌えないじゃない?だからだと思うんだけど、僕たちと一緒に歌詞を、胸の中で歌ってねって、そう言いたかったんだろうなあと。または、B'zのガチのファンに向けて、僕達の歌も味わってみてくださいという、言ってみればお名刺代わりに歌詞を出すという感じだったのかな。凄い気配り。GLAYっていつもこうなの?もうあれ見ただけで拍手だった。


 また、挨拶も素晴らしかった。TERUさんの「僕達の音楽と、音楽を演奏するものたちを守るためにも、どうか対策をしてください」的なことを言ってくれたよね。あのストレートだけど、最も大事なことを、わかりやすく伝える言葉の選び方。天晴。


 またそれでいて、常にB'zに対しての礼儀正しさとリスペクトを忘れない、その腰の低さ。「大好き」「最高」という言葉を一体何回彼らは言ったろう。B'zと共に演奏出来るという、何にも代え難いほどの彼らの喜び、興奮、感謝、全てがこちらに伝わってきて、見ている私達もGLAYが「大好き」になってしまうくらいだった。


 言葉と言えば、後日談だが、TERUは配信初日に自分のTwitterで「一緒に体感したかった人もっとたくさんいたと思いますが、今日やっと体感できます!」と書き込んでくれていた。どうだろう、この思いやりある言葉は。少し泣ける心持ちさえした。


 ステージも素敵だったと思う。アグレッシブなだけでない、少し落ち着いたプレイスタイルがとても心地よかったし、稲葉さんも言っていたように、ルックスも含めて全てに「華」があった。それは一重に、B'zに対して、そして直接間接問わず彼らを「見る」ことになるオーディエンスへの気持ちの表れであったように感じる。


 まあさ、何より、いい曲なのよ。ほんと。気持ちいいコード進行で、明るいだけでない切ない部分がたくさんあって、聞いててとてもしっくり来た。ヒットソングだけじゃなくて、新曲の“Bad Apple”なんて私には結構ツボ。


 でもさ、何より良かったのはさ、「彼女の “Modern…”」でしょ(笑)。いっやあ私あの歌好きだなあ〜!あの歌詞の世界観が好きだし、メロも実にいい。激しいのに切ないのよ。GLAYってそういうの、得意なのかもだけど、この曲大好き。B'zとセッションしてる時のGLAYも良かった。HISASHIが松本さんと演ってると慌ててステージを走って(笑)駆けつけるTAKUROとか、JIROと向き合って歌う稲葉さんとか、TERUが松本さんと背中わせになるとか、見どころが満載で、実際参加した方からのツイートに「どこ見ていいかわかんなかった」と書いてあった気持ちが理解できた(笑)。


 また同じ理由で、「ウルトラソウル」をB'zサイド全員とGLAYが演ったのも最高だった。特にTAKURO、HISASHI、大賀くん、松本さんとギターが4本になる、いや待て、YTもあの時はアコースティックギターだったから全部で5本(笑)ステージに揃ったのも圧巻だった。個人的には大賀くんが満面の笑みでTAKUROやHISASHIと演奏しているのを見て昇天しそうだった。





 美しい花々がぱあっと咲いたようなステージング。見事だった。まあ、お門違いと叶わぬ思いを承知で言うなら、「彼女の “Modern…”」、大賀くんにも入って演奏してほしかったかなと。

 そんな訳で、UNITE GLAY横浜編、心でも身体でも堪能させて頂いた。今までも好きな曲何曲かあったけど、あらためてちゃんと聞こうかなと思った、 GLAYを。

 穴場のオススメとして、GLAYの「残酷な天使のテーゼ」のカバーがあって(今は配信だともうないみたいだけど)、これが悶絶するほどカッコいい。何かのシングルのカップリングだったのかな?私はパソコンに入っているので、今度iPhoneに移そう。






 さて。

 「生も配信もないよね」と言い切り、爽やかな笑顔で配信オンリーライブを大絶賛パフォーマンス中なのが、徳ちゃんこと、doaの徳永暁人さん。ちょうど “Route109 Live”のDAY1が終わり、DAY2の配信を待っているところである。




 業界的に何らかの理由があるのかは知らないが、この時期様々な配信ライブがバタバタと重なり、徳ちゃんのそれはB'zと丸かぶりで、見るのは大変忙しいのだが、実際には不可能なライブの「ハシゴ」が可能になっちゃうのが配信の良さであり、私も徳ちゃん見た後B'zとか、逆のパターンとか、色々と楽しませてもらっていた。


 配信ライブを最初から見据えているためか、ステージは実にシンプルな分、プレイヤーそれぞれの顔や手のアップが多いのが特徴。表情や仕草など、生だとここまで見える訳がない、というところまでしっかりと見えて、ちょっとだけ嬉しさが増す。


