文:見る “Yes, I’m looking for you” B’z presents UNITE #01 @OSAKA streaming live version




 自由英作文の練習のお題に、「過去、または現在の偉人と話せるなら、誰と何を話したいか」というテーマがある。大体100語前後で答えるのが通常で、誰と何を話したいか理由を組み入れるのが模範の書き方である。

 ここには架空の、という設定は含まれないはずなので、例えば「ドラえもん」を挙げるのはお題に反することになる。シャーロック・ホームズもそう。しかしながら、ホームズを生み出したアーサー・コナン・ドイルと答えるのは模範解答例である。

 とはいえ、ドイルといえば当然ホームズな訳だから、この作文をチェックする読み手としては、次に何が語られるか解ってしまう分、サクッと添削できるけど、目新しさはない。そこでここで個性を出したい。例えば次のような質問で。

「これまで映画やテレビで演じられてきた全てのシャーロック・ホームズの中で、あなたの1番のお気に入りはどれか。それはなぜか」をドイルに聞いてみたいとか。

 ロバート・ダウニーJrの演じた些かマッチョタイプのシャーロックかもしれないし、カンバーバッチくんが演じた繊細さと大胆さが備わったタイプかもしれない。或いは私の大好きな、ジョニー・リー・ミラーのNY版ホームズかも。


 今、私が偉人と話せるなら、即座にこう答えるだろう。

 私は、松本孝弘さんと話をしてみたい。

 偉人と呼ぶにはまだ若過ぎるかもしれない。しかしながら彼は間違いなく、今回のライブを成功に導いた主たる1人として、この先名を残すに違いないと思うので、彼の人生においては少しフライングだが、松本さんをチョイスしたい。

 いつものように軽々しく「まっちゃん」と呼びたいけれど、もしも目の前にいたら絶対そんな風には呼べないので、松本さんと呼びかけてみる。

 松本さん。

 UNITEをオーガナイズすると決め、実行するに至り、無事に終わったと言っていい、今だから聞きたい。その瞬間瞬間、あなたはどんな気持ちだったのか。どんな気持ちでことを運び、実行すると最終的に決定し、リハーサルをし、会場に入り、客席を見た瞬間、どう思ったのかと。そして今、どんな気持ちで配信を迎えているのか。


 いつになく柔らかい笑顔の松本さんを配信で見た瞬間、頭の中にそんな質問が浮かんでいた。





 ここには、配信ライブを見た感想もだが、この配信に至るまでの間の雑感を含めて書きたいと思う。いつか読み返して、ああ、こんなことがあったなと思えれば1番いいと思うから。

 もちろん、大賀くんの話は書くが。



 ライブが行われた日のTwitterを見ていて、ミスチル、B'z双方のファンが、互いに温かいコメントをしたり称えたりするのがとても心地よかった。綺麗事で言ってるんじゃない。その場に行くまでに躊躇いがなかった人ばかりではないだろう。迷いながらも会場に向かい、そこで袖擦りあった客席の人達の真剣さに触れ、自分もその中に入り、ステージ上にいる真剣なミュージシャンとがっぷり四つで組み合い、ライブを成功させた。そのプライドと、思いやりと、興奮とがないまぜになった結果の、讃え合いだったのではないかと思う。


 正直言うと、もっともっと、「まじ行ってよかった」「生はサイコー」「目の前で見てこそライブ」的な、こう、行ったもん勝ちなコメントにバシバシ触れるかとも思っていたのだ。Twitterだし、レアな気持ちがそのまま乗っかる媒体だから。ところがそうでもなかった。みんな、「感染対策しました」とか「ステッカーもらいました」とか、中にはTwitterではなかったと思うが、「声出せなくて苦しかったけど頑張った」とか「知り合いに会ったけど挨拶もそこそこに別れないといけなくて残念だった」といった、ある意味配信組と同じような、痛み分けとも呼べるようなコメントも散見し、ああ、行った人は行った人で大変だったんだなと、むしろこちらが気遣いたくなるような気分にさえなった。

