(虚構大学・妄想学群キャンパス内、サークル棟3階150号室(通称3150)前)
「あの、こんにちは」
「どうも…あ、ROOM入会希望者?」
「あ、あの、雪ちゃんか華ちゃん、今日来てますか?」
「『雪華』?あの2人なら今日はいないよ。ドリフェス行くんだって言ってさっき帰った」
「あ、そうだ…。明日でしたよね。ROOMに来れば会えるとばかり思ってて、そのことを忘れていました」
「君は?友達?」
「あ、はい。『はるかぜ』って言います」
「はるかぜ」
「はい。あの…」
「あ、ああ、俺は『DJ曼荼羅』。妄想学群イマジネーション学科2年」
「私は、イリュージョン学科の1年です」
明らかに俺は動揺していた。
心臓がバクバクしてぶっ倒れそうだ。
こんな可愛い子がうちの大学にいたのか?
なぜ今まで会わなかったのか。生協ですら見かけたことがない。
幻か?マボロシなのか?俺が見ているのは。
雪華コンビ、こんな子と知り合いなのになんで俺に紹介しない?
「な、何か2人に用事だったの?」
「ええ。徳永くんの配信ライブが決まったみたいだから、2人にも伝えたくて」
「え?そうなの?」
「DJ曼荼羅さん、徳永くん好きなんですか?」
「大賀くんが好きで徳永くん嫌いなやついないっしょ。で?それいつなの?」
「10月の初めみたいです。2日間あって」
「わ!すげ!」
「私、徳永くんのライブって、配信でしかまだ見たことないんですけど、とってもいいですよ」
大賀くんのマブダチの徳永くん、通称徳ちゃんの配信ライブ。
男から見てもひたすらかっこいいあのベースプレイ。
それにあの、腹の底を抉る、人を揺さぶるぶっとい声。
俺のこの金属製のダミ声なんて、まるで太刀打ちできやしない。
「徳ちゃんの何見たの?」
「ブルーノート東京で演ったのを」
「随分渋いのから入ったんだね」
「かっこよさ倍増でしたよ」
あんなかっこいい徳ちゃんに憧れる女子が、俺に目なんかくれる訳がない。
ほら、見てみろよ、彼女、目が完全にハートだぜ。
出会って5分も経ってないのに完全敗退の俺の一目惚れの恋。
全く、なんだっていつもこうなんだろう。
「そうだ、DJ曼荼羅さんも、徳永くんが好きなら、一緒に配信見ませんか?」
「…へ?」
「みんなで見たら楽しいですよ。きっと。雪華コンビも一緒ですし、いかがですか?」
いかがもへったくれもない。
こんなチャンス、もう二度と人生で巡ってくるかどうか解らないぞ。
雪華?一緒でもいいじゃないか。
振られたら2人に笑われるって?それもまあアリだろ。
今はただ、差し出された手を離さずしっかり掴むだけ。
「うん、いいね。じゃあ一緒に」
「嬉しい」
「俺も、嬉しい」
秋が深まる日の午後だけど、俺の心にははるかぜが吹いた。
文字通り、大賀くんのマブダチ(笑)、徳永暁人さん=徳ちゃんのお誕生日に託けて書いたものです。
「はるかぜ」は。徳ちゃんのバンドdoaの曲のタイトルです。
「曼荼羅」はSensationの1枚目のアルバムの曲。もちろんDJとはついてませんが(笑)。
DJ曼荼羅には仲間がいるので、それを早く書きたいです。
徳ちゃんの配信ライブは10月9日、徳(109)の日に配信開始。B‘zとまるかぶりなので、どっち見たらいいのかわからないくらい幸せというべきか、頼むからもう少しずらしてくれよというべきか(苦笑)。
0 件のコメント:
コメントを投稿