 また、楽曲の選び方も秀逸で、聞き応えがあるだけでなく、エンタメとしての役割もしっかり果たしていた。緩急をつけて見るものを飽きさせないのは当然として、凄いなと思ったのは、見ているのではなく「聞いている」、つまり映像を眺める余裕はなくても音声だけは楽しめる、という人にも向いている選曲だったと思う。トークも含めて。結果的に、映像を「流す」回数は増える。私も3日間で、B'zや後述の別の配信もあったにもかかわらず、5回は聞いたり見たりした。時間も1時間強でちょうどいい長さであった。


 「配信も生もないね。同じように興奮するし」というようなことを語ってくれていたように記憶している。きっと、同じように楽しいし、同じように緊張感を持って臨んでいるし、同じように目の前のみんなを感じながら演っているよ、と言いたかったのではないかと想像する。違ったらごめんね徳ちゃん(笑)。


 この時期にライブ、という場合、かなり迷ったのではないかと思う。やろうと思えば出来たかもしれない、有観客で。小さい箱にするとか、やりようはあったろうし。しかしながら、そこをあえて無観客にし、最初から配信オンリーにしたことの潔さを、私は心から讃えたい。少なくとも「観客がどっちにしようか迷う」という命題=ストレスからは、我々も徳ちゃん側も解放される訳である。ある意味では、我々に対しての思いやりとも言える。そしてその分、徳ちゃんはもしかしたら、我慢してくれたのかもしれない。そんなことさえ考える。


 セットリストだが、個人的にはdoaの曲を歌ってくれたのが良かった。大人のあれとかすごく刺さった。デビュー曲もラストの曲もかなりムネアツだった。それと、当ブログでも紹介させて頂いた、英語の歌詞がかなりとんでもないことになっている “Don’t Let Me Down”が聞けて嬉しかった(笑)。


 ドラムの紹介の際、「Sensationの車谷くん」と呼ばれたのを聞き、私まで嬉しくなってしまった。しなやかで、キレが良くて、タイトなのに温かみのある音。青山くんとはまた違った味があり、とても良かった、車谷くんのドラム。KEIくんのギターもちょっと前風に言えば音が「いなたい」感じで私は好き。アメリカンな空気感とでもいうか。さあ、次はDAY2。心から楽しみだ。




 更にもう一つ(うわーここまでで原稿用紙換算で10枚以上書いているw)。


 私の魂のルーツ、とも言えるTM NETWORKが「再起動」した。そのライブ映像の第1回目の配信も同じ時期にぶつけてきた。全く何なんだ、と言いつつやはり見ない訳もにいかず、配信初日に見た。





 TMの場合、元々、観客がいるとかいないとかいうことよりも、ライブ自体が1つの「ショウ」として捉えられてるようなところがあるので、目の前に見ている人がいてもいなくてもあまり関係ないようだった。その「映像美」の中にこそ彼らの特有性が存在するのだし。そう思うと、TMは今この時代に、最もマッチしたライブが出来る=映像を作れるバンドのひとつなのかもしれない。


 最初少し歳を重ねたかに見えたウツだが、曲が進むにつれてどんどん若くなっていくように感じた。これは凄い、さすが、TMのフロントマンはこうでないといけない。そしてそれとは対照的に、最初から全く歳を重ねたように見えなかったのがキネちゃん(笑)。違う意味で凄い。ダブルネックの小さめのエレキギターを見た時、「あ、ダブルネック。大賀くんみたいだ」と一瞬思ってしまったのは私だけだろうか。




 そして、TK。

 私はその昔、3人の中ではTKが1番好きだった。

 多分、本当の意味で「恋」をした最初のミュージシャンではないかと思う。


 やんちゃなくせに繊細で、大胆なのに寂しがりや。太々しいのにお人好し。反発するS極とN極を自分の中に飼い慣らして、弄んでいるうちに、いつしかそれに疲れてしまう。そんな、危うい魅力を持った人に思えた(こんな人に惹かれるくらいだから、私のリアルな恋愛なんて、うまくいくハズがなかったのよねえと、今更ながら思ったりする。嘆息(苦笑))。


 でも今、TKは違った。

 彼の作る歌は、もっと穏やかで、優しくて、少し物憂げで、でも温かい眼差しで世の中を見ていた。懐かしい歌もとても良かったけれど、今の歌かなと思わせるものもあり、それがとても新しく、美しく、心地よく響いた。酸いも甘いも味わってきた人だからこその、視点。そんなのも心を打った。


 人間、いろんな経験をして初めて解ることもある。TKと一回り違う私にも、そのことがうっすら解るようになってきている。だからか、彼の作る楽曲に、昔はなかった魅力を、昔と同じように感じた。今、彼に恋はしないけれど、あの時彼に恋した自分を今なら肯定してもいい。


 最後に思う。TKに、ウツとキネちゃんがいて良かった。本当に良かった。それだけで鼻の奥がツンとした。





 B'zもTMも週末まで。徳ちゃんの2日目は週末からスタート。まだ目が離せない。まだ聴き足りない。そして多分きっとまだ愛し足りない。思いがけないところにまだ気づいてない煌めきがあると思うから。

 さ、今夜も見るかな。









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