 まあ、それでも行ってすぐ傍で見てるんだからいいじゃんって考え方もあるとは思うけど、いや、そういうもんでもないだろうと思う。彼らは彼らで、すごくキツい思いを強いられて参加したことが読み取れた。


 しかしながら。


 チケットが取れて行こうとしたけど周りに止められた人、自ら踏みとどまった人。

 地方に住んでいてチケットを取るというところにさえ気持ちが行かなかった人。

 行けば行くことの出来る場所に住んでいるけれど、家族や職場のことを考えて遠慮した人。


 理由は様々だろうが、今回、チケットを取ることさえ、会場に足を向けることさえ叶わなかった人が、一体どれくらいいるんだろう。

 その人達の悔しさは、一体如何ばかりか。私も含めてね。


 どこにも書いてないけど、これは私のブログだから書いてもいいかなって思うから、書く。というか、吐く。

 行きたかったに決まってんじゃんよ。どんなことをしてでも行きたかったよ。見たいに決まってるでしょ、そんなもん。触れたいに決まってるよ。

 だって大好きなんだよ?何よりも大好きって言ってもいいくらい好きなんだよ?まあ、狂ったようにとまでは言わないけど、生きる糧になるくらいには大好きな訳よ。その人に会えるチャンスだったんだよ?そんなもん、私だけじゃなくて、誰だって同じはず。


 聞き分けのいい優等生みたいなことばっかしなんて言ってられないことだってあるのよ。人の話を聞いて心から嫉妬することだってあるの。どうしてあの人にできることが自分には出来ないのよって、歯痒く思うこともある。あの人が行けるのにどうして私はダメなのよって、考えても仕方のないことを思う夜もあるの。

 だって人間だもの。by相田みつを。


 ああスッキリした(笑)。

 どっかで吐かないと気が済まないとは思ってたんだよね。ここ、過疎ブログだからいいよね(笑)。


 まあ、行けない、行かないというチョイスをした私のような人の、こんなもどかしい気持ちを、少しでも解って頂けたら幸いに思う。





 とまあ、そんなことを考えながら配信を見たんだけど。


 

「どれだけ離れ 顔が見えなくても 互いに忘れないのは

必要とし 必要とされていること 

それがすべて 他には何もない」


「いままでもこれからも

約束などすることはないだろう

誰にも真似できない 同じ夢を見よう」


「この声が聞こえるかい

今なら聞こえるかい どうか苦しまないで」



 “Calling”を聞いて久しぶりに泣けた。

 これってさあ、無茶苦茶都合いいように解釈するけど、配信組に向けて歌ってくれたのかなって、ふと思った。もちろんもっと広い意味で歌ってくれたんだろうけど、なんかもうやたら端末画面のこっち側にいる自分に向けられているようにさえ思えてね。

 「ミエナイチカラ」もそう。ステージの彼らにとったら、見えないオーディエンスがいる訳じゃない?時空の向こう側にさ(配信日、間隔空いてたしね(笑))。


「会えるさ。てか会ってんじゃん。見えてないだけで」


 そんな言葉をかけられてる気さえした。都合よく、さ。

 幸か不幸か私の趣味のひとつなので、その場にいた自分を空想=妄想?することはできた。友人Kと共に。

 じゃあ、Kちゃんと一緒にいたとして。話も自由に出来る状態だったと仮定して。彼女と何を見て、どんな話をするかと言ったら当然ワタクシは、大賀くんの話しかしない訳ですよ(笑)。


 笑顔が多かったですねえ、今回。というか、いつも同じくらい笑顔なんだけど、カメラで抜かれてるタイミングが最高でしたね。いくつもいい表情があって、見ている方はギタープレイだけじゃなくてそっちでも堪能できたというね。

