文:創る for ROOM OHGA “TAKE ME TAKE ME” (虚構大学シリーズ)





Part 4: 
Title: “TAKE ME TAKE ME”


(虚構大学・妄想学群キャンパス内、サークル棟3階150号室(通称3150)前)


 「あの、こんにちは」

「どうも…あ、ROOM入会希望者?」

「あ、あの、雪ちゃんか華ちゃん、今日来てますか?」

「『雪華』?あの2人なら今日はいないよ。ドリフェス行くんだって言ってさっき帰った」

「あ、そうだ…。明日でしたよね。ROOMに来れば会えるとばかり思ってて、そのことを忘れていました」

「君は?友達?」

「あ、はい。『はるかぜ』って言います」

「はるかぜ」

「はい。あの…」

「あ、ああ、俺は『DJ曼荼羅』。妄想学群イマジネーション学科2年」

「私は、イリュージョン学科の1年です」


明らかに俺は動揺していた。

心臓がバクバクしてぶっ倒れそうだ。

こんな可愛い子がうちの大学にいたのか?

なぜ今まで会わなかったのか。生協ですら見かけたことがない。

幻か?マボロシなのか?俺が見ているのは。

雪華コンビ、こんな子と知り合いなのになんで俺に紹介しない?


「な、何か2人に用事だったの?」

「ええ。徳永くんの配信ライブが決まったみたいだから、2人にも伝えたくて」

「え?そうなの?」

「DJ曼荼羅さん、徳永くん好きなんですか?」

「大賀くんが好きで徳永くん嫌いなやついないっしょ。で?それいつなの?」

「10月の初めみたいです。2日間あって」

「わ!すげ!」

「私、徳永くんのライブって、配信でしかまだ見たことないんですけど、とってもいいですよ」


大賀くんのマブダチの徳永くん、通称徳ちゃんの配信ライブ。

男から見てもひたすらかっこいいあのベースプレイ。

それにあの、腹の底を抉る、人を揺さぶるぶっとい声。

俺のこの金属製のダミ声なんて、まるで太刀打ちできやしない。


「徳ちゃんの何見たの?」

「ブルーノート東京で演ったのを」

「随分渋いのから入ったんだね」

「かっこよさ倍増でしたよ」


あんなかっこいい徳ちゃんに憧れる女子が、俺に目なんかくれる訳がない。

ほら、見てみろよ、彼女、目が完全にハートだぜ。

出会って5分も経ってないのに完全敗退の俺の一目惚れの恋。

全く、なんだっていつもこうなんだろう。


「そうだ、DJ曼荼羅さんも、徳永くんが好きなら、一緒に配信見ませんか?」

「…へ?」

「みんなで見たら楽しいですよ。きっと。雪華コンビも一緒ですし、いかがですか?」


いかがもへったくれもない。

こんなチャンス、もう二度と人生で巡ってくるかどうか解らないぞ。

雪華?一緒でもいいじゃないか。

振られたら2人に笑われるって?それもまあアリだろ。

今はただ、差し出された手を離さずしっかり掴むだけ。


「うん、いいね。じゃあ一緒に」

「嬉しい」

「俺も、嬉しい」


秋が深まる日の午後だけど、俺の心にははるかぜが吹いた。








文字通り、大賀くんのマブダチ(笑)、徳永暁人さん=徳ちゃんのお誕生日に託けて書いたものです。

「はるかぜ」は。徳ちゃんのバンドdoaの曲のタイトルです。

「曼荼羅」はSensationの1枚目のアルバムの曲。もちろんDJとはついてませんが(笑)。

DJ曼荼羅には仲間がいるので、それを早く書きたいです。

徳ちゃんの配信ライブは10月9日、徳(109)の日に配信開始。B‘zとまるかぶりなので、どっち見たらいいのかわからないくらい幸せというべきか、頼むからもう少しずらしてくれよというべきか(苦笑)。






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