 “love me, I love you”だったと思うが、最後にめずらしくこう、腰を「キュッ」としたり(見てくださいまじで)、“BANZAI”では1人で大きく抜かれたり、最後の写真のシーンではこれまたテンション上がってか珍しくちょっとだけ顔崩してみたり。

 って、あのさあ、ギターを聞けよギターを(苦笑)。いやいや、聞いてるよ聞いてるって。でもさ、久々にステージの大賀くんだからさ、見てるの嬉しくって嬉しくって。


 …ああ。

 …そうか。


 生だとか配信だとか、関係ないなあ。

 うん。





 大賀くんの見どころのひとつがSwitching。スタンドにセッティングしてあるアコースティックギターを弾いてたかと思えば即座に肩にかけていたエレキに移っているという早業。でさあ、このアコギの音がいいんだまた。あの曲もあの曲も、B'zはイントロにアコギが出てくるのだけど、それを全て彼が担っている。また、イントロといえば、松本さんがグイーンとトーンを伸ばす裏で聞こえる細やかな音ももちろん大賀くんが弾いている。


 なんていうのかしら、そういうさ、これがあるからこそ上で鳴ってる音が気持ちよく聞こえるという、その「これ」の部分を一手に引き受けてるんだよね。松本さんと目を合わせてニコニコしながらタイミングを図るシーンは、様々に注目される場面だけど、あれは抜かりなく隙間なく合わせないと気持ち良くないからなのよね。だから鼓動のタイミングや呼吸のタイミングまで合わせているかの如く、目を合わせて心を合わせて、決して逸らさないんだと思う。美しいよね、あのシーン。どこまでも美しい。松本さんのソロアルバム「Enigma」の特典でついてきた、ブルーノートのライブを見直してみると、それがよく解る。この頃からずっとなのよね、大賀くんは。そして私は、それを見て以来彼を好きになったのよね。と、見直してあらためて思った次第。


 ところで私の注目ポイントはもうひとつ。ドラムの青山英樹くん。最高だったわ。

 タイトなのに力強く、しかもリズミカルに跳ねるような空気感もあるドラミングが、体にも心にもバシバシ響いてくるのよね。さすがは神と崇められるだけの御仁。若いっていいなあ。こんなにも体力使ってんのに、汗ひとつかいてないように見えた。いや、実際はかいてるんだろうけど、涼しい顔してやってるのがいいのよ。そういえば私の好きなドラマーは割とこう、汗かかないタイプかもしれない(笑)。まあ、あくまでもイメージね。

 大賀くんと共に、またB'zでやってくれないかしら。彼のドラムは本気で生で聴いてみたい。生でなくても、配信でもいいから、また聞きたいなあ。ブルーノートで近頃あったライブは配信がなかったんだよね。配信あったらぜひチェックしたい。






 “love me, I love you”で、稲葉さんが松本さんに寄って行き、ギターを弾く松本さんの顔を少し覗くような仕草をする。「ね」って感じで。すると松本さんはふと気付いて、「うん?」って感じで稲葉さんを見て、そして微かに、ほんの少しだけ笑みを浮かべる。

 これはさあ、配信じゃなきゃ解らない、超ド級の幸せを感じるシーンだ。「弾丸」の時に青山くんのドラムの脇にいた大賀くんが見せてくれた極上の横顔の笑顔にも匹敵するくらい。


 ほらね。やっぱし。

 私、楽しんじゃってるじゃん、配信ライブ。

 超ド級に。





 週末土曜日19時から徳ちゃんライブ1回目。その後21時よりTMネットワーク再起動記念配信ライブ。翌日日曜いっぱいまでが今回のB'zのUNITE@OSAKAの配信。翌日月曜よりUNITE@横浜のはじまりはじまり。

 ちなみに。

 UNITE大阪初日は、私にも「初日」だった(夫も)。そして今回の徳ちゃん1回目、つまり「徳の日」が、私の「2回目」。

 UNITEと徳の日が「あの日」とはね。どこまでもイベントライクな私の人生よ。






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